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わたし達が、追い詰められた……? こんな、小さな子供達に……?
まだまだ色々やりたいことがたっくさんあるのよねー♪
ああ、そうだ。これは聞いておかなきゃ。
シュアンが手紙を書き終えたところで声を掛ける。
「シュアンさん」
「はい、なんでしょうか? ネロ王子」
「大事なことを聞くのを忘れていました」
「大事なこと、ですか?」
「ええ。わたしとシエロ兄上は、もう少しこの領に滞在して領主の不正や横領に関しての調査を続けるつもりなのですが」
「調査ですか……? ネロ王子とシエロ王子が?」
なにやら若干胡乱げな視線があたしと蒼を見やる。ま、あたし達どう見たってお子様だものねー? 疑う気持ちもわかるけど……
「ええ。というワケで、シュアンさんには選んで頂きます」
「なにを、でしょうか?」
「ここで暫くわたし達と一緒に滞在するか、それとも一足先に王都へ護送されるかを、です。どちらがいいですか?」
「・・・」
ま、即答できるワケないか。
「ここで滞在をするならば、無論のこと。色々と証言して頂きます。そして、先に王都へ行く場合は……」
「王都へ、行く場合は……?」
「おそらく、アストレイヤ様直々に訊問をされることになるかと」
アストレイヤ様、あたし達には甘いけど。成人した男にはどうかしら? 元々国内最大軍閥の家のお姫様だし。防衛関係には結構厳しそうよねー。
「アストレイヤ……王妃殿下、直々に?」
ゴクリとシュアンの喉が鳴る。
「ええ。おそらくは、ですが」
「こっち残んのと、アストレイヤ様の訊問なー? どっちがマシなんだか?」
「……俺は、さっさと王都へ護送すべきだと思います。正妃様は、甘くない方ですからね」
ニヤリと笑う蒼に、グレンの硬い声。
「今、王都へ護送されるのと、こちらでわたし達の捜査へ協力をしてから王都へ行くのとでは、あなたへの待遇も変わって来ると思いますので。よく考えてくださいね?」
現状は隣国の間諜で犯罪者なのは変わりないけど、協力的な態度だと亡命の手続きが割合スムーズに進みそう、と言ったところかしら。
「あ~、確かに。そりゃ変わるわなー?」
「わざわざ選ばせることもないでしょうに。ネロ様は甘いですね」
不服そうな琥珀の視線がシュアンからあたしへ流れる。
あたしが甘い、ねぇ? それはどうかしら……?
「……ネロ王子とシエロ王子に、協力させてください」
と、決意した表情でシュアンが答えた。
「わかりました。では、その旨をアストレイヤ様へ報告します。では、不正、及び領主がどのように我が国を裏切っていたかを教えてくださいね?」
「……わたしに、答えられることならば……」
これで捜査が断然早く進みそうだわ♪ま、シュアンが嘘を吐かなければ、だけどね?
「それじゃあ、シュアンさんへの訊問はアストレイヤ様の部下へ任せます。そして、基本的には二十四時間体制で監視と護衛が付くと思います。シュアンさんが危険なことをしなければ、無体な真似はさせません。それは約束します」
「はい」
「協力的な態度を期待しています。彼を……」
誰に任せればいいのかしら? と、視線を彷徨わせたあたしに、
「お任せください」
応えたのはいつの間にか部屋にいた執事さん。
「独断で手間を増やしてすみません」
「いえ、わたくし共へのお気遣いありがとうございます。ネロ様」
にこりと微笑んで話を変える。
「ところで、屋敷捜索はどの程度捗りましたか?」
「帳簿の類は発見しました。裏帳簿は現在捜索中です」
ま、そうそうわかり易いとこには置かないわよね。
「そうですか。では、表向きの帳簿から精査することにしましょう。シエロ兄上、出番ですよ」
「おう。でもさ、それってどこまでの帳簿なんだ?」
「ひとまず、現在の領主が当主になってからの十六年分程は押収致しました」
「・・・多くね?」
面倒そう……と、顔に出る蒼。
「そうですね……とりあえずは、今年から遡って十年分に絞って見てみましょう」
「三分の一は減ったが……でも、やっぱり多くね?」
「大丈夫です。わたしもやりますから」
「……本当に、シエロ王子とネロ王子が帳簿の精査をするのですか?」
疑わしいという視線が蒼とあたしを見やる。
「失礼な! シエロ様とネロ様は、既に文官としてアストレイヤ妃殿下に認められているんですよ!」
「グレン、お前は少し黙ってろ」
「すみません……」
「あれ? わたし、文官の仕事してましたっけ?」
「やー、お前は文官っつか、どっちかというと執行官じゃね? 今は」
「執行官っ!? ネロ王子がっ?」
「ああ、別に信じなくてもいいけど。今回の視察の総責任者はネロだからな。ちなみに、あの逃げた連中の似顔絵手配もなにもかも、発案はネロだぞ?」
「っ!?」
おおー、人間ってびっくりし過ぎるとホントに目が点になるのねー? 硬質でちょい神経質そうな、地味に整ったサブキャラ、シュアンのお顔が台無しだわー。
「こんな……こんな、子供相手に? クラ……ィ……ん、かと……わたし達が、追い詰められた……? こんな、小さな子供達に……?」
滅茶苦茶ショックを受けたような顔で、無意識なのか割と際どい呟きが落ちる。惜しむらくは、クラウディオの名前が綺麗に聞き取れなかったことよ。残念!
あと、見た目は子供だけど、あたし達中身はアラサーよっ☆おそらくは成人近い年齢(十八前後)のシュアンより、こっちのが年上だもの。
「不敬ですよ!」
「っ!? し、失礼しました……」
「構いませんよ。こんな子供が責任者だなんて、普通はあり得ませんからね」
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