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薬草の使用
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「本日は、私の成人の誕生日パーティーにお集まりくださり、誠にありがとうございます」
純粋にお祝いに来てくださった方は数えるほどしかいないでしょうけど。
「…………楽しい一時をお過ごしくださればと思います」
パチパチパチ
今の挨拶と拍手で終わりでいいのにこれから長い挨拶が始まる…両親と一緒だし、ずっと笑顔を貼り付けているのって疲れるのよね。
「リリーナ」
アルフレッド様が隣りに来てくださり、お兄様がルーシーを探しに行ってくれてるとそっと教えてくれた。
メアリーは…アンナが見張ってくれているわね。
実は、うちの執事として働いている領地なし男爵位の男性と結婚しているアンナ。
男爵位の招待客は他にいないし、使用人として働いている家のパーティーに裏方ではなく招待客として参加させることに申し訳無さはある。けれどメイド姿だと都合が悪いのもあって、今日は夫婦で貴族として参加をお願いした。
堂々とパーティー会場内にいれるし挨拶も一番最後でアマンダと入れ代わりでメアリーを見張ることができるし、お父様の許可がおりてよかったわ。元々縁戚関係だったおかげね…お父様を説得したのはお兄様だけど。
**
ようやく終わったわ。一先ずメアリーの様子を確認して、ルーシーの事も二人に伝えなければね。
「アマンダ、アンナ」
「お疲れ様。今のところ、特に目立った行動はされていないわ」
「そう、ありがとう。それよりホワイトさんがいたわ」
「っ!?」
「うちのメイド服を着ていから邸内で何かを仕掛けて……えっ」
なんでルーシーがこの会場内にいるの!? ……って、入口を突破してるんですもの招待客の一人にしか見えないわよね。それにしてもいつの間にドレスに着替えたのかしら。
「ちょっと待って、あれは私のドレスよ」
「やはりそうですよね。私もそうではないかと思いました」
「えっ!? 問いただす?」
「今はいいわ。パーティーが終わってからにするわ。でも、お兄様とアルフレッド様には伝えておかなければね」
早速伝えておこうとお兄様とアルフレッド様の元へ行き二人と話をしていると、招待客であり私と同じ公爵家の令息が声をかけてきた。
「レオニール、久々だな」
お兄様のご学友だった人ね。
………ん? メアリーが誰かと話をしているけど、彼は誰? 見たことのない顔ね。あんな上級使用人いたかしら?
あっちに行きたい…けどお兄様のご友人の話が終わらない!
早く話し終わってと祈り続けるとようやく開放されたわ。メアリー達も話し終えた様子。使用人がどこかへ向かったのはメアリーに何かを頼まれたからなのかしら?
お兄様とアルフレッド様は気づいてる? と思い声をかけようとすると、いつの間にか近付いていたメアリーに先に声をかけられてしまった。
「お姉様、少しよろしいかしら」
「なにかしら」
「こちらへ」
「ここで話してちょうだい」
移動するのを断ると、一歩近づいて来たメアリーがニヤッとして私の耳元で囁いてきた……そう、日本語で。
「悪役令嬢」
!?
驚きを隠しきれなかったかもしれない。メアリー、あなたも転生者だったの!?
「分かったわ」
「リリーナ」
「大丈夫です。すぐに戻りますので」
アルフレッド様が心配して声をかけてくださったけれど、私は転生者であることを誰にもしれたくないし、ここは付いて行くしかない。
「本当についてきた」
少し離れた場所に着くと、メアリーにそう言われた。
「えっ?」
「ルーシーが教えてくれたのよ。ああ言えばお姉様をアルフレッド様から離せるって。意味が分からなかったけど言ってみるものね」
しまった!
私とアルフレッド様を離すためだけに教えてもらった言葉だったのね。離れるんじゃなかったわ。
アルフレッド様の方を見ると、さっきメアリーが話していた使用人がアルフレッド様に近付いている。しかも何か飲み物を渡そうとしているじゃない。
「メアリー、あなた」
「お姉様。私少し気分が悪いみたいなので部屋に戻ります」
「あっ、ちょっ…」
慌ててアルフレッド様の元に戻ると既に使用人の姿はなく、手渡された飲み物も空になっていた。
「えっ、嘘でしょ……アルフレッドさま…」
「大丈夫」
えっ?
「リリーナからの贈り物だと言って手渡されたから、飲まなかった」
「よかった……でもグラスが空になっているのは…?」
「あぁ、これは感想を伝えたいから飲んでくれと動こうとしなかったから、一口飲むふりをしたんだ。それで彼が目を離した隙に、レオニールが瞬時に用意した空のグラスと交換した」
渡されたのはこっちだ、とお兄様が見せてくれたのは青みがかった綺麗な色の液体だった。
「持ってきた使用人はどちらへ?」
「ダニエル達が連れて行ったよ」
「そうですか」
「これはおそらく例の薬草が入っているのだろう。効果が出たふりをする事も考えたが、媚薬と思われるが違う可能性もある。調べるまではどういう効果があるか分からないから念の為やめておいたんだ。それに、主犯が誰なのかによっては動き方を考えなければならないからね」
メアリーの駒はさっきの男性。だったらルーシーは何故ここにいるの? 私が気付かない間にメアリーと接触していたのかしら?
