4 / 4
『母の命を奪った罪人である自分は、誰にも愛されない』だと? そんなワケあるかボケっ!!
しおりを挟む「お嬢さんは、悪いけど暫くは俺の家で保護させてもらうね?」
「保護、ですか?」
「うん。お家に帰りたいと思ってたら、ごめんなんだけど……」
あのクソ親父共は、俺がガツンと言ってかなりショック受けてるみたいだけど。今お嬢さんを帰して、家の中で危害を加えられないとも限らないし。
つか、あんなん言う家族のとこに帰らないといけないとか、可哀想過ぎるだろ。
「いえ、感謝……します」
「それじゃあ、母上を呼んで来るので。少し待っててくださいね?」
「え?」
びっくりした顔で固まるお嬢さんを侍女に頼んで、母を探す。
あの子の保護が母親の実家でできないなら、他の親族に。それでも都合が付かないなら、子供が欲しいのに子供がいなくて困ってる家に養子に取らせるって手もある。
まずは、この子とあの家との縁切りかな? うちのパーティーで見苦しい問題起こして迷惑被ったってゴネて、その責任がどうたらってこじ付けたりしてゴリ押しできんでしょ。
うちが権力あるからできることだわー。さっすが、公爵家。俺自身は後継ぎじゃないけど、末っ子で宙ぶらりんのクセに権力ある貴族子女って立場万歳!
あ~あ、でもこれ、後でイトコ殿や伯父貴達にも報告しなきゃなやつかも。
優秀で実力もあって人当たりも良いのに、不思議と自己評価の異様に低い人がいきなり出家したり、突然蒸発したりすんの、偶にちょこちょこあるんだよなー。そして、抜けられた穴が大きくて非常に困るワケだ。んで、ちょいと調べてみると、家庭に問題ありとかさ?
本人は全く悪くないのに、周囲の八つ当たりで人殺し呼ばわりされて精神病んじゃうとか、親族に迫害受けて自傷や自殺しちゃうとか、最悪だと刃傷沙汰起こして犯罪者落ちとか。更にアレだと、誰ぞ殺して無理心中起こしちゃうとか。
本人は悪くないのに、そこまで追い詰められるとか可哀想っしょ。
そうやって、家族間の愛憎で断絶した家も過去に幾つもある。継承権問題で揉めに揉めて、元の家系からは全然違う血筋になった貴族家だってある。
王子様なイトコ殿達も国王陛下である伯父貴も、こういうのには困ってるって言うし。
つか、そういう男側の間違った……『独りよがりの愛情による、迷惑で害悪にしかならない言動』って言うの? は、同じ男として非常に不快だし。
さぁて、神学校で……教会で祈りを捧げて生涯を終えるつもりでいるアイツを、どうやって還俗させるかな~?
あの大馬鹿野郎のアホは俺を、周りの人間を見縊ってやがる。
『母の命を奪った罪人である自分は、誰にも愛されない』だと? そんなワケあるかボケっ!!
アイツは、家族には恵まれなかったけど。
家族以外には恵まれてたんだ。俺以外にも、アイツを心配してる奴は沢山いるし。そう簡単に、祈り捧げるだけで人生終えられると思うなよ!
とりあえず、さっきのお嬢さんを利用してみようかね? 「お前と同じような境遇で、酷く傷付いているお嬢さんを慰めてあげてほしい」って。そう言えば、優しいアイツはほいほい誘き出されてくれる筈。
まあ、「一緒に罪を償いましょう」とか言い出す可能性もあるが・・・本当にそんなことを言いやがったら、手加減無しでぶん殴ってやろう。
お嬢さんには、俺のこの八つ当たりに、アイツを引っ張り出す為の打算に、自己満足に付き合わせて悪いとは思うけど・・・まあ、アレだ。お嬢さんの待遇改善を図るから、許してほしい。
あわよくば、お嬢さんとあの馬鹿野郎がくっ付いてくれたりしないかな~? ちょい年の差あるけど、十才は年違わないだろうから大丈夫っしょ。
そしたらお嬢さんも、あのアホアホ大馬鹿野郎も幸せになって、俺も満足してwinwin♪なんだけどさ。ま、そう上手く行くとは思えないし、別に二人がくっ付かなくても構わないけどな?
でもさ、自分が生まれたことに、自分の存在に対しての罪悪感を抱かなくなって。赦せるようになって。いつか、お前らが自分自身で幸せになれるように……って。そんな風に思えるように画策するくらいは許してくれ。
だって、お前らの母親は命を懸けて生んだ我が子に、『幸せになってほしい』って、絶対そう思ってるだろうからな!
――おしまい――
❅❆❅❆❅❆❅❆❅❆❅❆❅❆❅
読んでくださり、ありがとうございました。
子供は悪くないし、母親だって悪くない。
母親の命と引き代えに生まれた子が冷遇、虐待されるって、亡くなった母親的には絶対不本意だと思うんですよね。
そもそも母親は、残された旦那に、家族に、『生まれた子を冷遇してくれって頼んだのか?』と。
『きゃー、わたしの仇討ってくれてありがとう、素敵! 自分の産んだ子だけど、わたしのこと殺したんだからもっと酷い目に遭わせてちょうだい!』って、なるかよっ!? んなワケねぇだろボケがっ!! と思ったので書きました。
むしろ、子供冷遇とか虐待することで奥さんとか母親のことを、自分らで貶めてるからな? と。
まあ、あれです。こっちは、【では、なぜ貴方も生きているのですか?】で、主人公だった男の子の親友君が主役の話ですね。一応、あっちを読んでなくてもわかると思います。
あっちは主人公が素直過ぎ。こっちは結構口が悪いです。(*`艸´)
そして、彼は親友を還俗させるのも自分の自己満足でしかないことは判っています。それでも、「お前、絶対幸せになれよな!」と、お節介を焼き続けると思います。(*´ー`*)
この話も、他サイトではヒューマンジャンルに入れているのですが、一応これも夫婦間の恋愛の結末として、こっちでは恋愛ジャンルにしました。
こっちの彼が怒っている理由、【では、なぜ貴方も生きているのですか?】は、月白ヤトヒコのリンクから飛べると思います。
感想を頂けるのでしたら、お手柔らかにお願いします。
おまけ。
元侯子君「つらい思いをしたんですね。お嬢さん、一緒に罪を償いま……ぶはっ!?」o(*`Д´)=○)´3`)∴
親友君「なに寝言言っとんじゃっ!? この馬鹿がっ!!」( `д´⊂彡☆))Д´)
親友君「お嬢さんごめんね? コイツ、賢いお馬鹿だから。許してやって?」(;´∀`)ゞ
末っ子ちゃん「いえ、あの、だ、大丈夫ですかっ!?」Σ(O_O;)
こんな感じですかね? 二回シバかれてます。(((*≧艸≦)ププッ
応援ありがとうございます!
32
お気に入りに追加
73
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
mikiさん。感想をありがとうございます♪
親友「素敵って言われると照れるわー。ありがとな」ꉂ(ˊᗜˋ*)
本当に、こういうクズはそもそもの原因と元凶が自分であるというを考えるべきですよね。( ・`д・´)
Kimyさん。感想をありがとうございます♪
そのお医者さん、すっごく勇気ありますね。(*’ω’ノノ゙☆パチパチ
本当に。手前ぇが原因のクセに、なに害悪撒き散らしてんだよっ!? って感じですよね。(ノ`Д´)ノ彡┻━┻
ハッ! 展開が読まれてる!Σ(゚Д゚〃)
白菜さん。感想をありがとうございます♪
こちらこそ、そんなに喜んで頂けてうれしいです♪゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