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第19話 悩み相談 ※天川有加里視点
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道の真ん中で、しゃがみ込んでいた私。声が聞こえた方へ顔を上げてみると、心配する表情の彼が立っていた。大丈夫かと聞いてきたのは、間違いなく彼だった。
こんなところで頭を抱えてしゃがみ込んでいたから、心配させてしまった。なんて申し訳ないことをしてしまったのか。
慌てて立ち上がり、大丈夫だと答えようとした。しかし、口を開こうとする寸前に考えた。これは、話の種になるかもしれない。配信の雑談で使える話題。
心配して声をかけてくれた彼に、私の悩みを素直に打ち明けてみることにした。
「実は今、悩んでいて」
「悩み? どうしたんですか?」
一種の賭けだった。だけど、彼は興味を持ってくれた。普通の男性なら、女の話に興味なんてないだろう。そもそも、道の真ん中で頭を抱えている怪しい女なんかに、声をかけない。しかし、彼は違うようだ。話を聞いてくれそう。
こんな出会いがあるなんて、信じられない。私は今、若い男の子と会話している。それだけで嬉しい。奇跡のような体験。しかも、彼の方から話しかけてくれた。
「ちょっと、直人! 知らない女性に話しかけたら、危ないよ」
「このお姉さんは、大丈夫そうだよ。何か悩んでるんだって」
私の悩みについて説明しょうとした時、学生服の女性が割り込んできた。男の子を名前で呼んでいる。
2人は知り合いのようだ。クラスメイトなのだろうか。そうだとしたら羨ましい。羨ましすぎるよ。
私が学生だった頃、何人かクラスメイトに男子が居た。だけど、誰一人として関わることは出来なかった。クラスで一番に運動神経抜群で成績も優秀だった女子生徒が告白して大失敗したという噂話を聞いてから、さらに関わるのは無理だろうなと思うようになった。
あの時、気になっていた男の子に玉砕を覚悟してチャレンジしていたらどうなっていたのかな。素晴らしい青春の日々を過ごせていたかも。いや、私なんか相手にされなかっただろう。
だから、目の前で男の子と普通に会話している学生の彼女が、とにかく羨ましい。
「なんだか怪しいよ。関わり合いにならないほうが良いと思うけど」
「興味があるんだ。なんだか面白そうだし。ちょっと話を聞くだけだから」
「でも」
今は、そんなことよりも。私のせいで、2人が軽く揉めている。どうにかしないといけない。だけど、会話に割り込むことが出来ない。どうするべきか。何も出来ず、黙って待つしかなかった。
「ちょっとだけ、だから。ね、麻利恵」
「うっ! う、うーん……」
そんな、優しくて甘い声でお願いされたら誰だって断れなさそう。しかも、下から見上げるような目線には抗えない魅力があった。横で見ていた私も、許してあげたくなる気持ちになる。
「ということで。お姉さんの悩み、ぜひ聞かせてください!」
「あ、うん」
2人の話が終わると、今度は私に話しかけてくれた。
とても積極的に、私の話を聞こうとしてくれる彼。男性に、こんなに興味を持ってもらったのは生まれて初めて。一緒にいる女子生徒は、私のことを強く警戒しているのを感じた。その反応は、当然だろう。
「話すとなると、ちょっと長くなるかもしれないから。道の真ん中だとあれだから、どこか落ち着ける場所に移動して、そこで話すよ。何か奢るからさ」
「はい。行きましょう」
「ちょっと、直人!」
その男の子は無防備すぎた。よくあるナンパみたいなセリフで、出会ったばかりの女性についてくるなんて。誘った私ですら、とても心配になってくる。本当に大丈夫なのか。これほど簡単にホイホイついてきたら危ないよと、忠告したくなる。
でも今は、私も話を聞いてもらいたいから何も言わない。どんどん不機嫌になっていく女子生徒に睨まれたまま、3人で近くにあったファミレスへ移動した。そこで、私の話を聞いてもらうことに。
こんなところで頭を抱えてしゃがみ込んでいたから、心配させてしまった。なんて申し訳ないことをしてしまったのか。
慌てて立ち上がり、大丈夫だと答えようとした。しかし、口を開こうとする寸前に考えた。これは、話の種になるかもしれない。配信の雑談で使える話題。
心配して声をかけてくれた彼に、私の悩みを素直に打ち明けてみることにした。
「実は今、悩んでいて」
「悩み? どうしたんですか?」
一種の賭けだった。だけど、彼は興味を持ってくれた。普通の男性なら、女の話に興味なんてないだろう。そもそも、道の真ん中で頭を抱えている怪しい女なんかに、声をかけない。しかし、彼は違うようだ。話を聞いてくれそう。
こんな出会いがあるなんて、信じられない。私は今、若い男の子と会話している。それだけで嬉しい。奇跡のような体験。しかも、彼の方から話しかけてくれた。
「ちょっと、直人! 知らない女性に話しかけたら、危ないよ」
「このお姉さんは、大丈夫そうだよ。何か悩んでるんだって」
私の悩みについて説明しょうとした時、学生服の女性が割り込んできた。男の子を名前で呼んでいる。
2人は知り合いのようだ。クラスメイトなのだろうか。そうだとしたら羨ましい。羨ましすぎるよ。
私が学生だった頃、何人かクラスメイトに男子が居た。だけど、誰一人として関わることは出来なかった。クラスで一番に運動神経抜群で成績も優秀だった女子生徒が告白して大失敗したという噂話を聞いてから、さらに関わるのは無理だろうなと思うようになった。
あの時、気になっていた男の子に玉砕を覚悟してチャレンジしていたらどうなっていたのかな。素晴らしい青春の日々を過ごせていたかも。いや、私なんか相手にされなかっただろう。
だから、目の前で男の子と普通に会話している学生の彼女が、とにかく羨ましい。
「なんだか怪しいよ。関わり合いにならないほうが良いと思うけど」
「興味があるんだ。なんだか面白そうだし。ちょっと話を聞くだけだから」
「でも」
今は、そんなことよりも。私のせいで、2人が軽く揉めている。どうにかしないといけない。だけど、会話に割り込むことが出来ない。どうするべきか。何も出来ず、黙って待つしかなかった。
「ちょっとだけ、だから。ね、麻利恵」
「うっ! う、うーん……」
そんな、優しくて甘い声でお願いされたら誰だって断れなさそう。しかも、下から見上げるような目線には抗えない魅力があった。横で見ていた私も、許してあげたくなる気持ちになる。
「ということで。お姉さんの悩み、ぜひ聞かせてください!」
「あ、うん」
2人の話が終わると、今度は私に話しかけてくれた。
とても積極的に、私の話を聞こうとしてくれる彼。男性に、こんなに興味を持ってもらったのは生まれて初めて。一緒にいる女子生徒は、私のことを強く警戒しているのを感じた。その反応は、当然だろう。
「話すとなると、ちょっと長くなるかもしれないから。道の真ん中だとあれだから、どこか落ち着ける場所に移動して、そこで話すよ。何か奢るからさ」
「はい。行きましょう」
「ちょっと、直人!」
その男の子は無防備すぎた。よくあるナンパみたいなセリフで、出会ったばかりの女性についてくるなんて。誘った私ですら、とても心配になってくる。本当に大丈夫なのか。これほど簡単にホイホイついてきたら危ないよと、忠告したくなる。
でも今は、私も話を聞いてもらいたいから何も言わない。どんどん不機嫌になっていく女子生徒に睨まれたまま、3人で近くにあったファミレスへ移動した。そこで、私の話を聞いてもらうことに。
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