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しおりを挟むとうとうやって来た、入学予定日……の、前日。
もう、この数週間勉強しかしてない気がする。
頑張ったわたし、偉い! そして、勉強を見てくれて励ましてくれたセディーありがとう!
セディーは自分も忙しいというのに・・・
うん? あれ? セディーは忙しい筈なのに、なんだかこの数週間、セディーといる時間がかなり多かったような気がする。
暗記に飽きて来たり、問題に行き詰まったらセディーが現れて、アドバイスをくれたり、問題に正解したら頭を撫でて褒めてくれたり、気分転換がてらに雑談と見せかけた別教科の豆知識を話してくれたり、一緒にお茶したりして励ましてもらった。
もしかしたら、一日六時間くらい(食事時間も含む)はセディーにあれこれと言い包められて構われてたかも。
・・・ちょっと、あの、わたしも必死だったからあれなんだけど、六時間(食事時間も含む)とかはさすがに、ね? セディーってば、わたしのこと甘やかし過ぎじゃない?
まぁ、わたしはめっちゃ助かってるけど。
そんなことを考えながら、寮へ持って行く荷物の整理をしているときだった。
「ネイト、いる?」
と、わたしの部屋へ入って来るセディー。
「セディー、どうしたの?」
「明日からまたネイトと離れ離れだから、一緒にいたいなって。ダメ?」
「それは・・・いいけど。いいの?」
セディーの予定なんかは。
「もちろん♪」
「セディーは・・・」
「僕がなぁに? ネイト」
「少し、わたしに甘過ぎじゃないかな?」
「可愛い弟を甘やかすのは、兄の特権だからね。それに、これからは誰に憚ることなくネイトと仲良くできることだし・・・」
誰に憚ることなく、か・・・
もう、わたしとセディーが仲良くしても、誰に咎められることも、文句を言われることも無い。
それは確かに、嬉しいことだ。
「しかも、時間制限付きと来たらもう、時間の限り甘やかすべきでしょ」
にっこりと胸を張るセディー。
「いや、甘やかすべきって、セディー……?」
「それともネイトは、僕に構われるのは嫌だった?」
しゅんと悲しげに伏せられるブラウンの瞳。
「そんなことはないけど」
セディーに構われるのは、昔から好きだ。
「それはよかった。それじゃあ、ネイトは僕に目一杯構われてね?」
しょんぼり顔だったのが一変、セディーはパッと笑顔を見せる。
「・・・セディー?」
「なぁに? ネイト」
にこにこと楽しげにわたしを見詰めるブラウン。
なんかこう、このにこにことした笑顔に転がされている気がする。
「なんか、セディーがわたしのこと好きなのがよ~くわかった気がする」
「そうだね。僕はネイトのことが大好きだよ?」
「……っ」
全く照れもせず、ド直球に返すとはっ!? むしろ、わたしの方が照れるし。
「ふふっ、ネイトは可愛いね」
上機嫌に細められるブラウンの瞳。
あぁ……そう言えばわたし、セディーに口で勝てたこと無いんだった。
セディーがわたしの三つ上というのもあるんだろうけど、いつも簡単に言い包められたり、ころころ転がされてたわ。
ボードゲームやカードゲームで負けたわたしが不機嫌になっても、にこにこと笑顔のセディーに上手く宥められて機嫌を取られていた。小さい頃からずっと、こんな感じだった。
今も多分、セディーに負けているんだろう。なんかもう、勝てる気がしないなぁ。
まぁ、セディーに構われて嬉しいのは確かだし。
__________
セディーに構われて、簡単に言い包められて転がされるネイサン。(笑)
明日から何話かは、セディーの話になるかと思います。何話になるかは、まだ決まっていませんが。
応援ありがとうございます!
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