1 / 7
1。
しおりを挟む
「メリーア・ジュリアッド!」
美しい、煌びやかなホールに彼の声がこだまする。
「貴様とは、この時をもって婚約を破棄する!」
あぁ、なんて惨めなんでしょう。
こんな大衆の前で。
ざわつくホール。
あぁ。視線が痛い。
「納得できません。」
「『納得』?貴様の納得など必要ない!全てもう、明らかになっているのだ!」
彼の後ろでは、涙目で震えているファリーダがいた。
何で?あなたは何でそんなところにいるの?
何で泣きそうなの?
全て、貴方のせいなのに。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私の婚約者様は、第一王子のラルス・アルハルト様だ。
幼い頃から、彼は気弱で、心配性だった。
『メリーア。これから、パーティーがあるんだって…何か失敗したら、どうしよう…』
『威厳を持って堂々としていれば大丈夫よ。ほらっ!私がこうやって手を握っていますわ。ラルス様は一人じゃありませんわ。』
いつも、色々なことを心配しては、私を頼ってきた。
そのくせして、いざ本番となると一人で勝手に大成功して帰ってくるのだから、何とも忌々しい……。
呆れるようなことばかりだった。
何度もキツいことを言ったし、王族としての威厳を守るために口煩くなることもあった。
それでも、私は、貴方を愛していました。
全ては、貴方のためのつもりでした。
けれど、貴方には必要なかったのかもしれません。
最後の我が儘です。
これだけは伝えたい。
決して貴方を嫌いだったわけでも、地位だけが大切だったわけでもない。
貴方を愛していました、と。
美しい、煌びやかなホールに彼の声がこだまする。
「貴様とは、この時をもって婚約を破棄する!」
あぁ、なんて惨めなんでしょう。
こんな大衆の前で。
ざわつくホール。
あぁ。視線が痛い。
「納得できません。」
「『納得』?貴様の納得など必要ない!全てもう、明らかになっているのだ!」
彼の後ろでは、涙目で震えているファリーダがいた。
何で?あなたは何でそんなところにいるの?
何で泣きそうなの?
全て、貴方のせいなのに。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私の婚約者様は、第一王子のラルス・アルハルト様だ。
幼い頃から、彼は気弱で、心配性だった。
『メリーア。これから、パーティーがあるんだって…何か失敗したら、どうしよう…』
『威厳を持って堂々としていれば大丈夫よ。ほらっ!私がこうやって手を握っていますわ。ラルス様は一人じゃありませんわ。』
いつも、色々なことを心配しては、私を頼ってきた。
そのくせして、いざ本番となると一人で勝手に大成功して帰ってくるのだから、何とも忌々しい……。
呆れるようなことばかりだった。
何度もキツいことを言ったし、王族としての威厳を守るために口煩くなることもあった。
それでも、私は、貴方を愛していました。
全ては、貴方のためのつもりでした。
けれど、貴方には必要なかったのかもしれません。
最後の我が儘です。
これだけは伝えたい。
決して貴方を嫌いだったわけでも、地位だけが大切だったわけでもない。
貴方を愛していました、と。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
89
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる