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第25話 元婚約相手の結婚式
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マルク王子の結婚式が行われるので、実家に招待状が送られてきた。王族の結婚式だから、私も参加しなければならない。
アンドリック様と一緒に行きたかった。けれどまだ私たちは、婚約関係であり夫婦ではなかった。もう既に私は、エルヴェシウス公爵家の屋敷で生活をしているので、夫婦のような関係に思えた。それでも、正式には結婚していないので今回は別々。
実家から、両親と一緒に行くことになった。
私とアンドリック様も近いうちに結婚式を挙げる予定。参考になるかもしれないと思い、結婚式の様子を見学する。なるべく目立たないよう質素なドレスを着て出席。結婚式を邪魔しないように配慮して。
例の女性が、結婚式用のドレスを着てマルク王子の横に立っていた。ドレスは素敵だけど、体型がちょっと太めだった。
教育係は何も言わなかったのかしら。もしかすると、あの女性は反抗したのかも。でも、いいことだと思う。あんなに無茶な内容を押し付けられたら、断るべきよね。私には断ることが出来なかった。ただひたすら命じられた通り、やるしかなかった。それで大変な事態になり、マルク王子から婚約破棄を告げられることに。
だからこそ、彼女はすごいと思う。自分の意見を言えたのね。そして、認められているようだ。彼女のような女性が王子と一緒になれてよかったと思う。そんな2人の結婚を祝福する。
両親たちの挨拶回りを邪魔をしないよう、披露宴会場の隅に移動して気配を消す。終わるまで時間が過ぎるのを1人で待っていると、マルク王子が近寄ってきた。
うわぁ、と思う気持ちを抑える。あまり話したくないが、無視することは出来ないわよね。失礼のないように対応しないといけない。私は無理やり、笑顔を作った。
彼も笑顔だ。あんな事があったけれど、今日は祝うべき日。何事もなかったように振る舞っているので、そんな彼の態度に私も合わせる。あの日のことには触れない。
「ご結婚おめでとうございます、マルク様にアイリーン様」
「ありがとう、オリヴィア」
近くまで来たので、私から声をお掛けしてご挨拶した。結婚を祝う言葉と一礼を。彼の横に立つ新たな王妃は、無表情で私の顔を見てきた。何を考えているのか分からない表情。今日は結婚式なのに、あまり幸せそうには思えない顔だった。
私とマルク王子が会話しているのを嫌がっている?
それなら、私は早く立ち去りましょう。そう思って離れようとした時、マルク王子が口を開いた。
「久しぶり、だな」
「そうですね」
会話を続ける気? 彼が私の全身を舐めまわすように見てきた。あまり気分がいいものではない。早く会話を終わらせて、この場から離れたい。
「マルク様、アイリーン様。ご結婚おめでとうございます」
「あ、ああ。ありがとう」
その時、別の貴族が王子に話しかけた。このタイミングを逃すべきではない。
今回の結婚式は、数多くの貴族たちが出席している。マルク王子と挨拶したい人が沢山いた。彼らを邪魔しないように、私は離れた方がいいでしょう。
「それでは、ごきげんよう」
「あっ」
それだけ言って私は、すぐにその場から離れた。背中に感じる視線など無視して。
あぁ、アンドリック様に会いに行きたい。公爵家の当主である彼も王子の結婚式に招待されたので、この会場に来ている。探してみましょうか。帰りは一緒になれるといいんだけれど。
アンドリック様と一緒に行きたかった。けれどまだ私たちは、婚約関係であり夫婦ではなかった。もう既に私は、エルヴェシウス公爵家の屋敷で生活をしているので、夫婦のような関係に思えた。それでも、正式には結婚していないので今回は別々。
実家から、両親と一緒に行くことになった。
私とアンドリック様も近いうちに結婚式を挙げる予定。参考になるかもしれないと思い、結婚式の様子を見学する。なるべく目立たないよう質素なドレスを着て出席。結婚式を邪魔しないように配慮して。
例の女性が、結婚式用のドレスを着てマルク王子の横に立っていた。ドレスは素敵だけど、体型がちょっと太めだった。
教育係は何も言わなかったのかしら。もしかすると、あの女性は反抗したのかも。でも、いいことだと思う。あんなに無茶な内容を押し付けられたら、断るべきよね。私には断ることが出来なかった。ただひたすら命じられた通り、やるしかなかった。それで大変な事態になり、マルク王子から婚約破棄を告げられることに。
だからこそ、彼女はすごいと思う。自分の意見を言えたのね。そして、認められているようだ。彼女のような女性が王子と一緒になれてよかったと思う。そんな2人の結婚を祝福する。
両親たちの挨拶回りを邪魔をしないよう、披露宴会場の隅に移動して気配を消す。終わるまで時間が過ぎるのを1人で待っていると、マルク王子が近寄ってきた。
うわぁ、と思う気持ちを抑える。あまり話したくないが、無視することは出来ないわよね。失礼のないように対応しないといけない。私は無理やり、笑顔を作った。
彼も笑顔だ。あんな事があったけれど、今日は祝うべき日。何事もなかったように振る舞っているので、そんな彼の態度に私も合わせる。あの日のことには触れない。
「ご結婚おめでとうございます、マルク様にアイリーン様」
「ありがとう、オリヴィア」
近くまで来たので、私から声をお掛けしてご挨拶した。結婚を祝う言葉と一礼を。彼の横に立つ新たな王妃は、無表情で私の顔を見てきた。何を考えているのか分からない表情。今日は結婚式なのに、あまり幸せそうには思えない顔だった。
私とマルク王子が会話しているのを嫌がっている?
それなら、私は早く立ち去りましょう。そう思って離れようとした時、マルク王子が口を開いた。
「久しぶり、だな」
「そうですね」
会話を続ける気? 彼が私の全身を舐めまわすように見てきた。あまり気分がいいものではない。早く会話を終わらせて、この場から離れたい。
「マルク様、アイリーン様。ご結婚おめでとうございます」
「あ、ああ。ありがとう」
その時、別の貴族が王子に話しかけた。このタイミングを逃すべきではない。
今回の結婚式は、数多くの貴族たちが出席している。マルク王子と挨拶したい人が沢山いた。彼らを邪魔しないように、私は離れた方がいいでしょう。
「それでは、ごきげんよう」
「あっ」
それだけ言って私は、すぐにその場から離れた。背中に感じる視線など無視して。
あぁ、アンドリック様に会いに行きたい。公爵家の当主である彼も王子の結婚式に招待されたので、この会場に来ている。探してみましょうか。帰りは一緒になれるといいんだけれど。
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