上 下
275 / 673

232

しおりを挟む


「いえ、なんでもありません! お気になさらず。それより、ハウウェルに用ですか?」

 いや、突っ掛かって来てるのはお前の方だろ……と、思うけど言わないでおく。

「この間、リヒャルトがお世話になったことと、ぬいぐるみを頂いたことへのお礼がてら、ネイサン様に……是非ともリヒャルトの可愛さをお伝えしておこうと思いまして!」
「へ?」

 力強いセルビア嬢の言葉に、きょとんと瞬くテッド。

「・・・もしかして、仲間認定?」

 どういう仲間・・を指しているのか、聞かなくてもなんとなく察してしまうのが、なんとも言えない。まぁ、別に間違っているワケでもないし。

「ふふっ、仲間……と言えば、そうなのかもしれませんね」

 クスクスと笑い、

「リヒャルトを肩車して、鳥の巣を見せて頂いたのだとか。赤ちゃんの鳥さんが可愛かったです、と。とても嬉しそうで。更には、もふもふの二羽のひよこを抱っこするリヒャルトは・・・とっても可愛かったんですっ!! ありがとうございます、ネイサン様」

 うっとりとした表情で力説。

「いえ、リヒャルト君が楽しかったのであればよかったです。ひよこも気に入ってもらえたなら嬉しいです。実はあのひよこ、セディーと二人で一羽ずつ選んだので、セディーも喜んでくれると思います」
「そうだったのですか。どちらも可愛らしかったですよ? では、セディック様にも、後でお礼の手紙を出しておきますね」
「ありがとうございます」

 うん。よかったよかった。

「あの~、副部長」
「はい、なんでしょうか? メルンさん」
「なんだか、ハウウェルとすごく親しくなってるみたいですけど、休みの間になにがあったんですか?」
「休みの間に、ハウウェルと剣でも交えましたか?」
「なんでそうなる!」

 レザンのアホな言葉に、思わず突っ込む。

「うん? 違うのか? セルビア副部長は剣を扱うのだと言っていたからな。それ以外で仲良くなるには・・・そうか、遠乗りでもしたのか」
「それも違う」

 まぁ、剣よりはマシだけど。

「ふふっ、クロフト様は面白いですね」

 クスクスと笑うセルビア嬢。冗談だと思っているみたいだけど、きっとコイツは本気で言っている。なにせレザンは、脳筋だから!

「実はこの度、わたくしケイト・セルビアは、セディック・ハウウェル様と婚約致しました。なので、ハウウェル様ではなくて、ネイサン様とお呼びしようと思ったのですよ」
「へ? マジでっ!?」

 テッドが目をまんまるにして聞く。

「うん。わたしもまだ実感湧かないけど、この休日の間に、セディーがセルビア嬢に婚約を申し込みに行ってね。セルビア嬢から、了承の返事を頂きました」
「そうですか。おめでとうございます。セルビア副部長、ハウウェル」

 レザンの祝福の言葉。

「ありがとうございます。クロフト様」

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

女學生のお嬢さまはヤクザに溺愛され、困惑しています

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:686

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:40

勝手にしろと言われたので、勝手にさせていただきます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,165pt お気に入り:254

創造神で破壊神な俺がケモミミを救う

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:1,169

氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

BL / 連載中 24h.ポイント:51,444pt お気に入り:4,994

処理中です...