文字の大きさ
大
中
小
645 / 877
連載
ランクアップ⑨
父はおやつの最中に帰宅してきた。
「下層でドラゴンが出たと?」
嗽、手洗いを済ませて定位置に着く父に説明。
「そう。やけん、前みたいに零れ落ちんか見てくれん?」
「よかよ」
軽く了承してくれる。帰って来たばかりだし、母が温かいお茶を出している。
父の姿を確認したバトルジャンキー達はいそいそとおやつを食べて、サブ・ドアの向こうに。父はのんびりお茶とかりんとうをぽりぽり。
「アルスさん達が無事に出発したけん、カルーラに着いたら頼むね」
「ん」
お茶を一口。
「なあ、アルスさんのあの『呪い持ち』って、優衣はどう思う?」
なんて聞いてくる。
「まあ、そうやね。向こうでも似たような症状はあるやろうけど、私は内外系やったけん、あんまり詳しくないけん、なんとも」
学生時代にある程度は勉強はしているが。所謂発達障害。私自身教本や実習生として接した事はあるが、その程度なので、あれこれ言えない。
「お父さん、アルスさんの『呪い持ち』ば鑑定したんやなかった?」
昨日、保護者の金の虎の皆さんの許可を取り、アルスさんの鑑定をしていた。『呪い持ち』に関してと、肉体的な問題がないかだ。『呪い持ち』は総じて短命って言うのがどうにかならんかなって。父はその時は、短命になるような疾患や内臓的な問題が、現在のアルスさんからはわからなかったと。
金の虎の皆さんは、それは今すぐっていうのではないと思っていたみたいで、安心してはいたが。
私はその時、父が言葉を濁しているのを感じていた。
「ねえお父さん、夕御飯の後にでもゆっくり話さん? 今から、移動とかあるし」
「そうやな」
昨日は昨日でバタバタしていたので、鑑定の後、父は父で考え込んでいたし、じっくり話せなかった。明日にはルーティのダンジョンに行くため、ゆっくり話すのは、今日しかない。
それからもろもろ準備をして、いざ、サブ・ドアの向こう。
宿の方にメインのルームを開けっ放しにして、はホークさん、ノワールとサブ・ドアの向こう。シルフィ達は従魔の部屋で寝ている。心配なので、アリスはルームに残る事に。若手はオフィーリア、エアリース、トーレスヴァルゴとティエンが同行。残りはお留守番組だ。イシス、ビアンカ、ルージュ、アレス、オシリス、仔達は当然同行する。
何時ものように、チュアンさんの肩を借りてノワールに騎乗。ホークさんがマントに包んでくれて、はい、餃子の出来上がり。
「ユイさん、お気をつけてください」
「チュアンさん。留守をお願いします」
「はい」
私はサブ・ドアを閉めて、解除する。
『主よ、行くのだ』
「はいはい。アレス、ノワールのペースに合わせてよ」
『分かっているのだっ』
ちょっと心配だけど。
「ホークさん、お願いします。ノワール、頼むね」
「はい」
「ぶひひんっ」
ぶひひん特急ノワールが、厄災レベルのイシスやアレスを筆頭に守られて、空になっている18階のボス部屋を抜けて、階段を器用に降り進んだ。
ルーティのダンジョン19階。
はっきり言おう、ジャングルや。
なんかいそうやなあ、あれが。
『とにかく下に向かうのだ』
先頭はアレス。その直ぐ後ろをイシスとルージュ。真ん中をノワール。最後尾はビアンカだ。オシリス、仔達とオフィーリア達若手は、左右をしっかり固めている。
私はこの階層は覗いたが、入ったのは初めて。なんだか、怖か。たったか進むアレスに着いていくノワール。
これだけの戦力があるから、心配ないはず。
心配ないはず、ないはず。
ギャーッ、キターッ。
虫や虫、サイズがおかしな虫、花サイズやっ、あれ、蜂? 蜂のようなフォルムで羽が高速で羽ばたいている。前肢はカマキリのようで、おっかないっ。でもって、大量発生。耳障りな、びぃー、みたいな音が耳に届く。
私を包んでいたホークさんの腕に力が入る。
『フンッ、羽虫程度ダナッ』
『ノワール、無視よっ』
「虫だけにねっ」
イシスとルージュに突っ込む。イシスとルージュはお馴染みの光のリンゴを景気よく出していく。
光のリンゴは高速で動き、羽虫?を撃ち落としていく。光のリンゴは、一個でGが10匹倒せる。光のリンゴはバチバチ言いながら、羽虫?何匹も撃ち落としている。もしかしたら、あの羽虫?1匹1匹はあんまり強くないのかな?
