婚約者の愛は重たい

聖 りんご

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たまには役立つ重い想い

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ロンサール学園に入学してからひと月が経ちました。
私はだいぶ学園での生活に慣れて同じクラスの令嬢方とも打ち解けてきたと思います。

殿方とは……私のヤキモチ焼きな婚約者が接触をさせてくれないので一言も話さないまま時だけが経ちます。

入学式の次の日の出来事でした。

「Sクラスの皆さんは高貴で婚約者もいる方が多いので男女の交流を制限することにしました。」

 担任のジョシュア先生は一体どんな手を使ったのでしょうか……怖くて聞けませんでした。

一緒にいるのに一緒にいない。
謎の空間にクラスの皆は違和感を覚えないのでしょうか。
シリウス様に一度尋ねてみたら「リンバース公爵令嬢。貴女が話しかけるのが一番危険だから控えてくれ。」と拒絶されました。

「ねぇジョシュア。貴方は私を信じていないの?」

「そんなまさか!」

「ならクラスを分断する必要はないのではない?」

「あります。
まずはジゼルの姿が眼にはいると美しすぎて授業に集中できません。更にその声も美しすぎて雑音(講義)なんて耳に入りません。その悩ましい姿は実技中の怪我につながります。最後に婚約者がいて血迷う輩がでてくるかもしれませんので物理的に遠ざけ間を障壁で防ぐのがベストです!」

誰かコレを論破できる人はいないのかな。

「ジョシュアは心配性ね」

この時の私はそう思ってました。

数日後、見ず知らずの令嬢がSクラスに乗り込んできました。

「ジゼル様ひどいです!私がシリウス様と仲が良いからとイジメてくるなんて……」

「貴女は誰ですか?」

「ひどい!またそうやって私をイジメるんですね!シリウス様助けてくヘブッ」

名前も名乗らない令嬢はシリウス様の方に走った……けど障壁に激突した。全員ドン引きでした。

「あの……貴女大丈夫……?」

「ジゼル様ひどいです!私をシリウス様の元に行かせたくないから邪魔をするなんて!!私、負けませんからっ。」

話が通じないし全て私の性にしてくる謎の令嬢にまわりは困りました。

「そこまでにしてくれますか?バーダメヤ男爵家ミリー嬢。」

やっと彼女の名前を知ってる人がいたと思ったらジョシュアでした。

「貴女誰ですか?気安く呼ばないで下さい。」

「私はここの担任なので貴女みたいな人がくると迷惑なんですよ。」

「もしや、貴方もジゼル様の差し金!ひどいっ。それでも私とシリウス様の愛は消えたりしません!!」

「不敬罪、侮辱罪、国家転覆罪とはもう死刑確定ですね。」

「ハアアアア?!何を言ってるんですか?」

「貴女の罪状ですよ。Dクラスの授業をサボタージュし日頃から男漁りしかせず、婚約者のいる男性を含んだ複数人と関係を持っていてロックオンした殿下に近づくためにリンバース公爵令嬢にイジメられていると吹聴したお馬鹿さん。」

再度全員ドン引きした。
この方は何をしに学園に来ているのでしょう。そしてジョシュアは何故こんなに詳しいのでしょう。

「出鱈目ばかり言わないでよ!なんの証拠もないわ!!」

その言葉を待ってましたと言わんばかりにジョシュアは水晶を取り出しました。

「女性の皆様にお見せするには見苦しいので遮音と不可視をかけます。危ないので座って下さい。」

そういうと私の視界は真っ白になり何も聞こえなくなった。
どれくらいそうしていたのかは分からないけど、また視界と耳が戻るとバーダメヤ男爵令嬢はその場に手をついて震えながら下を向いていた。

「私は(ジゼルのついでに)Sクラスの皆様を厄介事から護らなくてはいけないので貴女の様なは人困ります。なので全ての映像と共に騎士団に転送するので(ジゼルにちょっかいかけた事を)よく反省して下さい。」

「ちょっとまっ」

何か言いかけてましたがバーダメヤ男爵令嬢は消えました。
思うことは多くあります。でもちゃんと護衛をしてくれていたジョシュアを見直しました。
授業が終わり皆が居なくなった教室で私はジョシュアにお礼を言いました。

「今日は助けてくれてありがとう。」

「貴女の役に立てて良かった。あんな羽虫がジゼルの名を呼んで近づいてきたかと思うと虫唾が走ります。」

「ジョシュアがいてくれたから何事も無かったわ。」
私はジョシュアの頬に軽くきすをした。

「ジゼル……ダメです。そんなのでは足りませんよ。」

ジョシュアの赤い瞳が輝いた気がした。

私は引き寄せられ唇を強引に塞がれ息があがる程深く長くキスをされた。

「ご褒美はきちんといただきました。ご馳走様です。」

満足そうなジョシュアを私は睨みつけたが、

「ダメですよ。そんな潤んだ瞳でみつめたら……」

再度唇を塞がれた。
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