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テイク13「作られた英雄たち」前編
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【トビーの制作日誌】
王暦1547年・夏の月・28日
歴史書には、勇者は聖剣の一閃で巨大スライムを葬ったと記されている。
だが、HDD(魔法映像保管庫)の未公開フッテージに残っていたのは、
腰を抜かして悲鳴を上げ、聖女に「早く立てよクズ!」とケツを蹴り上げられる英雄の姿だった。
海賊放送から3日。
俺たちは魔王軍基地で、世間の反応を待っていた。
情報提供者からの連絡は、少しずつ増えている。
元エリクシール社員。被験者の治療記録を持つ医師。辺境出身の元聖職者。
点と点が、線になりつつある。
だが、敵も黙ってはいなかった。
今朝、ザックが血相を変えて食堂に飛び込んできた。
魔導石板を叩きつけながら、一言。
「王国放送を見ろ。今すぐだ」
干し芋を齧る。
塩気が、妙に苦い。
嫌な予感がする。
-----
【映像ログ:ON AIR(王国放送・緊急特番)】
(王国放送のスタジオ。豪華なセットが組まれている)
アナウンサー:
「本日は、王国広報局からの重大発表をお届けします」
(画面が切り替わる)
アナウンサー:
「先日の建国記念式典中に流れた不正映像について、決定的な証拠が発見されました」
(カルロスの映像が流れる)
アナウンサー:
「エリクシール社のカルロス氏に出演いただき、真実をお伝えします」
(スタジオにカルロスが登場。金色のスーツ)
カルロス:
「皆様、ご心配をおかけしました」
カルロス:
「あの映像は、魔王軍による高度な幻術魔法で作成された捏造映像です」
カルロス:
「証拠をお見せしましょう」
(画面に分析映像が表示される)
カルロス:
「王宮魔術師団の分析により、あの映像には『幻術残留痕』が検出されました」
カルロス:
「これは、魔王軍特有の幻術魔法のサインです」
アナウンサー:
「つまり、あの発言は……」
カルロス:
「完全な捏造です。私は、被験者などという言葉すら使ったことがありません」
(カルロスが悲しげな表情を作る)
カルロス:
「勇者レオと聖女マリアは、魔王軍に洗脳されています」
カルロス:
「一刻も早く救出しなければ」
アナウンサー:
「しかし、国民の中には不安の声も……」
カルロス:
「ご安心ください」
(カルロスが微笑む)
カルロス:
「本日、新たな希望をお届けします」
アナウンサー:
「新たな希望、ですか」
カルロス:
「はい。王国広報局と弊社の協力により、新しい勇者パーティーがデビューします」
アナウンサー:
「新しい勇者……!」
カルロス:
「洗脳された偽りの英雄に代わり、真の英雄が立ち上がります」
カルロス:
「ご紹介しましょう。新・勇者パーティー『トゥルー・ブレイブ』です」
-----
【映像ログ:ON AIR(新勇者パーティー紹介VTR)】
(壮大なBGM。光のエフェクト)
ナレーション:
「闇に堕ちた偽りの英雄に代わり、真の希望が今、立ち上がる」
(スポットライトの中に人影が現れる)
ナレーション:
「新・勇者『アレク』」
(人影がゆっくりと振り向く)
(その顔は……)
ナレーション:
「聖剣に選ばれし、真の英雄」
(レオと瓜二つの顔が、画面いっぱいに映る)
(しかし、表情が違う。柔らかな微笑み。優しげな目元)
アレク:
「皆さん、はじめまして」
アレク:
「僕が新しい勇者、アレクです」
(観客から歓声が上がる)
アレク:
「先代の勇者レオさんは、残念ながら魔王軍の洗脳を受けてしまいました」
アレク:
「でも、大丈夫です」
アレク:
「僕が必ず、皆さんを守ります」
(アレクが聖剣を掲げる)
アレク:
「この剣と、この命に誓って」
(観客から割れんばかりの拍手)
ナレーション:
「新・聖女『ソフィア』」
(白いローブに身を包んだ女性が現れる)
ソフィア:
「皆様に、聖なる癒しをお届けします」
ナレーション:
「新・魔法使い『エリン』」
(杖を持った少女が現れる)
エリン:
「精一杯、頑張ります!」
ナレーション:
「彼らが、新たな伝説を紡ぐ」
ナレーション:
「王国広報局プロパガンダ番組『トゥルー・ブレイブ』」