なんて呑気に考えられるのは、しっかり守ってもらえているから。後方のビアンカからも激が飛ぶ。
『無駄弾は許さないのですよっ、必ず当てるのですっ。ユイには近付けさせないのですっ』
答えるように仔達と若手達が魔法を放ち出す。ノワールから全く動揺を感じない。ひたすらにアレスの後をおう。
火やら風から水やら土やら、縦横無尽に放たれて、羽虫?達はあっという間にいなくなった。
ほっ。
『次が出たのだっ』
『アレス、下がってっ、私が前に出るわっ』
何々?
走るノワールの上だからぶれる視界の中で、黒い物体が私達の周囲を囲むようにして、木々の隙間から姿を表した。まるで包囲網のようにして徐々に距離を詰めてきたのは。
『ブラックハウリングなのだっ』
真っ黒な毛並み、そしてその姿はアレスやビアンカ達のようなウルフの姿だった。
「下層でドラゴンが出たと?」
嗽、手洗いを済ませて定位置に着く父に説明。
「そう。やけん、前みたいに零れ落ちんか見てくれん?」
「よかよ」
軽く了承してくれる。帰って来たばかりだし、母が温かいお茶を出している。
父の姿を確認したバトルジャンキー達はいそいそとおやつを食べて、サブ・ドアの向こうに。父はのんびりお茶とかりんとうをぽりぽり。
「アルスさん達が無事に出発したけん、カルーラに着いたら頼むね」
「ん」
お茶を一口。
「なあ、アルスさんのあの『呪い持ち』って、優衣はどう思う?」
なんて聞いてくる。
「まあ、そうやね。向こうでも似たような症状はあるやろうけど、私は内外系やったけん、あんまり詳しくないけん、なんとも」
学生時代にある程度は勉強はしているが。所謂発達障害。私自身教本や実習生として接した事はあるが、その程度なので、あれこれ言えない。
「お父さん、アルスさんの『呪い持ち』ば鑑定したんやなかった?」
昨日、保護者の金の虎の皆さんの許可を取り、アルスさんの鑑定をしていた。『呪い持ち』に関してと、肉体的な問題がないかだ。『呪い持ち』は総じて短命って言うのがどうにかならんかなって。父はその時は、短命になるような疾患や内臓的な問題が、現在のアルスさんからはわからなかったと。
金の虎の皆さんは、それは今すぐっていうのではないと思っていたみたいで、安心してはいたが。
私はその時、父が言葉を濁しているのを感じていた。
「ねえお父さん、夕御飯の後にでもゆっくり話さん? 今から、移動とかあるし」
「そうやな」
昨日は昨日でバタバタしていたので、鑑定の後、父は父で考え込んでいたし、じっくり話せなかった。明日にはルーティのダンジョンに行くため、ゆっくり話すのは、今日しかない。
それからもろもろ準備をして、いざ、サブ・ドアの向こう。
宿の方にメインのルームを開けっ放しにして、はホークさん、ノワールとサブ・ドアの向こう。シルフィ達は従魔の部屋で寝ている。心配なので、アリスはルームに残る事に。若手はオフィーリア、エアリース、トーレスヴァルゴとティエンが同行。残りはお留守番組だ。イシス、ビアンカ、ルージュ、アレス、オシリス、仔達は当然同行する。
何時ものように、チュアンさんの肩を借りてノワールに騎乗。ホークさんがマントに包んでくれて、はい、餃子の出来上がり。
「ユイさん、お気をつけてください」
「チュアンさん。留守をお願いします」
「はい」
私はサブ・ドアを閉めて、解除する。
『主よ、行くのだ』
「はいはい。アレス、ノワールのペースに合わせてよ」
『分かっているのだっ』
ちょっと心配だけど。
「ホークさん、お願いします。ノワール、頼むね」
「はい」
「ぶひひんっ」
ぶひひん特急ノワールが、厄災レベルのイシスやアレスを筆頭に守られて、空になっている18階のボス部屋を抜けて、階段を器用に降り進んだ。
ルーティのダンジョン19階。
はっきり言おう、ジャングルや。
なんかいそうやなあ、あれが。
『とにかく下に向かうのだ』
先頭はアレス。その直ぐ後ろをイシスとルージュ。真ん中をノワール。最後尾はビアンカだ。オシリス、仔達とオフィーリア達若手は、左右をしっかり固めている。
