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再び材料確保⑥
「あの男よっ、あの黒髪の男よっ。私は、私はっ、あの男にっ、ううううぅっ」
魔法陣のある小屋から出ると、少し離れた場所から女性が金切り声を上げて、こちらを指差す。
あれがアレスの言ってた醜悪な気配の人かね? 見た目は、若い女性だ。おそらく二十歳いくかいかないか。ピンクの花柄のドレス着てる。うーん、最近綺麗な女性を見慣れて来たから、あんまりぱっとしない感じ。ただ、ばっちり化粧して、あれ、マンガで見たくるんくるんの巻き髪。ドリルヘアーってやつね、初めて見た。
「やっぱり、あいつかっ」
「なんて酷いことをっ、うちのお嬢様にっ」
「ああっ、なんて可哀想なジョジェフィーナッ」
なんや、加わった。多分両親っぽい人達と、中年のメイドさん。
うーん、三文芝居をみてる気分。
ピンクの女性は、ううううぅっ、と言った後は、両手で顔を覆い、肩を震わせている。
『嘘なのだ』
つまらないとばかりにアレスがバッサリ。
回りの人達が、なんだなんだと集まってきた。
ピンクの女性は、き、とした顔になり、立ち上がる。
「私は、あの黒髪の男に襲われたのよっ、あの、テイマーの弟にっ」
敢然と悪に立ち向かいます、みたいな感じで言い放つ。びしっ、と指差した先には、無表情に佇んでいるのは、エドワルドさん。
晃太は女性達の視界には入らない位置にいる。オシリスの影になるようになり、大柄なチュアンさんと、山風の皆さんが回りを囲む。なぜかって? 先ほどアレスの耳が拾った会話を聞いてこうなった。
『テイマーの弟は真っ黒の黒髪、顔立ちのいい、背の高い男、だと言っているのだ』
?
「それ、わいやないばい。エドワルドさん、勘違いされとらんね?」
当の晃太が言う。
そう言えばそうよね。顔立ちと背の高いがね。エドワルドさん、日本人の血を引いてはいるが、面影は僅かだけど、アジア系の線の美しさを持ついいとこ取りのハーフみたいな感じだ。晃太とエドワルドさんの共通点は黒髪のみ。こちらは髪の色は多種多様。一番多いのはチュアンさんやミゲル君の茶髪だけど、色合いは色々。赤毛や金髪、銀髪も珍しくない。もちろん黒髪もいる。だけど、真っ黒は少ない。ラーヴさんが唯一黒髪だけど、カーキ色味のある黒髪だ。なので、真っ黒の黒髪は私と晃太、エドワルドさんだけ。後はここにいないけど、ガリストさんが黒髪だ。
「もしかしたら、最近マーファに来たばかりで、コウタさんとエドワルドさんを勘違いしたのではないですか? 最近、コウタさんはユイさんと別行動が多いですし」
と、マデリーンさん。アレスが拾った内容を考える。
そうかもしれない。
マーファに帰って来てから、私と晃太は別行動している。理由は晃太のアイテムボックス内の品々を卸しにギルドに行ったりしていたことだ。私は私で料理やウルフ達のお世話や買い物やら、差し入れやらで忙しかったし。出掛ける時は必ずエドワルドさんが付いてきてくれた。それを見て、勘違いしたのかな。
でも、今までマーファでこんなトラブルなかったけどなあ。マデリーンさんが言うように、最近マーファに来て、晃太を知らない人達が何かしらやらかそうとしているんやないかな。
晃太の認識は、テイマーの弟、黒髪のでっかいアイテムボックス持ちやからね。顔見知りのマーファの人達なら、間違えるわけないよね。
「やっぱり狙いは」
「おそらくユイさん。もしくは慰謝料ではないですか? コウタさんに襲われたとか言い掛かりつけて」
はぁ、とため息をつく晃太。
「なら、勘違いさせたままにさせましょう。コウタ殿を見えないように、俺が前に立ちます。何かあれば俺が対応します。で、その気配を放つ者の位置は分かりますか?」
エドワルドさんが即決。
アレスに聞きながら、ごそごそと位置がえ。
『主よ』
「なんね、アレスや」
『消すのだ?』
「やめて。何を? 息の根? 何か言われても、仕掛けてきてもやり返したらダメよ、防御よ防御。アレスならできるやろ?」
『何故なのだ?』
多分、アレスの言い分はあるんやろう。魔境なら、ちょっかいかけてきたら、やり返される。それは命の奪い合い。それが当たり前の環境だからね。
「マーファの中でトラブルになるとね、もうあのダンジョン入れんばい」
うまく言えないし、納得させられる言葉が見つからないからね。
『ぬっ、それは困るのだ。しかしなのだ、威圧くらいはしてもいいのだ?』
「ケガさせんでよ」
『分かっているのだっ』
大丈夫よね?