ナレーション:
「来週より、放送開始!」
-----
【映像ログ:未公開(魔王軍基地・食堂・同時刻)】
(魔王軍基地・食堂。全員が魔導石板の画面を見つめている)
(5秒の沈黙)
レオ:
「…………」
マリア:
「…………」
ノア:
「…………」
トビー:
「…………」
(さらに5秒の沈黙)
レオ:
「……なんで」
マリア:
「…………」
レオ:
「なんで俺と同じ顔してんの」
(レオの声が震えている)
マリア:
「……落ち着け」
レオ:
「落ち着けるわけねえだろ!」
(レオが立ち上がる)
レオ:
「俺の顔だぞ!? 俺の顔が、あそこにいんだぞ!?」
トビー:
「レオさん……」
レオ:
「しかも……」
(レオが画面を凝視する)
レオ:
「あいつ、俺より愛想いいじゃん……」
マリア:
「そこかよ」
レオ:
「大事だろ! 俺の顔なのに、俺より上手く使いやがって!」
ノア:
「レオさん……」
レオ:
「見たか今の!? 『皆さんを守ります』って! あの笑顔!」
レオ:
「俺、あんな笑顔できねえぞ!」
マリア:
「……」
レオ:
「俺の方がナルシストなのに、あいつの方が顔を活かしてる!」
マリア:
「……それ、褒めてねえぞ」
レオ:
「褒めてるだろ! 俺の顔の可能性を、あいつが引き出してるんだ!」
トビー:
「……複雑ですね」
カイル:
「いや、意味分かんねえよ」
-----
【個別インタビュー】
勇者レオ/告白部屋(食堂の隅)
(レオが頭を抱えている)
レオ:
「……俺、いらないじゃん」
トビー(画面外):
「そんなことは……」
レオ:
「いらねえよ」
レオ:
「あいつがいれば、俺いらねえじゃん」
トビー:
「……」
レオ:
「同じ顔なんだぞ? しかも演技力は向こうが上」
レオ:
「愛想も良い。聖剣も使える。観客の反応も良い」
レオ:
「俺の上位互換じゃん」
トビー:
「……」
レオ:
「俺、何のために勇者やってたんだ」
トビー:
「……」
レオ:
「顔だけが取り柄だったのに」
レオ:
「その顔すら、俺だけのものじゃなかった」
トビー:
「……」
(レオが俯く)
レオ:
「……俺、誰なんだろ」
-----
【映像ログ:未公開(魔王軍基地・会議室・午後)】
(会議室。全員が集まっている)
ザック:
「状況を整理する」
(ザックがホワイトボードに書きながら)
ザック:
「一つ目。王国は海賊放送を『幻術魔法による捏造』と断定した」
トビー:
「予想通りです」
ザック:
「二つ目。『幻術残留痕』なる証拠を提示してきた」
カイル:
「そんなもん、存在しねえだろ」
ザック:
「当然、捏造だ。だが、一般市民には判断できない」
マリア:
「……」
ザック:
「三つ目。新しい勇者パーティーがデビューした」
(全員がレオを見る)
レオ:
「…………」
ザック:
「新勇者『アレク』の顔が、レオと瓜二つ」
レオ:
「瓜二つじゃねえ。同じだ」
ザック:
「……同じ、か」
トビー:
「これは偶然じゃない」
ザック:
「ああ。明らかに、エリクシール社が関与してる」
マリア:
「……どういうことだ」
トビー:
「PROJECT VESSELです」
ノア:
「……」
トビー:
「被験者だけじゃない。勇者も、計画の一部だった可能性がある」
カイル:
「勇者も……作られた存在ってことか」
トビー:
「……」
(トビーがレオを見る)
トビー:
「レオさん」
レオ:
「……なんだよ」
トビー:
「ご自身の出自について、何か覚えていることは」
レオ:
「……」
(5秒の沈黙)
レオ:
「俺は王都の名門出身だ」
トビー:
「……」
レオ:
「エリクシール社の支援で、幼い頃から英才教育を受けた」
トビー:
「エリクシール社の……」
レオ:
「剣術、魔法、礼儀作法、演技……全部」
マリア:
「……演技?」
レオ:
「ああ。『勇者としての振る舞い方』を、ずっと教え込まれた」
トビー:
「……」
レオ:
「でも、俺は普通の人間だ。被験者じゃない」
(レオが首筋を見せる)
レオ:
「痣もねえし」
ノア:
「……」
レオ:
「……たぶん」
マリア:
「たぶん?」
レオ:
「いや……俺は普通の……」
(レオの声が小さくなる)
レオ:
「……普通の人間の、はずだ」
-----
【個別インタビュー】
ADトビー/告白部屋(会議室の隅)
(カメラを自分に向けて)