私はこの階層は覗いたが、入ったのは初めて。なんだか、怖か。たったか進むアレスに着いていくノワール。
これだけの戦力があるから、心配ないはず。
心配ないはず、ないはず。
ギャーッ、キターッ。
虫や虫、サイズがおかしな虫、花サイズやっ、あれ、蜂? 蜂のようなフォルムで羽が高速で羽ばたいている。前肢はカマキリのようで、おっかないっ。でもって、大量発生。耳障りな、びぃー、みたいな音が耳に届く。
私を包んでいたホークさんの腕に力が入る。
『フンッ、羽虫程度ダナッ』
『ノワール、無視よっ』
「虫だけにねっ」
イシスとルージュに突っ込む。イシスとルージュはお馴染みの光のリンゴを景気よく出していく。
光のリンゴは高速で動き、羽虫?を撃ち落としていく。光のリンゴは、一個でGが10匹倒せる。光のリンゴはバチバチ言いながら、羽虫?何匹も撃ち落としている。もしかしたら、あの羽虫?1匹1匹はあんまり強くないのかな?
なんて呑気に考えられるのは、しっかり守ってもらえているから。後方のビアンカからも激が飛ぶ。
『無駄弾は許さないのですよっ、必ず当てるのですっ。ユイには近付けさせないのですっ』
答えるように仔達と若手達が魔法を放ち出す。ノワールから全く動揺を感じない。ひたすらにアレスの後をおう。
火やら風から水やら土やら、縦横無尽に放たれて、羽虫?達はあっという間にいなくなった。
ほっ。
『次が出たのだっ』
『アレス、下がってっ、私が前に出るわっ』
何々?
走るノワールの上だからぶれる視界の中で、黒い物体が私達の周囲を囲むようにして、木々の隙間から姿を表した。まるで包囲網のようにして徐々に距離を詰めてきたのは。
『ブラックハウリングなのだっ』
真っ黒な毛並み、そしてその姿はアレスやビアンカ達のようなウルフの姿だった。
感想 854
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます 〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯
鳳凰院暁月刃夜婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます
〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯一の調香師でした〜
☆あらすじ☆
王太子から婚約破棄され、家族にも見捨てられた公爵令嬢リリアーナ。
妹をいじめた悪女。
匂いしか分からない無能令嬢。
王妃にふさわしくない女。
夜会場でそう笑われた彼女は、すべてを失った――はずだった。
けれどリリアーナの嗅覚は、ただ香りを嗅ぎ分けるだけのものではない。
人の嘘。
隠された悪意。
病の兆し。
呪いの残り香。
そして、運命の匂いまで嗅ぎ分ける、王国唯一の異能だった。
公爵家を出たリリアーナは、亡き祖母が残した王都の端の小さな香水店「夜明けの瓶」を開く。
最初は誰にも見向きされない店だった。
けれど、眠れない少女を救い、毒を盛られた貴婦人を助け、夫婦の嘘をほどいていくうちに、店は王都中の秘密が集まる場所になっていく。
そんな彼女の前に現れたのは、冷血公爵と恐れられる辺境公爵ヴァルト。
彼は王宮由来の呪いに蝕まれていた。
リリアーナは彼の呪いを解くため、契約婚約を結ぶことになる。
不器用すぎる公爵に守られ、時に振り回されながら、彼女は王宮に隠された大きな嘘へと近づいていく。
なぜ王太子は婚約破棄を急いだのか。
なぜ妹は姉を憎み続けるのか。
なぜ王宮には、焦げた薔薇の匂いが漂っているのか。
無能と捨てられた令嬢は、もう誰かの言いなりにはならない。
「私は、私の鼻で生きていきます」
香水店から始まる、婚約破棄令嬢の逆転恋愛ファンタジー。
ざまぁあり、契約婚約あり、冷血公爵の不器用な溺愛あり。
最後には、彼女を捨てた者たちが気づくことになる。
本当に失ってはいけなかったのは、彼女だったのだと。
王妃教育を辞退したら「困る」と国王陛下が直接迎えに来ました ~婚約破棄された私に、王太子ではなく国王陛下が求婚してきます〜
由香【全一話完結】
王太子の心変わりによって婚約を破棄された侯爵令嬢リリアーナ。
十年以上受け続けた王妃教育も辞退し、ようやく自由になれると思っていた。
ところが数日後、侯爵家を訪れたのは国王陛下本人。
「王妃教育を辞退されると困る。私の妃になってほしい」
努力を踏みにじった王太子はすべてを失い、選ばれたのは誠実に生きてきた彼女だった。
これは、年上国王に溺愛されながら、世界一幸せな王妃になるまでの逆転ラブストーリー。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
聖女って無給で無休なんですか?じゃあやらないです
こじまき異世界に聖女として召喚されたイラストレーターのチヒロ。しかし聖女には給料も休みもないことを知って「じゃあやらないです」と聖女就任を断る。
「国と人を救う崇高な仕事には、私どもからの感謝を捧げよう」
「心底いらないです」
異世界でまで、やりがい搾取されてたまるかよ。
※小説家になろうにも投稿しています
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまうリリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、悪役令嬢として断罪された少女が、「誰かの物語の脇役」ではなく、自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
五年も笑わなかった辺境伯の娘が、追放された保育係の令嬢の前で初めて笑った
歩人(あゆと)侯爵令嬢クラリスは、五年間、兄夫婦の公爵家で三人の御子の保育を任されてきた。表向きは「下女扱い」だったが、彼女の保育記録には毎日の歌・手作りの絵札・夜泣きの記録が綿密に綴られていた。「育児など侍女の手伝い。本物の貴族のすることではないわ」兄嫁の侮辱に、クラリスは保育記録帳を置いて去る。訪ねた先は、妻を亡くした辺境伯ロタールの屋敷だった。彼の娘リーリャは六歳、母を亡くして以来、誰の前でも笑わなかった。「五年、御子さま方を見続けたあなたなら、リーリャの心も読めるだろうか」ロタールの不器用な依頼に、クラリスは静かに頷く。春が来る頃、リーリャは初めて声を上げて笑った。クラリスの隣で、ロタールも気づくと微笑んでいた——五年ぶりに。
【完結済】ワザと醜い令嬢をしていた令嬢一家華麗に亡命する
satomi醜く自らに魔法をかけてケルリール王国王太子と婚約をしていた侯爵家令嬢のアメリア=キートウェル。フェルナン=ケルリール王太子から醜いという理由で婚約破棄を言い渡されました。
もう王太子は能無しですし、ケルリール王国から一家で亡命してしまう事にしちゃいます!
【完結】妹は庶子、文句があるか? 常識なんてぶっ飛ばせ!
青空一夏(ざまぁ×癒し×溺愛)
庶子として公爵家に引き取られたアメリアは、
王立学園で冷たい視線に晒されながらも、ほんの少しの希望を胸に通っていた。
――だが、彼女はまだ知らなかった。
「庶子」の立場が、どれほど理不尽な扱いを受けるものかを。
心が折れかけたそのとき。
彼女を迎えに現れたのは、兄――オルディアーク公爵、レオニルだった。
「大丈夫。……次は、俺が一緒に通うから」
妹を守るためなら、学園にだって入る!
冷酷なはずの公爵閣下は、妹にだけとことん甘くて最強です。
※兄が妹を溺愛するお話しです。
※ざまぁはありますが、それがメインではありません。
※某サイトコンテスト用なので、いつもと少し雰囲気が違いますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。