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総仕上げ⑤
朝のバタバタ後、やっと出発。
警備の方にご挨拶をしないとね。建前上、魔の森で修行しているビアンカとルージュ達と合流するからね。若手達も加わるから、一気に増えますからね。予め説明しとかんと。若手達については、ぼかしてね。
「ああ、合流されるんですか」
「はい。そろそろ合流予定日なんです。あと、もしかしたら、ビアンカやルージュのお眼鏡に叶うようなウルフがいたら、連れてくるかもしれません。あ、そうなれば、ちゃんと契約しますから」
「はい、承知しました。どうぞ、お気をつけてください」
「ありがとうございます」
ご挨拶して、馬車に乗り込む。今頃、ルーティのウサギ部屋でちゅどん、ドカンしてるやろうなあ。
「ユイさん、出発します」
手綱を握るホークさんの声。
「お願いします」
ゆっくりノワールが牽く馬車が出発した。
『主よ、この辺りなら大丈夫なのだ。周囲には人はいないのだ』
「ありがとうアレス」
魔の森の奥にある程度進み、アレスに周囲を確認してもらう。魔の森の守護者だからね、森の中なら、ガーディアンの名を冠するフォレストガーディアンウルフのアレスのフィールド。気配感知はお手の物だ。
時間的には夕方、既に周囲は暗い。
「ルーム」
さ、寒いから温かいお茶でも。
『あ、やっているのだなっ、我も行くのだーっ』
アレスがばーっ、と開けっ放しのルーティのサブ・ドアの方に走っていく。
なんや忙しくなりそうやな。
「ぶひひんっ」
「くうっ」
ノワールとオシリスまで当たり前のように付いていく。
はあ、仕方ないかあ。
「ユイさん?」
ため息つくと、エマちゃんが心配そう。
「あ、ごめんごめん、温かいお茶でも飲んで、ご飯にしようかね」
「はいっ」
いい返事。
ダイニングキッチンではいい薫りがしてる。母が作業している。お手伝いにはヒェリさん、ドロテアちゃん、マデリーンさんだ。うーん、薫り的にはカレーかな。早速業務用コンロが活躍している。一番大きな鍋が2つ並んでいるけど、大丈夫みたいやね。業務用コンロにはカレーで、家庭用コンロにはシチューが4つ。すでに出来上がっている鍋もあり、鍋敷きにはカレーが仲良く2鍋並んである。
移動のメンバーは嗽手洗いして、装備品の確認。
私は空いているコンロで湯を沸かす。柚子蜜、生姜、粉のレモンティー、パックの紅茶を並べる。好きなの選んでもらう。私は柚子蜜にした。エマちゃんとテオ君もだ。それぞれ喉を潤して、と。ふう、と一息つき。それから夕御飯の準備のお手伝い。
「優衣、様子見てきて」
一段落ついて、足元に花が鎮座している母が声をかけてくる。
「分かった」
私はホークさんに付き添われサブ・ドアをくぐる。
丁度、ボス部屋から皆さんがぞろぞろ出てきた。
「皆さん、お疲れ様です」
いえいえと。
「そろそろ夕御飯ですよ、皆さん、ルームに入ってください」
「「「「「はい」」」」」
やけど、いやしない、バトルジャンキー達が。
あー、彼方で何か飛んでるー。
「ご飯よー」
呼んでみると。
土煙が上がりながら、こちらに向かってくる一団。言わずもがな、従魔ズだ。げふっ、げふっ。
『お腹空いたのですっ』
『エビかしらっ』
『我は肉がいいのだっ』
『ピザヲ所望スル』
「くうっ」
「わんわんっ」
『ねーちゃん、わいなー、貝食べたいんねーん』
『ヒスイ、カレーがいいなあ』
『ルリはね、シチューでいいよー』
『クリスは両方ー』
「くるっ」
げふっ、土煙、凄っ、げふっ。
賑やかな夕御飯を済ませる。あれだけあったカレーやシチューが空っぽだ。炊飯器、追加して良かった。
ただ、食後、本来の魔物の離乳食を食べていたウインディがリバースしてしまい、しばらく付き添う事に。三人娘もリバースしたなあ。よしよし、大丈夫かな。水分も取れてるし。ウインディは仲良くシルフィとくっついて寝始めたし。私がダイニングキッチンに戻ると、なにやら父とツヴァイクさんが熱心にお話している。どうしたんやろ?
