【第一部】没落令嬢は今宵も甘く調教される

真風月花

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四章

15、啼泣

 翠子さんが寝間着にしている浴衣の帯を、俺は解いた。
 さっき湯上りに着がえたばかりなのにな。どれほど彼女が欲しいんだ、と自嘲気味な苦い笑いが洩れてしまう。

 本当に、あなたのことを好きすぎるだろう、俺は。

 縁側の床は素肌には冷たい。脱がせた浴衣の上に、彼女を横たえる。月明りが、彼女の形の良い胸を照らしている。

 俺は、そっとその頂きを左手で抓んだ。きついくらいが、彼女は好きだ。
そして右手は、秘められた敏感な部分へと伸ばす。
 今夜はすでに達しているから、その箇所はしっとりと濡れて、俺の指を誘うかのようだ。

「ふ……っ、あぁ」

 だが、花芯に触れたのは俺の指ではなく、唇だった。
 仰向けになったままで膝を立たせて、両足を大きく開かせる。

「いやぁ……だめ、それ……」
「駄目という割には、感じているみたいだが」

 敏感なそれを唇できつく挟んでやる。それだけで、翠子さんは背中を逸らして、頭を左右に振った。
 細い手が、小刻みに震えながら縁側に敷かれた浴衣を握りしめている。

 二人だけの夜だ。存分に乱れてもらっていい。
 俺は花芯をじっとりと舐めながら、彼女の中へと指を入れた。一本ではなく、二本まとめて。

「あぁ……、いや……ぁ、だめ、やめ……てぇ」

 翠子さんの弱い部分を的確に押さえていく。指では奥深くまで届かない。浅い部分で抜き差ししながら、彼女の反応に合わせて位置を変える。
 中に入れた指は、それぞれ別々の動きをする。
 そのたびに翠子さんは乱れて、すすり泣く。

 黒々とした瞳は濡れ、華奢な首をのけぞらせて、悲鳴にも似た声を上げる。その壮絶な美しさを引き出しているのが、自分なのだと思うと、愛しさがさらに増してしまう。

「ああ、いっそのこと、あなたの中に入りたい。だが明日は学校だからな。無理はさせないよ」
「旦那……さま」
「名前で呼ぶ約束だ。欧之丞さんでいい」
「……欧之丞さ……ん」
「うん。どうかした?」
「……好き、です」

 切れ切れの息で、翠子さんが愛の言葉を告げる。
 本当にあなたは煽るのが上手い。

「ほら、翠子さん。ご覧。蛍があなたを見ている」
「ほた……る?」
「俺に抱かれて啼泣ていきゅうするあなたを、じっと見ている。あなたも見られて、より感じているんじゃないのか?」

 ふるふると、恥ずかしそうに翠子さんが首を横に振る。
 蛍は草の葉にとまっていたが、ゆっくりと縁側へと飛んできた。

「見ないで……」
「無理だな。蛍に言葉は通じない」

 翠子さんは羞恥に身をよじらせた。そのせいで、くわえたままの俺の指が、予期せぬ動きをしてしまう。

「欧之丞、さん……、翠子は……」
「もっとしてほしい?」
「ちが……そうじゃ、なくて」

 その言葉を無視して、俺は彼女の両足を自分の肩にかけた。そんなはしたない格好をさせられたのは、初めてのはずだ。
 翠子さんは目に涙をためて、顔を赤く染めている。

「や……ぁ、やめてください」

 あなたは気づかない。そうやって懇願することが、よけいに男を煽る結果になることを。
 角度を変えたことで、これまでよりも深く俺の指を咥えこむ。翠子さんの中は熱く、指に絡みついてくる。
 
 俺が彼女の花芯にくちづけると、それに応じるように指が締め付けられる。
 苦しげに身悶える翠子さんの腕に、蛍がそっととまった。
 今にも消え入りそうな明滅と、しっとりと汗ばむ彼女の白い肌。

 ほら、蛍もあなたの官能に囚われてしまったではないか。
 俺はそう思いながら、翠子さんを愛し続けた。
感想 10

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