二人はあまり納得していないようだけど、ドレスの件もあるし、パーティーが終わってから直接話を聞いてみよう。
純粋にお祝いに来てくださった方は数えるほどしかいないでしょうけど。
「…………楽しい一時をお過ごしくださればと思います」
パチパチパチ
今の挨拶と拍手で終わりでいいのにこれから長い挨拶が始まる…両親と一緒だし、ずっと笑顔を貼り付けているのって疲れるのよね。
「リリーナ」
アルフレッド様が隣りに来てくださり、お兄様がルーシーを探しに行ってくれてるとそっと教えてくれた。
メアリーは…アンナが見張ってくれているわね。
実は、うちの執事として働いている領地なし男爵位の男性と結婚しているアンナ。
男爵位の招待客は他にいないし、使用人として働いている家のパーティーに裏方ではなく招待客として参加させることに申し訳無さはある。けれどメイド姿だと都合が悪いのもあって、今日は夫婦で貴族として参加をお願いした。
堂々とパーティー会場内にいれるし挨拶も一番最後でアマンダと入れ代わりでメアリーを見張ることができるし、お父様の許可がおりてよかったわ。元々縁戚関係だったおかげね…お父様を説得したのはお兄様だけど。
**
ようやく終わったわ。一先ずメアリーの様子を確認して、ルーシーの事も二人に伝えなければね。
「アマンダ、アンナ」
「お疲れ様。今のところ、特に目立った行動はされていないわ」
「そう、ありがとう。それよりホワイトさんがいたわ」
「っ!?」
「うちのメイド服を着ていから邸内で何かを仕掛けて……えっ」
なんでルーシーがこの会場内にいるの!? ……って、入口を突破してるんですもの招待客の一人にしか見えないわよね。それにしてもいつの間にドレスに着替えたのかしら。
「ちょっと待って、あれは私のドレスよ」
「やはりそうですよね。私もそうではないかと思いました」
「えっ!? 問いただす?」
「今はいいわ。パーティーが終わってからにするわ。でも、お兄様とアルフレッド様には伝えておかなければね」
早速伝えておこうとお兄様とアルフレッド様の元へ行き二人と話をしていると、招待客であり私と同じ公爵家の令息が声をかけてきた。
「レオニール、久々だな」
お兄様のご学友だった人ね。
………ん? メアリーが誰かと話をしているけど、彼は誰? 見たことのない顔ね。あんな上級使用人いたかしら?
あっちに行きたい…けどお兄様のご友人の話が終わらない!
早く話し終わってと祈り続けるとようやく開放されたわ。メアリー達も話し終えた様子。使用人がどこかへ向かったのはメアリーに何かを頼まれたからなのかしら?
お兄様とアルフレッド様は気づいてる? と思い声をかけようとすると、いつの間にか近付いていたメアリーに先に声をかけられてしまった。
「お姉様、少しよろしいかしら」
「なにかしら」
「こちらへ」
「ここで話してちょうだい」
移動するのを断ると、一歩近づいて来たメアリーがニヤッとして私の耳元で囁いてきた……そう、日本語で。
「悪役令嬢」
!?
驚きを隠しきれなかったかもしれない。メアリー、あなたも転生者だったの!?
「分かったわ」
「リリーナ」
「大丈夫です。すぐに戻りますので」
アルフレッド様が心配して声をかけてくださったけれど、私は転生者であることを誰にもしれたくないし、ここは付いて行くしかない。
「本当についてきた」
少し離れた場所に着くと、メアリーにそう言われた。
「えっ?」
「ルーシーが教えてくれたのよ。ああ言えばお姉様をアルフレッド様から離せるって。意味が分からなかったけど言ってみるものね」
しまった!
私とアルフレッド様を離すためだけに教えてもらった言葉だったのね。離れるんじゃなかったわ。
アルフレッド様の方を見ると、さっきメアリーが話していた使用人がアルフレッド様に近付いている。しかも何か飲み物を渡そうとしているじゃない。
「メアリー、あなた」
「お姉様。私少し気分が悪いみたいなので部屋に戻ります」
「あっ、ちょっ…」
慌ててアルフレッド様の元に戻ると既に使用人の姿はなく、手渡された飲み物も空になっていた。
「えっ、嘘でしょ……アルフレッドさま…」
「大丈夫」
えっ?
「リリーナからの贈り物だと言って手渡されたから、飲まなかった」
「よかった……でもグラスが空になっているのは…?」
「あぁ、これは感想を伝えたいから飲んでくれと動こうとしなかったから、一口飲むふりをしたんだ。それで彼が目を離した隙に、レオニールが瞬時に用意した空のグラスと交換した」
渡されたのはこっちだ、とお兄様が見せてくれたのは青みがかった綺麗な色の液体だった。
「持ってきた使用人はどちらへ?」
「ダニエル達が連れて行ったよ」
「そうですか」
「これはおそらく例の薬草が入っているのだろう。効果が出たふりをする事も考えたが、媚薬と思われるが違う可能性もある。調べるまではどういう効果があるか分からないから念の為やめておいたんだ。それに、主犯が誰なのかによっては動き方を考えなければならないからね」
メアリーの駒はさっきの男性。だったらルーシーは何故ここにいるの? 私が気付かない間にメアリーと接触していたのかしら?
二人はあまり納得していないようだけど、ドレスの件もあるし、パーティーが終わってから直接話を聞いてみよう。
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