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第三章 際限なき悪意

三人揃うと、迷惑だ

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「おう! 久しぶりだな!?」

「お元気でしたか♪♪」

「……………………」

 シムズとアフロディアって…………。

 正直、会いたくない女神、三トップが来やがった。

「帰れ…………」

 俺は背を向けて、車椅子で移動を始める。

『そんな事。言わずに…………♪♪♪』

「いっ…………!!」

 おいっ!!

 そこはまだ、治っていない…………。

 というか、的確に怪我している所を突くな…………!!!


『つんつん♪』

 楽しそうに、俺の背後から抱き付き、怪我している所をつつく女神。

 それを見て、確信した。

 こいつ楽しんでやがるな…………!?

「良い加減にしろ!!? あ…………ぐっ…………!?」

 全身を突き抜ける痛みに、思わず涙になる俺。


 この…………クソ女神共が…………!!

『まあまあ、とりあえず、話だけでも聞いてあげて♡

 英雄さん♡』


 お前も絶対、面白がっているだろう!?

------------------------------------------

「それで、話って……?」

 俺は憤慨しながらも、渋々話を聞く事になった。

 何か、最近、こうやっては絆されて、話を聞く羽目になっているような…………。

『気のせいよ♡』

『そうそう♪』

 人の心を読むなっ!?

 この二柱が揃うと、余計に鬱陶しい。

『二人の言う通りだぜ! 

 あんまり気にし過ぎていると、ハゲちまうぞ!?』

「……………………」

 訂正する。

 三人揃うと、鬱陶しいんじゃなくて、迷惑だ。

 一方的に、自分の意見を押し付け、人の話を聞かない辺りが…………!!

『ま、おふざけもここまでにして、本題に入りましょうか♡』

『そうしましょう♪』

『そうするか!』

「……………………」

 なら、さっさとそうしてくれよ!?

 俺は青筋を額に浮かべながらも、クソ女神共の話を聞いていき----------------

「何……?」

 女神共の口から聞き捨てならない言葉を耳にした。

 もう二度と、聞く事の無い筈だったもの。

「今、何て言ったんだ!?」

 それは俺の心をいとも簡単に揺さぶる程、衝撃的なもので------------

 思わず、デリヘラに詰め寄ると、彼女は笑顔でこう言った。

『だから、あのアレクセイが帝国を侵略し始めたって言ったのよ♡』

 信じられないと言いたげに、手で顔を覆う俺。

 アレクセイ・ニコラビッチ。

 かつて、俺が殺した闇使いの魔導師。

 奴は確かに俺が殺した筈なのに…………一体全体、何が起こっているんだ?

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