トビー:
「第11話でレオさんが言った言葉を思い出す」
トビー:
「『俺の顔、整いすぎだと思わない?』」
トビー:
「『誰かに作られた顔だとしても、傷つけさせるわけにはいかねえ』」
トビー:
「あの時は、冗談半分だと思っていた」
トビー:
「だが、今は違う」
トビー:
「新勇者アレク。レオと同じ顔。より洗練された演技力」
トビー:
「これは……」
(トビーが沈黙する)
トビー:
「レオさんは、オリジナルなのか」
トビー:
「それとも、アレクがオリジナルで、レオさんが試作品なのか」
トビー:
「あるいは、両方とも……作られた存在なのか」
トビー:
「答えは、まだ分からない」
トビー:
「だが、一つだけ確かなことがある」
トビー:
「レオさんは、俺たちの仲間だ」
トビー:
「誰に作られたかなんて、関係ない」
-----
【映像ログ:未公開(魔王軍基地・通信室・午後3時)】
(通信室。ザックとトビーが情報を整理している)
ザック:
「情報提供者からの連絡を分析した」
トビー:
「何か分かったか」
ザック:
「興味深いものがある」
(ザックが魔導石板を見せる)
ザック:
「エリクシール社の元研究員からだ」
トビー:
「内容は」
ザック:
「『PROJECT VESSELには、二つの系統がある』」
トビー:
「二つの系統……」
ザック:
「一つは『器系統』。これは被験者プロジェクト。魔力を宿す器を育てる」
トビー:
「ノアやカイルのことか」
ザック:
「ああ。もう一つは『鏡系統』」
トビー:
「鏡系統?」
ザック:
「理想の英雄像を体現する、完璧な器を作る計画」
トビー:
「……レオさんのことか」
ザック:
「そうだろうな。『鏡系統』は、外見と演技力に特化している」
トビー:
「……」
ザック:
「レオが試作品で、アレクが改良版……そう考えれば辻褄が合う」
トビー:
「……試作品」
ザック:
「あくまで推測だ。確証はない」
トビー:
「……」
ザック:
「でも、これだけは分かった」
トビー:
「何だ」
ザック:
「エリクシール社は、勇者すら量産しようとしている」
トビー:
「……」
ザック:
「英雄を作り出し、民衆を操る。それが奴らの目的だ」
トビー:
「……吐き気がする」
ザック:
「同感だ。胃薬、いる?」
トビー:
「……くれ」
-----
【映像ログ:ON AIR(王国放送・新番組予告)】
(華やかなBGM)
ナレーション:
「新たな伝説が、今、幕を開ける」
(新勇者アレクの映像)
アレク:
「僕は、皆さんの希望です」
ナレーション:
「新・聖女ソフィアの慈愛」
ソフィア:
「傷ついた心を、癒します」
ナレーション:
「新・魔法使いエリンの勇気」
エリン:
「一緒に、頑張りましょう!」
ナレーション:
「王国広報局プロパガンダ番組『トゥルー・ブレイブ』」
ナレーション:
「来週、堂々放送開始!」
アレク:
「偽りの英雄に代わり、僕たちが皆さんを守ります」
アレク:
「これが、真の勇者の姿です」
(アレクが完璧な笑顔を見せる)
-----
【映像ログ:未公開(魔王軍基地・食堂・夕方)】
(食堂。レオが一人で座っている)
(テーブルには、手付かずの食事)
(マリアが近づいてくる)
マリア:
「……おい」
レオ:
「……」
マリア:
「飯、食えよ」
レオ:
「……腹減ってねえ」
マリア:
「嘘つけ。朝から何も食ってねえだろ」
レオ:
「……」
(マリアがレオの向かいに座る)
マリア:
「……聞けよ」
レオ:
「……」
マリア:
「あの新勇者」
レオ:
「……」
マリア:
「確かに、愛想は良かった」
レオ:
「……だろ」
マリア:
「演技も上手かった」
レオ:
「……」
マリア:
「聖剣の構えも様になってた」
レオ:
「追い打ちかけんのやめろよ……」
マリア:
「でも」
レオ:
「……」
マリア:
「あいつには、何かが足りねえ」
レオ:
「……何だよ」
マリア:
「……知るか」
レオ:
「知らねえのかよ」
マリア:
「言葉にできねえ。でも、何か違う」
レオ:
「……」
マリア:
「あいつは完璧すぎる。だから、気持ち悪い」
レオ:
「……」
マリア:
「お前は違う」
レオ:
「俺は不完全ってことか」
マリア:
「そうじゃねえよ」
(マリアが薬草巻きを取り出す)
マリア:
