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スローライフは遠い

私にそういう趣味はありません

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 気絶しているだけの男は放置して完全に動かなくなっている男から上着とズボンを引んむく。下着はさすがにいらないので放置。

 すでにこと切れているとはいえ、男の着ている服を脱がすというのはあまりいい気分ではない。そういう趣味ではないというのもあるが、それにこの男たちが着ている服はそれほど洗われていないのか、かなり臭い。とはいえ、この機会を逃せばいつ服が手に入るかわからないのだ。今は我慢して使う前にしっかりと洗えばいいだろう。

 3人目の服を脱がせたところで女性たちが服を着て戻ってきた。しかし、その服はところどころ破け、着ていない状態よりも何か危ない感じの見た目をしていた。破れているのはおそらく男たちに無理やり脱がされたときにやられたのだろう。

「あなた本当に何しているの?」

 まあ確かにやっているところだけを見れば相当やばいやつに見えるのは致し方ない。理由を知らなければ死んでいる男から服を脱がせているとか意味不明だしな。

 俺のやっていることを見て、先ほどよりもより怪訝な視線を向けてきている獣人の女性だが、服は胸元からざっくり裂かれていることで起伏のしっかりしている体がその隙間から見え、駄に扇情的な見た目になっていた。

 一方、耳の尖った女性は獣人の女性の裏に隠れ、ちらちらと俺のことをうかがってきている。
 こちらも同じように服が裂かれ、あられもない見た目になっているが、獣人の女性よりも体の起伏が小さいため、そこまで扇情的な印象は受けない。それと、獣人の女性の後ろに隠れちらちらとこちらを伺っているその様子は、小動物のような印象が強い。怯えながらもこちらを覗いて様子は、ちょっとかわいい。

「これは単純に服が欲しくてね。この森に棲んでいると手に入らないし、出来れば下くらいは着たいんだよね」
「ああ……あなた何も履いていないものね」

 俺の体を軽く一瞥した獣人の女性は呆れたようにそう言う。
 この反応から全身が毛でおおわれているからと言って何も着ていないのは、獣人からしても全裸と同じということなのだろう。しかし、もしかしてこれはそういう趣味のやつだと思われていたのか?

 そう考えると、彼女から見れたあの状況は、突然全裸の変態男が現れ、あまつさえ人間たちを殴り、さらには殺したというものだ。そうだとすればまだ生きている人間が居るにもかかわらず怒鳴りかけてきたのも納得である。

「それで、この後どうするつもりなのよ。よりにもよって人間を殴るなんて、大罪なのよ。殺されそうになっても何も言えないじゃない」
「大罪だろうと、あのまま何もしなかったところで何の好転もしなかっただろうし、最悪殺される可能性もあったんだから、そこまで差はないだろ? それともあのままがよかったのか?」

 少し意地悪な言い方になってしまったが、逆らえなかったとはいえ男たちにいいようにされるのは嫌だったようで、獣人の女性は無言で首を横に振った。
 あんな状況を喜ぶような人はそう存在しないだろうから当然の反応だが、そう思っていても拒否できないというのは相当根深い問題だな。

「こいつらに他に仲間がいるとかわかるか?」
「たぶんこれで全員だと思うわ。私が捕まった時も同じ顔ぶれだったし、他の男は見ていない」
「わ、私の時は最初3人で、後から5人になったので他にはたぶん……」

 他にはいない感じか。他にいて不意に鉢合わせしたところで同じような対処をすればいいんだが、2人の証言からして他に仲間はいなさそうだな。
 なら残った2人もとどめを刺しておくか。
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