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事例八の末路②

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「ありがとうございました」
 
 セシリア女公爵が診察してくれた女医さんをお見送りしている。
 おそらく骨は大丈夫だろう、貼り薬を出してくれた。声は一時的なものだろうから、様子見て、と言われた。
 打撲したような痛みがあるが、困るほどではないし。
 ウーヴァ公爵家のメイドさんがお世話してくれるから、ありがたい。綺麗にしてから、肌心地のいいパジャマに着替える。
 しかし、なあ、とんだことになったなあ。
 あの男子生徒どうなるんだろう? ウィンティアを傷つけたんだから、許すまじだね。
 
「ウィンティア嬢、よろしいですか?」

 あ、レオナルド・キーファーだ。
 カーディガン着てるから、いいかな?
 メイドさんに手振りで合図する。
 レオナルド・キーファーが入ってきた、メイドさんが退室する。

「ウィンティア嬢」

 そっと顔を覗かれる、なんという、恥ずかしい。大丈夫大丈夫と手振りで伝えるが、心配で一杯の顔だ。恥ずかしいので、レオナルド・キーファーの手を離す。
 じーっ、と私の顔を見るので、恥ずかしいアップしてきた。ちょ、ちょっと近いってっ。

「こら、レオナルド。ウィンティア嬢は疲れているのよ、下がりなさい」

 あ、いいタイミングでセシリア女公爵が着てくれた。

「はい、おば様。ウィンティア嬢、お休みなさい」

 頬に、ちゅ、と。
 ……………………………は? 今、頬っぺたにしなかった?
 で、レオナルド・キーファーが去っていく。
 いま、ちょっと待ってよ、頬っぺたは、ちょっとちょっとちょっとーっ。せ、せめて、手にしてーっ。
 あがあが、と恥ずかしさやらなんやらで、あがあが。

「ウィンティア嬢、今日はショックだったでしょう? 寝付きにいいハーブティーの飲んでお休みなさい。明日、少しはなしましょう」

 あがあが、はいはい、はくはく。
 いやいやショックって、今のが一番ショックなんですけどっ。何をスムーズに頬っぺた、ちゅ、なのよ。
 アンジェリカ様までやって来て、私はレオナルド・キーファーが頬っぺた、ちゅ、したことを伝えるが、なかなか無理で。

「大丈夫よ、ウィンティアさん、あの男子生徒には目にもの言わせないから」

 にこっ。
 こわっ。
 私は言われるままハーブティー飲んで、ベッドに。
 アンジェリカ様がおでこ撫でてくれた。
 あ、眠気が、ぐー。
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