「お前は……キモいナルシストだ」
レオ:
「ひでえ」
マリア:
「黙って聞け」
レオ:
「……」
マリア:
「お前は、キモいナルシストで、顔のことしか考えてなくて、事務所NGとかわけわかんねえこと言って」
レオ:
「褒める気あんのか」
マリア:
「でも」
(マリアがレオを見る)
マリア:
「仲間のために、戦った」
レオ:
「……」
マリア:
「海賊放送の時、お前はアドリブで言っただろ」
マリア:
「『俺は勇者だ。仲間を守る勇者だ』って」
レオ:
「……」
マリア:
「あれは、台本じゃなかった」
レオ:
「……」
マリア:
「お前の本心だった」
レオ:
「……」
マリア:
「あの新勇者に、それができるか?」
レオ:
「……」
マリア:
「台本通りに完璧な演技をするだけの奴に、仲間のために命を張れるか?」
レオ:
「……分かんねえよ」
マリア:
「俺は分かる」
レオ:
「……」
マリア:
「あいつには、できねえ」
(マリアが薬草巻きに火をつける)
マリア:
「だから、お前の勝ちだ」
レオ:
「……何の勝負だよ」
マリア:
「知るか」
(マリアが煙を吐く)
マリア:
「でも、俺が知ってる勇者はお前だ」
-----
【個別インタビュー】
聖女マリア/告白部屋(食堂の隅)
(薬草巻きをふかしながら)
マリア:
「……褒めたわけじゃねえからな」
トビー(画面外):
「そうですか」
マリア:
「事実を言っただけだ」
トビー:
「レオさん、少し元気になったように見えましたが」
マリア:
「……知るか」
トビー:
「……」
マリア:
「あいつがうじうじしてると、イラつくんだよ」
トビー:
「……」
マリア:
「いつもみたいに『俺の顔が最高』とか言ってろよ」
トビー:
「……心配してるんですね」
マリア:
「してねえよ」
トビー:
「……」
マリア:
「……」
(5秒の沈黙)
マリア:
「……オフレコな」
トビー:
「録画してます」
マリア:
「消せ」
トビー:
「後で考えます」
マリア:
「考えるな」
-----
【映像ログ:未公開(魔王軍基地・通信室・夜)】
(通信室。ザックが新たな情報を分析している)
ザック:
「おい、トビー」
トビー:
「どうした」
ザック:
「また情報が来た」
トビー:
「誰から」
ザック:
「匿名だ。でも、内容が具体的すぎる」
(ザックが魔導石板を見せる)
ザック:
「『新勇者アレクは、プロトタイプ02である』」
トビー:
「プロトタイプ02……」
ザック:
「『プロトタイプ01は、現勇者レオ』」
トビー:
「……やはり」
ザック:
「『両者は同一の設計図から作られた。だが、01は感情制御に失敗した不完全品』」
トビー:
「感情制御の失敗……」
ザック:
「『02は、01の欠点を修正した改良版。感情は最小限に抑えられ、完璧な演技が可能』」
トビー:
「……」
ザック:
「『01は廃棄予定だったが、番組の人気で延命。しかし、今回の裏切りで用済みとなった』」
トビー:
「用済み……」
ザック:
「『02の投入は、01の代替である』」
トビー:
「……」
(トビーが沈黙する)
トビー:
「レオさんは……感情制御に失敗した、不完全品」
ザック:
「そう書いてある」
トビー:
「だが、その『失敗』こそが」
ザック:
「……ああ」
トビー:
「レオさんをレオさんたらしめている」
ザック:
「ナルシストで、顔のことしか考えてなくて、でも仲間を守ろうとする」
トビー:
「不完全だからこそ、人間らしい」
ザック:
「……皮肉だな」
トビー:
「ああ」
ザック:
「エリクシール社が『失敗』と見なしたものが、俺たちにとっては『成功』だ」
トビー:
「……この情報、レオさんに伝えるべきか」
ザック:
「……どうする」
トビー:
「……」
(10秒の沈黙)
トビー:
「……伝える。全部」
ザック:
「いいのか」
トビー:
「レオさんには、知る権利がある」
ザック:
「傷つくぞ」
トビー:
「それでも」
トビー:
「嘘をつくより、真実を伝える方がいい」
ザック:
「……」
トビー:
「俺は記録係だ。真実を隠すのは、俺の仕事じゃない」
ザック:
「……分かった」
王暦1547年・夏の月・28日
歴史書には、勇者は聖剣の一閃で巨大スライムを葬ったと記されている。
だが、HDD(魔法映像保管庫)の未公開フッテージに残っていたのは、
腰を抜かして悲鳴を上げ、聖女に「早く立てよクズ!」とケツを蹴り上げられる英雄の姿だった。
海賊放送から3日。
俺たちは魔王軍基地で、世間の反応を待っていた。
情報提供者からの連絡は、少しずつ増えている。
元エリクシール社員。被験者の治療記録を持つ医師。辺境出身の元聖職者。
点と点が、線になりつつある。
だが、敵も黙ってはいなかった。
今朝、ザックが血相を変えて食堂に飛び込んできた。
魔導石板を叩きつけながら、一言。
「王国放送を見ろ。今すぐだ」
干し芋を齧る。
塩気が、妙に苦い。
嫌な予感がする。
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【映像ログ:ON AIR(王国放送・緊急特番)】
(王国放送のスタジオ。豪華なセットが組まれている)
アナウンサー:
「本日は、王国広報局からの重大発表をお届けします」
(画面が切り替わる)
アナウンサー:
「先日の建国記念式典中に流れた不正映像について、決定的な証拠が発見されました」
(カルロスの映像が流れる)
アナウンサー:
「エリクシール社のカルロス氏に出演いただき、真実をお伝えします」
(スタジオにカルロスが登場。金色のスーツ)
カルロス:
「皆様、ご心配をおかけしました」
カルロス:
「あの映像は、魔王軍による高度な幻術魔法で作成された捏造映像です」
カルロス:
「証拠をお見せしましょう」
(画面に分析映像が表示される)
カルロス:
「王宮魔術師団の分析により、あの映像には『幻術残留痕』が検出されました」
カルロス:
「これは、魔王軍特有の幻術魔法のサインです」
アナウンサー:
「つまり、あの発言は……」
カルロス:
「完全な捏造です。私は、被験者などという言葉すら使ったことがありません」
(カルロスが悲しげな表情を作る)
カルロス:
「勇者レオと聖女マリアは、魔王軍に洗脳されています」
カルロス:
「一刻も早く救出しなければ」
アナウンサー:
「しかし、国民の中には不安の声も……」
カルロス:
「ご安心ください」
(カルロスが微笑む)
カルロス:
「本日、新たな希望をお届けします」
アナウンサー:
「新たな希望、ですか」
カルロス:
「はい。王国広報局と弊社の協力により、新しい勇者パーティーがデビューします」
アナウンサー:
「新しい勇者……!」
カルロス:
「洗脳された偽りの英雄に代わり、真の英雄が立ち上がります」
カルロス:
「ご紹介しましょう。新・勇者パーティー『トゥルー・ブレイブ』です」
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【映像ログ:ON AIR(新勇者パーティー紹介VTR)】
(壮大なBGM。光のエフェクト)
ナレーション:
「闇に堕ちた偽りの英雄に代わり、真の希望が今、立ち上がる」
(スポットライトの中に人影が現れる)
ナレーション:
「新・勇者『アレク』」
(人影がゆっくりと振り向く)
(その顔は……)
ナレーション:
「聖剣に選ばれし、真の英雄」
(レオと瓜二つの顔が、画面いっぱいに映る)
(しかし、表情が違う。柔らかな微笑み。優しげな目元)
アレク:
「皆さん、はじめまして」
アレク:
「僕が新しい勇者、アレクです」
(観客から歓声が上がる)
アレク:
「先代の勇者レオさんは、残念ながら魔王軍の洗脳を受けてしまいました」
アレク:
「でも、大丈夫です」
アレク:
「僕が必ず、皆さんを守ります」
(アレクが聖剣を掲げる)
アレク:
「この剣と、この命に誓って」
(観客から割れんばかりの拍手)
ナレーション:
「新・聖女『ソフィア』」
(白いローブに身を包んだ女性が現れる)
ソフィア:
「皆様に、聖なる癒しをお届けします」
ナレーション:
「新・魔法使い『エリン』」
(杖を持った少女が現れる)
エリン:
「精一杯、頑張ります!」
ナレーション:
「彼らが、新たな伝説を紡ぐ」
ナレーション:
「王国広報局プロパガンダ番組『トゥルー・ブレイブ』」
ナレーション:
「来週より、放送開始!」
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【映像ログ:未公開(魔王軍基地・食堂・同時刻)】
(魔王軍基地・食堂。全員が魔導石板の画面を見つめている)
(5秒の沈黙)
レオ:
「…………」
マリア:
「…………」
ノア:
「…………」
トビー:
「…………」
(さらに5秒の沈黙)
レオ:
「……なんで」
マリア:
「…………」
レオ:
「なんで俺と同じ顔してんの」
(レオの声が震えている)
マリア:
「……落ち着け」
レオ:
「落ち着けるわけねえだろ!」
(レオが立ち上がる)
レオ:
「俺の顔だぞ!? 俺の顔が、あそこにいんだぞ!?」
トビー:
「レオさん……」
レオ:
「しかも……」
(レオが画面を凝視する)
レオ:
「あいつ、俺より愛想いいじゃん……」
マリア:
「そこかよ」
レオ:
「大事だろ! 俺の顔なのに、俺より上手く使いやがって!」
ノア:
「レオさん……」
レオ:
「見たか今の!? 『皆さんを守ります』って! あの笑顔!」
レオ:
「俺、あんな笑顔できねえぞ!」
マリア:
「……」
レオ:
「俺の方がナルシストなのに、あいつの方が顔を活かしてる!」
マリア:
「……それ、褒めてねえぞ」
レオ:
「褒めてるだろ! 俺の顔の可能性を、あいつが引き出してるんだ!」
トビー:
「……複雑ですね」
カイル:
「いや、意味分かんねえよ」
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【個別インタビュー】
勇者レオ/告白部屋(食堂の隅)
(レオが頭を抱えている)
レオ:
「……俺、いらないじゃん」
トビー(画面外):
「そんなことは……」
レオ:
「いらねえよ」
レオ:
「あいつがいれば、俺いらねえじゃん」
トビー:
「……」
レオ:
「同じ顔なんだぞ? しかも演技力は向こうが上」
レオ:
「愛想も良い。聖剣も使える。観客の反応も良い」
レオ:
「俺の上位互換じゃん」
トビー:
「……」
レオ:
「俺、何のために勇者やってたんだ」
トビー:
「……」
レオ:
「顔だけが取り柄だったのに」
レオ:
「その顔すら、俺だけのものじゃなかった」
トビー:
「……」
(レオが俯く)
レオ:
「……俺、誰なんだろ」
-----
【映像ログ:未公開(魔王軍基地・会議室・午後)】
(会議室。全員が集まっている)
ザック:
「状況を整理する」
(ザックがホワイトボードに書きながら)
ザック:
「一つ目。王国は海賊放送を『幻術魔法による捏造』と断定した」
トビー:
「予想通りです」
ザック:
「二つ目。『幻術残留痕』なる証拠を提示してきた」
カイル:
「そんなもん、存在しねえだろ」
ザック:
「当然、捏造だ。だが、一般市民には判断できない」
マリア:
「……」
ザック:
「三つ目。新しい勇者パーティーがデビューした」
(全員がレオを見る)
レオ:
「…………」
ザック:
「新勇者『アレク』の顔が、レオと瓜二つ」
レオ:
「瓜二つじゃねえ。同じだ」
ザック:
「……同じ、か」
トビー:
「これは偶然じゃない」
ザック:
「ああ。明らかに、エリクシール社が関与してる」
マリア:
「……どういうことだ」
トビー:
「PROJECT VESSELです」
ノア:
「……」
トビー:
「被験者だけじゃない。勇者も、計画の一部だった可能性がある」
カイル:
「勇者も……作られた存在ってことか」
トビー:
「……」
(トビーがレオを見る)
トビー:
「レオさん」
レオ:
「……なんだよ」
トビー:
「ご自身の出自について、何か覚えていることは」
レオ:
「……」
(5秒の沈黙)
レオ:
「俺は王都の名門出身だ」
トビー:
「……」
レオ:
「エリクシール社の支援で、幼い頃から英才教育を受けた」
トビー:
「エリクシール社の……」
レオ:
「剣術、魔法、礼儀作法、演技……全部」
マリア:
「……演技?」
レオ:
「ああ。『勇者としての振る舞い方』を、ずっと教え込まれた」
トビー:
「……」
レオ:
「でも、俺は普通の人間だ。被験者じゃない」
(レオが首筋を見せる)
レオ:
「痣もねえし」
ノア:
「……」
レオ:
「……たぶん」
マリア:
「たぶん?」
レオ:
「いや……俺は普通の……」
(レオの声が小さくなる)
レオ:
「……普通の人間の、はずだ」
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【個別インタビュー】