そんなこんなで小屋から出て、冒頭に至る。
見ていた回りの人達が、一斉に、はあ? みたいな顔に。皆さん、晃太を知っている人達だ。
何かしら、言ってくれそうな人達には、ピンクの女性から見えない位置で、エマちゃんやテオ君達が、しー、てしている。それを見て、見守ってくれている人達は、一歩引く。引くけど、ピンクの女性達には冷ややかな視線だ。
ピンクの女性達はぎゃいぎゃい続ける。
「私はっ、この男に暗がりに引き込まれて、ううううぅっ」
「お嬢様っ、無理はしてはいけませんっ」
「そうだぞっ、ああっ、私の可愛いジョジェフィーナッ。後はこの父に任せなさいっ」
しらーっ、となってるのに、気がつかないかね?
「いいえっ、お父様っ、私は、力なき女性の為に戦いますわっ」
「まあっ、なんて立派な娘なのっ。私の誇りよっ」
がっがっがっ。
アレスが後ろ足で耳の後ろをかきかき。わあ、全く興味ない。
とりあえず、勘違いさせたままにした方がいいから、私はエドワルドさんの隣に立っているが、そっとホークさんが腕を引いてくる。おとなしく一歩下がる。
変わりに、エドワルドさんが一歩前に。
びくり、とピンクの女性達が怯むが、き、と睨みかえす。口を開こうとして、割ってはいるのは、リティアさんだ。
「なんの騒ぎですか?」
わあ、リティアさん、目が、笑ってない。
だけど、リティアさんの登場で、向こうは何故かチャンスと思ったのだろうか、水を得た魚みたいに声をあげる。
「ああっ、ギルドの職員ねっ、私はあそこにいるテイマーの弟に襲われたのっ。いくらテイマーの姉がランクが高いからって、依怙贔屓するのはっ……………」
「ハアァ」
リティアさんの口から、地の底から這い上がるような、聞いたこと無い声が上がる。
……………………………しーん。
僅かな声で、周囲が沈黙したよ。
『あの雌、激怒しているのだ』
でしょうねっ。
魔法陣のある小屋から出ると、少し離れた場所から女性が金切り声を上げて、こちらを指差す。
あれがアレスの言ってた醜悪な気配の人かね? 見た目は、若い女性だ。おそらく二十歳いくかいかないか。ピンクの花柄のドレス着てる。うーん、最近綺麗な女性を見慣れて来たから、あんまりぱっとしない感じ。ただ、ばっちり化粧して、あれ、マンガで見たくるんくるんの巻き髪。ドリルヘアーってやつね、初めて見た。
「やっぱり、あいつかっ」
「なんて酷いことをっ、うちのお嬢様にっ」
「ああっ、なんて可哀想なジョジェフィーナッ」
なんや、加わった。多分両親っぽい人達と、中年のメイドさん。
うーん、三文芝居をみてる気分。
ピンクの女性は、ううううぅっ、と言った後は、両手で顔を覆い、肩を震わせている。
『嘘なのだ』
つまらないとばかりにアレスがバッサリ。
回りの人達が、なんだなんだと集まってきた。
ピンクの女性は、き、とした顔になり、立ち上がる。
「私は、あの黒髪の男に襲われたのよっ、あの、テイマーの弟にっ」
敢然と悪に立ち向かいます、みたいな感じで言い放つ。びしっ、と指差した先には、無表情に佇んでいるのは、エドワルドさん。
晃太は女性達の視界には入らない位置にいる。オシリスの影になるようになり、大柄なチュアンさんと、山風の皆さんが回りを囲む。なぜかって? 先ほどアレスの耳が拾った会話を聞いてこうなった。
『テイマーの弟は真っ黒の黒髪、顔立ちのいい、背の高い男、だと言っているのだ』
?
