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姫さんがアリシアさんへお悩み相談? をし、とんでもやべぇ答えを貰って、勇気を出して弟子入りした結果――――

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 ある日のことだった。

 姫さんが、アリシアさんに聞いた。

「……その、アリシアさん」
「なにかしら?」
「ど、どうしたら、アリシアさんみたいに、いつも堂々として笑顔でいられるんですかっ!?」

 真っ赤になった必死の顔での質問。それに対してアリシアさんは・・・

「ふふっ、そんなの簡単なことよ」
「ぜ、是非ともそれを教えてください!」
「それはねぇ……」
「そ、それはっ……?」
「強くなればいいの」
「え? 強、く……です、か?」
「ええ。そうよ」
「そ、それは……精神的に、強くなれという……意味でしょうか?」

 沈んだ表情になった姫さんに、

「ふふっ、精神的に強くなるのも悪くないけど……物理的に強くなるの」

 にこりと応えたアリシアさんは、

「そう……『わたしの方が強い。こんな連中、いつでも一捻りで潰せる。いつだって簡単にれる。そんなことも知らずに、のうのうとしていられるコイツはなんて愚かな雑魚ザコなのかしら?』って、内心で高笑いをしているとね、自然と心に余裕と慈しみの精神を持てるようになるの」

 なんかとんでもねぇことを姫さんに言いやがったっ!!

 つか、この人いつも慈愛に満ちた優しげな笑顔の裏でこんなとんでもねぇこと考えてたのっ!? 弱者というか、自分に敵対? する人間を対等な生物とすら見做みなしていねぇ! 下等生物扱いしてるってことだよなっ!?

「そ、そうなんですね……」

 と、姫さんは一瞬震え――――アリシアさんの答えに戦慄するのもわかるぜ、と思った瞬間。

「わかりました。わたし、強くなります!」

 アリシアさんを確りと見据えて頷いた。

 えっ? あれぇ? 姫さん、こんなとんでもやべぇ話に素直に頷いちゃうんだっ?

「そうよ、その意気よ♪」
「えっと、まずはどうすればいいでしょうか?」
「そうねぇ……それじゃあ、姫様。わたしが鍛えてあげましょうか?」
「いいんですか!」
「ええ。折角、姫様が火竜を退治するって決めたんですもの。本当に退治できるくらい、強くなっちゃいましょうか」
「はい、宜しくお願いします。アリシアさん!」

 と、なにやら覚悟を決めた姫さんは、この日からガチでアリシアさんに鍛えてもらうようになった。

 このとき、偶々護衛のおっさんが数分間だけいなかったことが、姫さんの人生を劇的に変えた。マジでビフォーアフターな?

 俺としては、アリシアさんの『慈しみ精神』に驚愕したが。自分で自分の身を守れたり、長年虐げられてびくびくしていた姫さんにちょっとでも自信が付くのはいいことだろう……と、少々の心配もありつつ、呑気に思っていた。

 この日。姫さんがアリシアさんへお悩み相談? をし、とんでもやべぇ答えを貰って、勇気を出して弟子入りした結果――――

 長年のストレスを解消するように、戦闘で人格が変わったように『ヒャッハー!』するようになるとは思わなかったぜっ!!

 結論から言うと、アリシアさんの戦闘スタイルと、魔力を体外に放出できない体質が故に、自己治癒能力が異様に高い姫さんとの相性が抜群に良過ぎた。

 アリシアさんの戦闘スタイルは……ガチの喧嘩上等っ!! な、ぶん殴り格闘スタイル。先手必勝。防御より、ガードしている暇があったらガンガン殴りに行く。

 身体強化でスピードと筋力強化。拳や足、防具(あれ? ナックルって防具だっけ?)に魔力を集中させて掛けてガッチガチに固めてガードを上昇。ついでに、威力強化。更には微回復のリジェネまで重ね掛けして、自身の体力や怪我をちょっとずつ回復させながら、相手がぶっ倒れるまでラッシュを続けるという、とんでもストロングタイプ!

 スタイル抜群でやべぇ内心は兎も角、常に上品に見える微笑みを浮かべている美女……それも、修道女シスターには全く似合わねぇぜ。

 余談だが、そんなアリシアさんがシスターをしているのが不思議だったので、理由を聞いてみると・・・なんでも、アリシアさんのお父さんが有名な決闘請負人だったそうな。しかも、拳闘専門だとか。

 アリシアさんのストロングスタイルの根幹はお父さん譲りかー。納得したわ。んで、肝心のシスターになった理由は、なんと決闘請負人だったアリシアさんのお父さん、重要な決闘前日に闇討ちされて暗殺されちゃったそうです。

 物心付いた頃にはお母さんはいなく、お父さんと二人で暮らしていた小さいアリシアさんは孤児として教会で育てられることに・・・

 それで、そのままシスターになったのだとか。逆を言えば、お父さんは闇討ちでキッチリ仕留められちゃうくらいに決闘に強い人だったとも言えるよなー。御愁傷様だけど、その辺りは血筋の才能ってやつ?

 アリシアさん、教会で育たなきゃ拳系ファイターとして、ものっそい冒険者とかになってそうだったのに……現実は、シスターとしてその有り余り過ぎる強大な力を持てあましたアリシアさんは、『必殺! 地獄の誅罰お届け人』としての活動を始め……犯罪者共を恐怖と物理的な生き地獄に突き落としたというワケか。

 ま、やり方は死ぬ程えげつない上、犯罪者共はガチの生き地獄を味わったと思うが……治安が良くなるのはいいことだ。

 うん。一般人はターゲットになってないし、犠牲になったのは犯罪者共だけ。いろんな意味で、王都に恐怖と安堵、混沌を撒き散らすとんでもダークヒーローとして市民に人気だったし。

 そして――――勇気を出した姫さんが、アリシアさんのとんでもストロングスタイルを継承した結果が、アレだ。

「ヒャッハー! オラオラ、その程度かよっ!? 雑魚がイキってんじゃねーぞっ!」

――――――――――――

 アリシアさんは、拳系戦闘狂シスター。
(*`▽´*)=○))゜Д゜).∵

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