「あ、ちょっとツヴァイクさんに作ってもらえんかお願いしたんよ」
「何を?」
「何て言うか、炊飯器の外の部分?」
父は電化製品の再現を色々しているが、困難を極めているのは電子レンジと炊飯器だ。オーブンはどうにかなったけどね。
「炊くって言う機能がどうもうまくいかんのよ。ただ、単なる保温効果を持続させるだけなら、行けそうやけんね」
父の説明はこう。
寸胴みたいな鍋に保温の付与を付けると、炊飯器の保温状態をキープできるって。ただ、温度の調整はこちらの管理。例えば60℃のお湯を入れたら、ずっと60℃をキープする。低温調理器やな。ただ、蓋を開けたら、当然熱が逃げる。それに加熱するのは難しいって。
「なら、加熱の付与を付けたら?」
花を抱っこした晃太が提案。
「微調整が難しいんよ。数度の調整がうまく行かんで」
「そうなん」
父は困った、みたいな顔。
「なら、その微調整はお母さんにしてもらったら? 加熱の魔法あったやん」
「それなら、鍋に付与する必要はなかろう? 直接料理に加熱すればよかけん」
「そうなん」
父が色々考えているのは、炊き出しをしている母の負担を減らしたいみたい。
「うちのお母さんだけやない。ここにはガスがないんや、基本釜で薪や、火の調整しながら、ご飯の準備をするのって大変やん」
「確かに」
私は頷く。
ルームにはガスがあるし、電気もある。やけど、こちらの一般家庭は薪による暖炉や、蝋燭やランプによる光が主だ。
「しかしですなあ、リュウタ殿。これはおそらくかなり高級な魔道具になりますぞ。そこそこ裕福な家ではなければ購入できませんぞ」
ツヴァイクさんが、うーん、と唸ってる。
「分かっています。取り敢えず、これは試作品で自宅用にして、改良をしていきます」
後ろで何やらこそこそ。
「なんの話してるんだろ?」
「分かんないよ」
「ヘルト、ドロテア」
フェリクスさんが、しー、てしてるな。
で、父がツヴァイクさんにお願いしていたのは、鍋をすっぽり入れる木製の入れ物だ。保温機能があれば、当然熱いからね、火傷防止。いずれ一般家庭に普及したら、小さな子供が火傷しないか心配だからって。
「サイズ指定さえしていただけたら、すぐにでも出来ますぞ。トレントの端材がありますからな」
トントン拍子で話が進む。
それを見ながら、アルスさんが母におねだりして、ファングさんに回収されているのを確認。どうやら角煮と煮卵が美味しかったみたい。仔達のばあばコールにも答えて、母の指揮が飛ぶ。
食後の運動だからと、ウサギ部屋に向かう面々を止める。
「ビアンカ、ルージュ。若手達は残して」
『何でなのです?』
『どうしたの?』
「名前ば決めるけん」
警備の方にご挨拶をしないとね。建前上、魔の森で修行しているビアンカとルージュ達と合流するからね。若手達も加わるから、一気に増えますからね。予め説明しとかんと。若手達については、ぼかしてね。
「ああ、合流されるんですか」
「はい。そろそろ合流予定日なんです。あと、もしかしたら、ビアンカやルージュのお眼鏡に叶うようなウルフがいたら、連れてくるかもしれません。あ、そうなれば、ちゃんと契約しますから」
「はい、承知しました。どうぞ、お気をつけてください」
「ありがとうございます」
ご挨拶して、馬車に乗り込む。今頃、ルーティのウサギ部屋でちゅどん、ドカンしてるやろうなあ。
「ユイさん、出発します」
手綱を握るホークさんの声。
「お願いします」
ゆっくりノワールが牽く馬車が出発した。
『主よ、この辺りなら大丈夫なのだ。周囲には人はいないのだ』
「ありがとうアレス」
魔の森の奥にある程度進み、アレスに周囲を確認してもらう。魔の森の守護者だからね、森の中なら、ガーディアンの名を冠するフォレストガーディアンウルフのアレスのフィールド。気配感知はお手の物だ。
時間的には夕方、既に周囲は暗い。
「ルーム」
さ、寒いから温かいお茶でも。
『あ、やっているのだなっ、我も行くのだーっ』
アレスがばーっ、と開けっ放しのルーティのサブ・ドアの方に走っていく。
なんや忙しくなりそうやな。
「ぶひひんっ」
「くうっ」
ノワールとオシリスまで当たり前のように付いていく。
はあ、仕方ないかあ。
「ユイさん?」
ため息つくと、エマちゃんが心配そう。
「あ、ごめんごめん、温かいお茶でも飲んで、ご飯にしようかね」
「はいっ」
いい返事。
ダイニングキッチンではいい薫りがしてる。母が作業している。お手伝いにはヒェリさん、ドロテアちゃん、マデリーンさんだ。うーん、薫り的にはカレーかな。早速業務用コンロが活躍している。一番大きな鍋が2つ並んでいるけど、大丈夫みたいやね。業務用コンロにはカレーで、家庭用コンロにはシチューが4つ。すでに出来上がっている鍋もあり、鍋敷きにはカレーが仲良く2鍋並んである。
移動のメンバーは嗽手洗いして、装備品の確認。
私は空いているコンロで湯を沸かす。柚子蜜、生姜、粉のレモンティー、パックの紅茶を並べる。好きなの選んでもらう。私は柚子蜜にした。エマちゃんとテオ君もだ。それぞれ喉を潤して、と。ふう、と一息つき。それから夕御飯の準備のお手伝い。
「優衣、様子見てきて」
一段落ついて、足元に花が鎮座している母が声をかけてくる。
「分かった」
私はホークさんに付き添われサブ・ドアをくぐる。
丁度、ボス部屋から皆さんがぞろぞろ出てきた。
「皆さん、お疲れ様です」
いえいえと。
「そろそろ夕御飯ですよ、皆さん、ルームに入ってください」
「「「「「はい」」」」」
やけど、いやしない、バトルジャンキー達が。
あー、彼方で何か飛んでるー。
「ご飯よー」
呼んでみると。
土煙が上がりながら、こちらに向かってくる一団。言わずもがな、従魔ズだ。げふっ、げふっ。
『お腹空いたのですっ』
『エビかしらっ』
『我は肉がいいのだっ』
『ピザヲ所望スル』
「くうっ」
「わんわんっ」
『ねーちゃん、わいなー、貝食べたいんねーん』
『ヒスイ、カレーがいいなあ』
『ルリはね、シチューでいいよー』
『クリスは両方ー』
「くるっ」
げふっ、土煙、凄っ、げふっ。
賑やかな夕御飯を済ませる。あれだけあったカレーやシチューが空っぽだ。炊飯器、追加して良かった。
ただ、食後、本来の魔物の離乳食を食べていたウインディがリバースしてしまい、しばらく付き添う事に。三人娘もリバースしたなあ。よしよし、大丈夫かな。水分も取れてるし。ウインディは仲良くシルフィとくっついて寝始めたし。私がダイニングキッチンに戻ると、なにやら父とツヴァイクさんが熱心にお話している。どうしたんやろ?
「あ、ちょっとツヴァイクさんに作ってもらえんかお願いしたんよ」
「何を?」
「何て言うか、炊飯器の外の部分?」
父は電化製品の再現を色々しているが、困難を極めているのは電子レンジと炊飯器だ。オーブンはどうにかなったけどね。
「炊くって言う機能がどうもうまくいかんのよ。ただ、単なる保温効果を持続させるだけなら、行けそうやけんね」
父の説明はこう。
寸胴みたいな鍋に保温の付与を付けると、炊飯器の保温状態をキープできるって。ただ、温度の調整はこちらの管理。例えば60℃のお湯を入れたら、ずっと60℃をキープする。低温調理器やな。ただ、蓋を開けたら、当然熱が逃げる。それに加熱するのは難しいって。
「なら、加熱の付与を付けたら?」
花を抱っこした晃太が提案。
「微調整が難しいんよ。数度の調整がうまく行かんで」
「そうなん」
父は困った、みたいな顔。
「なら、その微調整はお母さんにしてもらったら? 加熱の魔法あったやん」
「それなら、鍋に付与する必要はなかろう? 直接料理に加熱すればよかけん」
「そうなん」
父が色々考えているのは、炊き出しをしている母の負担を減らしたいみたい。
「うちのお母さんだけやない。ここにはガスがないんや、基本釜で薪や、火の調整しながら、ご飯の準備をするのって大変やん」
「確かに」
私は頷く。
ルームにはガスがあるし、電気もある。やけど、こちらの一般家庭は薪による暖炉や、蝋燭やランプによる光が主だ。
「しかしですなあ、リュウタ殿。これはおそらくかなり高級な魔道具になりますぞ。そこそこ裕福な家ではなければ購入できませんぞ」
ツヴァイクさんが、うーん、と唸ってる。
「分かっています。取り敢えず、これは試作品で自宅用にして、改良をしていきます」
後ろで何やらこそこそ。
「なんの話してるんだろ?」
「分かんないよ」
「ヘルト、ドロテア」
フェリクスさんが、しー、てしてるな。
で、父がツヴァイクさんにお願いしていたのは、鍋をすっぽり入れる木製の入れ物だ。保温機能があれば、当然熱いからね、火傷防止。いずれ一般家庭に普及したら、小さな子供が火傷しないか心配だからって。
「サイズ指定さえしていただけたら、すぐにでも出来ますぞ。トレントの端材がありますからな」
トントン拍子で話が進む。
それを見ながら、アルスさんが母におねだりして、ファングさんに回収されているのを確認。どうやら角煮と煮卵が美味しかったみたい。仔達のばあばコールにも答えて、母の指揮が飛ぶ。
食後の運動だからと、ウサギ部屋に向かう面々を止める。
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