【第一部】没落令嬢は今宵も甘く調教される

真風月花

文字の大きさ
59 / 247
四章

15、啼泣

しおりを挟む
 翠子さんが寝間着にしている浴衣の帯を、俺は解いた。
 さっき湯上りに着がえたばかりなのにな。どれほど彼女が欲しいんだ、と自嘲気味な苦い笑いが洩れてしまう。

 本当に、あなたのことを好きすぎるだろう、俺は。

 縁側の床は素肌には冷たい。脱がせた浴衣の上に、彼女を横たえる。月明りが、彼女の形の良い胸を照らしている。

 俺は、そっとその頂きを左手で抓んだ。きついくらいが、彼女は好きだ。
そして右手は、秘められた敏感な部分へと伸ばす。
 今夜はすでに達しているから、その箇所はしっとりと濡れて、俺の指を誘うかのようだ。

「ふ……っ、あぁ」

 だが、花芯に触れたのは俺の指ではなく、唇だった。
 仰向けになったままで膝を立たせて、両足を大きく開かせる。

「いやぁ……だめ、それ……」
「駄目という割には、感じているみたいだが」

 敏感なそれを唇できつく挟んでやる。それだけで、翠子さんは背中を逸らして、頭を左右に振った。
 細い手が、小刻みに震えながら縁側に敷かれた浴衣を握りしめている。

 二人だけの夜だ。存分に乱れてもらっていい。
 俺は花芯をじっとりと舐めながら、彼女の中へと指を入れた。一本ではなく、二本まとめて。

「あぁ……、いや……ぁ、だめ、やめ……てぇ」

 翠子さんの弱い部分を的確に押さえていく。指では奥深くまで届かない。浅い部分で抜き差ししながら、彼女の反応に合わせて位置を変える。
 中に入れた指は、それぞれ別々の動きをする。
 そのたびに翠子さんは乱れて、すすり泣く。

 黒々とした瞳は濡れ、華奢な首をのけぞらせて、悲鳴にも似た声を上げる。その壮絶な美しさを引き出しているのが、自分なのだと思うと、愛しさがさらに増してしまう。

「ああ、いっそのこと、あなたの中に入りたい。だが明日は学校だからな。無理はさせないよ」
「旦那……さま」
「名前で呼ぶ約束だ。欧之丞さんでいい」
「……欧之丞さ……ん」
「うん。どうかした?」
「……好き、です」

 切れ切れの息で、翠子さんが愛の言葉を告げる。
 本当にあなたは煽るのが上手い。

「ほら、翠子さん。ご覧。蛍があなたを見ている」
「ほた……る?」
「俺に抱かれて啼泣ていきゅうするあなたを、じっと見ている。あなたも見られて、より感じているんじゃないのか?」

 ふるふると、恥ずかしそうに翠子さんが首を横に振る。
 蛍は草の葉にとまっていたが、ゆっくりと縁側へと飛んできた。

「見ないで……」
「無理だな。蛍に言葉は通じない」

 翠子さんは羞恥に身をよじらせた。そのせいで、くわえたままの俺の指が、予期せぬ動きをしてしまう。

「欧之丞、さん……、翠子は……」
「もっとしてほしい?」
「ちが……そうじゃ、なくて」

 その言葉を無視して、俺は彼女の両足を自分の肩にかけた。そんなはしたない格好をさせられたのは、初めてのはずだ。
 翠子さんは目に涙をためて、顔を赤く染めている。

「や……ぁ、やめてください」

 あなたは気づかない。そうやって懇願することが、よけいに男を煽る結果になることを。
 角度を変えたことで、これまでよりも深く俺の指を咥えこむ。翠子さんの中は熱く、指に絡みついてくる。
 
 俺が彼女の花芯にくちづけると、それに応じるように指が締め付けられる。
 苦しげに身悶える翠子さんの腕に、蛍がそっととまった。
 今にも消え入りそうな明滅と、しっとりと汗ばむ彼女の白い肌。

 ほら、蛍もあなたの官能に囚われてしまったではないか。
 俺はそう思いながら、翠子さんを愛し続けた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない

絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

虚弱なヤクザの駆け込み寺

菅井群青
恋愛
突然ドアが開いたとおもったらヤクザが抱えられてやってきた。 「今すぐ立てるようにしろ、さもなければ──」 「脅してる場合ですか?」 ギックリ腰ばかりを繰り返すヤクザの組長と、治療の相性が良かったために気に入られ、ヤクザ御用達の鍼灸院と化してしまった院に軟禁されてしまった女の話。 ※なろう、カクヨムでも投稿

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

最後の女

蒲公英
恋愛
若すぎる妻を娶ったおっさんと、おっさんに嫁いだ若すぎる妻。夫婦らしくなるまでを、あれこれと。

お隣さんはヤのつくご職業

古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。 残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。 元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。 ……え、ちゃんとしたもん食え? ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!! ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ 建築基準法と物理法則なんて知りません 登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。 2020/5/26 完結

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

【完結】女当主は義弟の手で花開く

はるみさ
恋愛
シャノンは若干25歳でありながら、プレスコット伯爵家の女当主。男勝りな彼女は、由緒ある伯爵家の当主として男性と互角に渡り合っていた。しかし、そんな彼女には結婚という大きな悩みが。伯爵家の血筋を残すためにも結婚しなくてはと思うが、全く相手が見つからない。途方に暮れていたその時……「義姉さん、それ僕でいいんじゃない?」昔拾ってあげた血の繋がりのない美しく成長した義弟からまさかの提案……!? 恋に臆病な姉と、一途に義姉を想い続けてきた義弟の大人の恋物語。 ※他サイトにも掲載しています。

処理中です...