ADトビー/告白部屋(会議室の隅)
(カメラを自分に向けて)
トビー:
「第11話でレオさんが言った言葉を思い出す」
トビー:
「『俺の顔、整いすぎだと思わない?』」
トビー:
「『誰かに作られた顔だとしても、傷つけさせるわけにはいかねえ』」
トビー:
「あの時は、冗談半分だと思っていた」
トビー:
「だが、今は違う」
トビー:
「新勇者アレク。レオと同じ顔。より洗練された演技力」
トビー:
「これは……」
(トビーが沈黙する)
トビー:
「レオさんは、オリジナルなのか」
トビー:
「それとも、アレクがオリジナルで、レオさんが試作品なのか」
トビー:
「あるいは、両方とも……作られた存在なのか」
トビー:
「答えは、まだ分からない」
トビー:
「だが、一つだけ確かなことがある」
トビー:
「レオさんは、俺たちの仲間だ」
トビー:
「誰に作られたかなんて、関係ない」
-----
【映像ログ:未公開(魔王軍基地・通信室・午後3時)】
(通信室。ザックとトビーが情報を整理している)
ザック:
「情報提供者からの連絡を分析した」
トビー:
「何か分かったか」
ザック:
「興味深いものがある」
(ザックが魔導石板を見せる)
ザック:
「エリクシール社の元研究員からだ」
トビー:
「内容は」
ザック:
「『PROJECT VESSELには、二つの系統がある』」
トビー:
「二つの系統……」
ザック:
「一つは『器系統』。これは被験者プロジェクト。魔力を宿す器を育てる」
トビー:
「ノアやカイルのことか」
ザック:
「ああ。もう一つは『鏡系統』」
トビー:
「鏡系統?」
ザック:
「理想の英雄像を体現する、完璧な器を作る計画」
トビー:
「……レオさんのことか」
ザック:
「そうだろうな。『鏡系統』は、外見と演技力に特化している」
トビー:
「……」
ザック:
「レオが試作品で、アレクが改良版……そう考えれば辻褄が合う」
トビー:
「……試作品」
ザック:
「あくまで推測だ。確証はない」
トビー:
「……」
ザック:
「でも、これだけは分かった」
トビー:
「何だ」
ザック:
「エリクシール社は、勇者すら量産しようとしている」
トビー:
「……」
ザック:
「英雄を作り出し、民衆を操る。それが奴らの目的だ」
トビー:
「……吐き気がする」
ザック:
「同感だ。胃薬、いる?」
トビー:
「……くれ」
-----
【映像ログ:ON AIR(王国放送・新番組予告)】
(華やかなBGM)
ナレーション:
「新たな伝説が、今、幕を開ける」
(新勇者アレクの映像)
アレク:
「僕は、皆さんの希望です」
ナレーション:
「新・聖女ソフィアの慈愛」
ソフィア:
「傷ついた心を、癒します」
ナレーション:
「新・魔法使いエリンの勇気」
エリン:
「一緒に、頑張りましょう!」
ナレーション:
「王国広報局プロパガンダ番組『トゥルー・ブレイブ』」
ナレーション:
「来週、堂々放送開始!」
アレク:
「偽りの英雄に代わり、僕たちが皆さんを守ります」
アレク:
「これが、真の勇者の姿です」
(アレクが完璧な笑顔を見せる)
-----
【映像ログ:未公開(魔王軍基地・食堂・夕方)】
(食堂。レオが一人で座っている)
(テーブルには、手付かずの食事)
(マリアが近づいてくる)
マリア:
「……おい」
レオ:
「……」
マリア:
「飯、食えよ」
レオ:
「……腹減ってねえ」
マリア:
「嘘つけ。朝から何も食ってねえだろ」
レオ:
「……」
(マリアがレオの向かいに座る)
マリア:
「……聞けよ」
レオ:
「……」
マリア:
「あの新勇者」
レオ:
「……」
マリア:
「確かに、愛想は良かった」
レオ:
「……だろ」
マリア:
「演技も上手かった」
レオ:
「……」
マリア:
「聖剣の構えも様になってた」
レオ:
「追い打ちかけんのやめろよ……」
マリア:
「でも」
レオ:
「……」
マリア:
「あいつには、何かが足りねえ」
レオ:
「……何だよ」
マリア:
「……知るか」
レオ:
「知らねえのかよ」
マリア:
「言葉にできねえ。でも、何か違う」
レオ:
「……」
マリア:
「あいつは完璧すぎる。だから、気持ち悪い」
レオ:
「……」
マリア:
「お前は違う」
レオ:
「俺は不完全ってことか」
マリア:
「そうじゃねえよ」
