社畜だった私は異世界転生をする 〜第一王女なんて聞いてません〜

『祭』当日

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『祭』当日。私はソワソワしていた。
なぜなら、こうゆうお祭りを自主開催できるなんて人生でないと言ってもいいからだ。私は椅子に座れずにいた。
「アリフィア様」

メイドの声に私は正気を取り戻して動きを止めてメイドの方を見る。メイドは少し心配そうな顔でこちらを見ていた。

「どうしたのかしら？」

私が聞くと、メイドは紅茶を淹れながら言った。

「……私はこうゆうお祭りをたまに開いていいと思いますよ……ですけど厳しくないですか？」
「厳しいって何？」

「……アリフィア様の信仰度……」と紅茶を机に置いてため息をつきながら言った。

「そんなもの、私は気にしてないわ！だって、今回でみんなの信用を取り戻すのよ！」

私は握り拳を掲げながら言った。すると、メイドはクスッと笑った。私は不思議に思い首を傾げる。
メイドは、私を見てシャキッと姿勢を戻した。

「メイド？どうかしたのかしら？」
「いえ、なんでもございません。」

「あなた今笑ったわよね？何か私変だったかしら？」
「いえ、どこもおかしくなどございません」

私が、メイドのことをじっと睨んで見ているとメイドは塞いでいた口を開いた。

「……話します。アリフィア様が昔だったらそんなこと考えなかったのになぁと思いまして……今のアリフィア様を見ると私まで元気になります。昔と比べると今の方が楽しそうだなぁと思ったらつい笑ってしまって……」

「なんだそんなことなのね……別に私は変わったつもりはないわ」と腕を組みながら言った。

メイドは私に近づいてきて椅子に座らせた。そして、私は目の前にある紅茶に手を出して一口啜った。
私はティーカップを置いて言った。

「美味しいわ。いつも変わらない味をありがとうね」

私が笑顔で言うと、メイドは少し照れたような顔をしながら言った。
「ありがたいお言葉……」

私は暇になり、少しメイドと談笑していると部屋がノックされた。私はメイドにドアを開けに行かせて入ってきたのはお父さんだった。

「お父様、どうされたのですか？」
私が聞くと、お父さんは笑顔で言った。

「お前が緊張しているのではないかと思ってな！ちょっと見に来ただけだ」

私はお父さんの言葉に安心する。これで、お祭りの前に怒られたりでもしたら……気分が下がるところだったと思っていると……メイドが言った。

「旦那様、アリフィア様は楽しそうにしておりますよ」

いらない情報を与えたメイドに少し睨みながらも私はお父さんの方を見た。すると、お父さんは私の視線に合わせるように腰を下げて言った。

「お前が楽しんでくれれば……私たちは満足だよ……お前が信頼を取り戻したいとか言っていたが……それも大切だが、一番は楽しむこと。それに加えて国民とのよりを戻せばいい」

なんだかいいことを言ったあと、お父さんは部屋を出て行った。
私は一息はいて呼吸を整える。その様子を見ていたメイドが言った。

「アリフィア…どうかされましたか？」
私は一息置いて言った。

「……ここだから言うけど……お父様口臭ひどいのよねぇ……」

私の発言にメイドは苦笑した。まぁ、これをお父さんの目の前で言ったら怒られるに決まっていた。
メイドは何も言わずに苦笑したままの顔で動かずにいた。

私はメイドに言った。

「さぁ、行きましょう？もう時間ではないですか？」
メイドは時計を確認して言った。少し慌てている様子もあった。

「……あっ、はいそうですね。いきましょうか」

私はメイドに髪型を少し直してもらい部屋を出た。
メイドは私の前に立ち、馬車まで案内してくれるらしい。私は少しの間考えた。

もし、この『祭』で国民の信頼度を落としてしまってら……私はどうしたらいいの……もう私に残されている手段はない………

そんなことを考えてはいけないと頭で考えていても私は考えてしまう。人間……考えてはいけないことを考えてしまう。

考えなければ幸せに生きれるのに……最悪の場合を毎回想像してしまう。

そんなことを考えていると……

「アリフィア様？」

メイドが少し離れた場所にいた。私は慌ててメイドの裏に駆け足で行き言った。

「すまない。少し考え事をしていただけだ…さぁ行こう」

少しメイドは心配そうな顔をしていたが再び歩き出した。

数分間歩き続けるとやっと外に出て、私は馬車の前までついた。
やはり、この城大きすぎると毎回歩くたび思ってしまう。

お父さんは私を見て言った。

「少し、不安そうな顔をしているな」
「……えぇ……すみません。少し考え事を」

「まぁ、考えることもほどほどにな。これからは楽しいことが待ってるんだから」
「はい」

私は、お父さんと馬車に乗った。だが、お母さんがいないことに気がついた。私は聞いた。
「お母様は？」

すると、お父さんは少し小さな声で言った。

「……お留守番だ……」

私は聞いて少し納得ができなかったが、返す言葉がなかった。
お母さんに何があったのか。私には理解ができなかった。

馬車で降りていくと、町中がお祭りの雰囲気になっていた。
装飾が綺麗で、いつもの街とは違い華やかになっていた。

そんな中、私は専用のところに座ることになっていた。お父さんと一緒に。
馬車が止まり、専用の台座の上の椅子に座る。

すると、周りにものすごい人が集まってきた。
そんな中司会者が言った。

「皆さん、今日は準備お疲れ様でした。それでは、この企画を考えた。アリフィア第一王女様にお言葉をいただきましょう」

そう言われて、私は立つ。

そして、専用のマイクがあるところに立って深呼吸をしたのだった。