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始まりはガチャ
セルフらっきーすけべ
しおりを挟む落下の衝撃で頭が転がっていく。地面に落ちたことによる痛みは殆どなかったが、代わりに視界が一気に変わっていく。うわ、ここ微妙に傾斜が付いているのかよ。これ以上転がるのは止めてくれ!?
転がる速度が速くなるようなことはなさそうだが、すぐに止まるような気配はない。
やばい、これは酔いそうだ。目を閉じれば多少はマシに……いや駄目だ。変なところに転がっていったら場所がわからなくなる。
頭がようやく停止した。辛うじて体の位置が見えるから、ここまで来れるというか行けるが、これ体が視界に入らない所に転がって行ったらどうにもできないぞ!? 適当に歩いても転ぶだろうし、最悪坂道だったら止まらないだろ。そうなれば確実に見失う。
いや、悩むのは後で良いか。とりあえず頭を拾わないと、視界が斜めになっていて変な感じだ。
慎重に歩く。体の足元が見えている訳じゃあないからな。下手すれば転びそう。いや、下手しないでも転びそうだな。って、転んだぁ!?
転ばないように耐えようとしたから1歩2歩前に進んで……あ、ちょっとまてこのままだと頭の上にダイブして来るんじゃ!?
ちょ、ああああぁぁああ!? ぐえっ!
勢いがついた状態で前のめりに倒れて来た俺?の体が俺の頭の上に倒れ込んで来たことで、俺の視界は真っ暗になった。
うぐぅうう。
頭が胸にぶつかったことで胸部に痛みが走る。頭は、どうやら痛覚が無いらしく痛みはない。それが唯一の救いか。正直、頭にも痛覚が有ったら酷いことになって良そうだしな。思いっきりごりっって音が頭の中に響いたし。
今どうなっているかっていうのは体の感覚から何となくわかって来る。どうやら俺の体は丁度胸部、まあ胸で頭を押しつぶしている状態の様だ。
薄らある頭の感覚からおそらく俺の顔に胸が押し付けられた状態だろう。横を向いていたら多少視界が明るくなっているだろうから、そうだと思われる。地面側に顔が向いている可能性もあるが、ギリギリ柔らかい何かに当たっている感覚があるのでそれは無いだろう。
なるほどなぁ、コレがいわゆるらっきーすけべってやつかぁ。ハハ。
何つーかあんまりありがたみが無いなぁ。むしろ胸の痛みの方が強かったし、実際あんなことが起きても、キャーエッチ、なんてやる余裕ないよな、痛すぎてそれどころじゃねぇわ。押し付けられている顔の方は殆ど感覚がないみたいだし、特にそう思う。
まあ、どっちも俺の体だからそう思うだけかもしれんが。
何だかむなしい気持ちになりながら体を起こして地面に座った後、押しつぶしていた頭を回収する。
触った感じ、潰れているような感じはないな。
頭、磁石みたいにくっ付くと思ったんだけどな。これはこれからどうやって頭を首に固定するかを考えないといけないのか。
そう言えばすげぇ今更だけど、ここってどこだ? 今まで俺の体のことで一杯一杯だったから気にしていなかったけどさ。
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