「それ、わいやないばい。エドワルドさん、勘違いされとらんね?」
当の晃太が言う。
そう言えばそうよね。顔立ちと背の高いがね。エドワルドさん、日本人の血を引いてはいるが、面影は僅かだけど、アジア系の線の美しさを持ついいとこ取りのハーフみたいな感じだ。晃太とエドワルドさんの共通点は黒髪のみ。こちらは髪の色は多種多様。一番多いのはチュアンさんやミゲル君の茶髪だけど、色合いは色々。赤毛や金髪、銀髪も珍しくない。もちろん黒髪もいる。だけど、真っ黒は少ない。ラーヴさんが唯一黒髪だけど、カーキ色味のある黒髪だ。なので、真っ黒の黒髪は私と晃太、エドワルドさんだけ。後はここにいないけど、ガリストさんが黒髪だ。
「もしかしたら、最近マーファに来たばかりで、コウタさんとエドワルドさんを勘違いしたのではないですか? 最近、コウタさんはユイさんと別行動が多いですし」
と、マデリーンさん。アレスが拾った内容を考える。
そうかもしれない。
マーファに帰って来てから、私と晃太は別行動している。理由は晃太のアイテムボックス内の品々を卸しにギルドに行ったりしていたことだ。私は私で料理やウルフ達のお世話や買い物やら、差し入れやらで忙しかったし。出掛ける時は必ずエドワルドさんが付いてきてくれた。それを見て、勘違いしたのかな。
でも、今までマーファでこんなトラブルなかったけどなあ。マデリーンさんが言うように、最近マーファに来て、晃太を知らない人達が何かしらやらかそうとしているんやないかな。
晃太の認識は、テイマーの弟、黒髪のでっかいアイテムボックス持ちやからね。顔見知りのマーファの人達なら、間違えるわけないよね。
「やっぱり狙いは」
「おそらくユイさん。もしくは慰謝料ではないですか? コウタさんに襲われたとか言い掛かりつけて」
はぁ、とため息をつく晃太。
「なら、勘違いさせたままにさせましょう。コウタ殿を見えないように、俺が前に立ちます。何かあれば俺が対応します。で、その気配を放つ者の位置は分かりますか?」
エドワルドさんが即決。
アレスに聞きながら、ごそごそと位置がえ。
『主よ』
「なんね、アレスや」
『消すのだ?』
「やめて。何を? 息の根? 何か言われても、仕掛けてきてもやり返したらダメよ、防御よ防御。アレスならできるやろ?」
『何故なのだ?』
多分、アレスの言い分はあるんやろう。魔境なら、ちょっかいかけてきたら、やり返される。それは命の奪い合い。それが当たり前の環境だからね。
「マーファの中でトラブルになるとね、もうあのダンジョン入れんばい」
うまく言えないし、納得させられる言葉が見つからないからね。
『ぬっ、それは困るのだ。しかしなのだ、威圧くらいはしてもいいのだ?』
「ケガさせんでよ」
『分かっているのだっ』
大丈夫よね?
そんなこんなで小屋から出て、冒頭に至る。
見ていた回りの人達が、一斉に、はあ? みたいな顔に。皆さん、晃太を知っている人達だ。
何かしら、言ってくれそうな人達には、ピンクの女性から見えない位置で、エマちゃんやテオ君達が、しー、てしている。それを見て、見守ってくれている人達は、一歩引く。引くけど、ピンクの女性達には冷ややかな視線だ。
ピンクの女性達はぎゃいぎゃい続ける。
「私はっ、この男に暗がりに引き込まれて、ううううぅっ」
「お嬢様っ、無理はしてはいけませんっ」
「そうだぞっ、ああっ、私の可愛いジョジェフィーナッ。後はこの父に任せなさいっ」
しらーっ、となってるのに、気がつかないかね?
「いいえっ、お父様っ、私は、力なき女性の為に戦いますわっ」
「まあっ、なんて立派な娘なのっ。私の誇りよっ」
がっがっがっ。
アレスが後ろ足で耳の後ろをかきかき。わあ、全く興味ない。
とりあえず、勘違いさせたままにした方がいいから、私はエドワルドさんの隣に立っているが、そっとホークさんが腕を引いてくる。おとなしく一歩下がる。
変わりに、エドワルドさんが一歩前に。
びくり、とピンクの女性達が怯むが、き、と睨みかえす。口を開こうとして、割ってはいるのは、リティアさんだ。
「なんの騒ぎですか?」
わあ、リティアさん、目が、笑ってない。
だけど、リティアさんの登場で、向こうは何故かチャンスと思ったのだろうか、水を得た魚みたいに声をあげる。
「ああっ、ギルドの職員ねっ、私はあそこにいるテイマーの弟に襲われたのっ。いくらテイマーの姉がランクが高いからって、依怙贔屓するのはっ……………」
「ハアァ」
リティアさんの口から、地の底から這い上がるような、聞いたこと無い声が上がる。
……………………………しーん。
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でしょうねっ。
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