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026: ツガイ確定?!②
しおりを挟む「にゃぁぁぁッ」
「きゃッりおん君?痛かった?!」
「違う‥お嬢‥もっと‥」
もっと撫ででほしい。可愛がってほしい。愛してほしい。甘えたい。その欲求でアリスに飛びかかった。抱きついた勢いあまってアリスを組み敷いてしまった。リオンの豹変にアリスが目を瞠る。
「りおん君?!」
「もっと!そこもっと撫でて!」
アリスの頬に顔をすりすり擦り寄せてリオンがねだる。人形で初めて組み敷くアリスは華奢で可愛らしい。それにとてもいい匂いがする。匂いを嗅ごうとさらに顔をアリスの首元に埋める。猫なのに犬のように鼻を鳴らした。
「りおん‥く‥ん」
アリスの声と匂いが甘くなる。嫌がっていないとリオンにもわかった。
発情期でもないのにこんなに興奮して‥ボクはおかしいのかな‥
猫の姿で抱っこされた時も思ったがアリスの体は柔らかい。人族の体はよくわからない。それでも本能で柔らかい体に触れ抱きしめたいと思う。
「すごい‥やわらかい‥」
「りおん‥くん‥」
猫の体にはない甘さに惹きつけられる。その黒く長い艶やかな髪に指を這わしながら頭を撫でる。こうされると自分はとても気持ちがいい。お嬢はどうだろうか。
「お嬢‥気持ちいい?」
「うん‥りおん君のなでなで、あったかくて気持ちいい」
「よかった。ボクのももっと‥」
長いしっぽで強請るようにアリスの手をぺんぺん叩く。アリスの手がしっぽをするすると撫でた。ぞわぞわと快感が走りリオンは悶絶してベッドに突っ伏した。
「にゃッにゃッンンッ」
「りおん君、気持ち‥いいの?」
「イイ‥すごく‥にゃにゃッ」
リオンが顔をアリスの肩口に埋め首筋を舐め上げる。ざらりとした猫の舌に首筋を舐められアリスが肩をすくめた。
「りおん君‥やんッくすぐったいッ」
「お嬢も‥イイ?‥もっと‥舐めてあげるから‥‥ボクのも‥撫でて‥」
舌でざらりとアリスのうなじを舐める。ビクビク震えるアリスの手がしっぽをするすると這う。その多幸感でリオンがアリスの首筋ではぁと恍惚とも興奮ともいえる息を吐いた。
目の前の白く華奢なうなじに無性に噛みつきたい。その謎の衝動からリオンが口を大きく開け牙を剥いた、その時———
「アリス!部屋にいるのか?」
廊下からずかずかと足音がしてノックもせず部屋の扉がいきなり開いた。
「アリス!さっきからにゃあにゃあうるさいぞ!お前はまた猫を拾ってきたな?もうダメだと何度言えば‥」
扉を開けて寝室に入ってきたアリスパパ、カラバ男爵が戸口でがちんと硬直した。目をまん丸に瞠りベッドの上で抱き合うリオンとアリスをがっつり見ていた。
リオンはアリスを組み敷いてその首筋に噛みつこうとしながら頭をなでなで、アリスの手はリオンのしっぽをなでなでしていたがしっぽはカラバ男爵から死角で見えていない。だがリオンの頭には猫耳が出ていた。その状況にリオンの血が音を立ててざーっと引いた。
あれは猫嫌いのパパさん?!
見られた!隠れて猫飼ってるのを!
ボク家から追い出される?お嬢と離れ離れ?!
だがはたと今自分は人の姿をしていると気がついて心底ホッとした。
「‥はーッ人形でよかった。猫飼ってるのバレなかったね」
「んとね、別の意味でマズいよこれは」
「にゃ?」
「アリス?!これはどういうことだ?!」
男爵が顔を歪めずいずいと部屋に入ってきてリオンを睨みつける。さらに廊下から青年が部屋に入ってきた。優しげな笑顔をアリスに向けている。
「やあアリス」
「あ、ジョアン」
「誰?」
「私の婚約者」
「へー‥‥?初めまして?」
「「「‥‥‥‥」」」
リオンの淡白な反応で部屋に沈黙が落ちる。リオンは状況を全く理解していない。
ほけーっとアリスの体の上で頭をなでなでしているリオンを他所にカラバ男爵がアリスに詰め寄った。
「アリス!こここの男は何者だ?!部屋でふふ二人きりで‥お前たちいつから‥‥こ‥ここ‥こんな関係に‥ままままさまさかもうもうもうもう?!」
「ないないまだない。パパ、ちょっと落ち着こうか」
「こここれがおおちおちおち着いていらいらいられるか?!」
「そうそう落ち着くにゃ」
「君はちょっと黙っててくれないかな?」
男爵がリオンを睨みつけアリスからリオンを押し退ける。そして何やらアリスと言い合っている。ベッドに座り込みリオンは意味もわからずほけっとその様子を見ていた。とりあえずしっぽは消したが猫耳は今更だ。
パパさんの様子がおかしい。どうしたんだろう?そういえばギードが言ってたな。わからない時は猫族に置き換えて考えろって。
こんやくしゃはツガイだったか。えっと、オス猫とメス猫が仲良くにゃんにゃんじゃれてたとこでメス猫のパパ猫とツガイのオス猫が現れた、と。あれ?
これ、修羅場じゃね?
ふと窓の外を見やれば枝の上からギードが猫姿で何やら必死に身振りで伝えようとしている。前足をバツ!としているのだが。だが男爵に話しかけられ視線が逸れた。
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