(マリアが薬草巻きを取り出す)
マリア:
「お前は……キモいナルシストだ」
レオ:
「ひでえ」
マリア:
「黙って聞け」
レオ:
「……」
マリア:
「お前は、キモいナルシストで、顔のことしか考えてなくて、事務所NGとかわけわかんねえこと言って」
レオ:
「褒める気あんのか」
マリア:
「でも」
(マリアがレオを見る)
マリア:
「仲間のために、戦った」
レオ:
「……」
マリア:
「海賊放送の時、お前はアドリブで言っただろ」
マリア:
「『俺は勇者だ。仲間を守る勇者だ』って」
レオ:
「……」
マリア:
「あれは、台本じゃなかった」
レオ:
「……」
マリア:
「お前の本心だった」
レオ:
「……」
マリア:
「あの新勇者に、それができるか?」
レオ:
「……」
マリア:
「台本通りに完璧な演技をするだけの奴に、仲間のために命を張れるか?」
レオ:
「……分かんねえよ」
マリア:
「俺は分かる」
レオ:
「……」
マリア:
「あいつには、できねえ」
(マリアが薬草巻きに火をつける)
マリア:
「だから、お前の勝ちだ」
レオ:
「……何の勝負だよ」
マリア:
「知るか」
(マリアが煙を吐く)
マリア:
「でも、俺が知ってる勇者はお前だ」
-----
【個別インタビュー】
聖女マリア/告白部屋(食堂の隅)
(薬草巻きをふかしながら)
マリア:
「……褒めたわけじゃねえからな」
トビー(画面外):
「そうですか」
マリア:
「事実を言っただけだ」
トビー:
「レオさん、少し元気になったように見えましたが」
マリア:
「……知るか」
トビー:
「……」
マリア:
「あいつがうじうじしてると、イラつくんだよ」
トビー:
「……」
マリア:
「いつもみたいに『俺の顔が最高』とか言ってろよ」
トビー:
「……心配してるんですね」
マリア:
「してねえよ」
トビー:
「……」
マリア:
「……」
(5秒の沈黙)
マリア:
「……オフレコな」
トビー:
「録画してます」
マリア:
「消せ」
トビー:
「後で考えます」
マリア:
「考えるな」
-----
【映像ログ:未公開(魔王軍基地・通信室・夜)】
(通信室。ザックが新たな情報を分析している)
ザック:
「おい、トビー」
トビー:
「どうした」
ザック:
「また情報が来た」
トビー:
「誰から」
ザック:
「匿名だ。でも、内容が具体的すぎる」
(ザックが魔導石板を見せる)
ザック:
「『新勇者アレクは、プロトタイプ02である』」
トビー:
「プロトタイプ02……」
ザック:
「『プロトタイプ01は、現勇者レオ』」
トビー:
「……やはり」
ザック:
「『両者は同一の設計図から作られた。だが、01は感情制御に失敗した不完全品』」
トビー:
「感情制御の失敗……」
ザック:
「『02は、01の欠点を修正した改良版。感情は最小限に抑えられ、完璧な演技が可能』」
トビー:
「……」
ザック:
「『01は廃棄予定だったが、番組の人気で延命。しかし、今回の裏切りで用済みとなった』」
トビー:
「用済み……」
ザック:
「『02の投入は、01の代替である』」
トビー:
「……」
(トビーが沈黙する)
トビー:
「レオさんは……感情制御に失敗した、不完全品」
ザック:
「そう書いてある」
トビー:
「だが、その『失敗』こそが」
ザック:
「……ああ」
トビー:
「レオさんをレオさんたらしめている」
ザック:
「ナルシストで、顔のことしか考えてなくて、でも仲間を守ろうとする」
トビー:
「不完全だからこそ、人間らしい」
ザック:
「……皮肉だな」
トビー:
「ああ」
ザック:
「エリクシール社が『失敗』と見なしたものが、俺たちにとっては『成功』だ」
トビー:
「……この情報、レオさんに伝えるべきか」
ザック:
「……どうする」
トビー:
「……」
(10秒の沈黙)
トビー:
「……伝える。全部」
ザック:
「いいのか」
トビー:
「レオさんには、知る権利がある」
ザック:
「傷つくぞ」
トビー:
「それでも」
トビー:
「嘘をつくより、真実を伝える方がいい」
ザック:
「……」
トビー:
「俺は記録係だ。真実を隠すのは、俺の仕事じゃない」
ザック:
「……分かった」
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