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027: ツガイ確定?!③
しおりを挟む「君!名前は?!」
「リオンですにゃ」
「随分と訛っとるな。にゃあにゃあ聞こえたのは君の声か」
「そうです」
「猫だと思ったらとんでもないものを見つけてしまったな。ところでリオン君!君はうちの娘と付き合っとるのか?!」
「つきあう?」
にゃ?なんだそれ?猫を飼うことを言っている?
男爵の問いの意味がわからない。リオンはコテンと首を傾ける。はてなが止まらない。その様子に男爵が焦れたように問い詰める。
「どっちなんだ?付き合ってるのか?付き合ってるんだな?!そうなんだな?間違いないんだな?!頼むからそうだと言ってくれ!!」
「えっと?なにそ」
「ゲフンゲフン!パパ!」
咳き込みながらかぶせ気味に会話に割り込んだアリスがリオンの頭を胸に抱き締め撫でる。"神の手"なでなでと胸のふわふわ感に包まれてリオンの顔が恍惚でにやける。ここでリオンの発言は強制終了。
「パパ!私りおん君が好き!りおん君と結婚したいわ!」
「結婚?お前がか?!」
フガ?ケッコン?なんだそれ?
男爵が驚愕で目を剥いている。リオンはアリスの言葉と男爵の動揺の意味がわからない。
「お‥お前は‥‥なな何を言ってるんだ?言っている意味がわかって‥?気は確かか?!何を食べた?!」
「パパと同じものよ!結婚相手はりおん君じゃないと絶対イヤよ!」
男爵の顔が一気に真っ青になった。ガクガク震え信じられないものを見る目でアリスを見ている。
「アリス‥お前熱でも‥いや熱はないな。本当に、本当にこの男と結婚したいのか?いいのか!!相手は人間の男だぞ!」
ハズレ。ボク猫です。
リオンが何も考えず訂正の口を挟もうとするがアリスがリオンの顔面を胸に抱きしめてそれを許さない。神妙にこくりと頷くアリスから視線を剥がし動揺する男爵はぎゅうぎゅうにハグされているリオンに目をやる。
「君はどうなんだ?アリスを好いてるのか?アリスと婚約出来るのか?男として!どうなんだ?!」
「コンニャク?えっと?なにそ」
「りおん君!私のこと、好き?」
「好き。大好き。」
「かぁぁ!即答か!相思相愛か!それも素直とか!こっちが恥ずくて赤面してまうがな!アカン!これはもうアカンで!もう聞いてられんわ!」
リオンの視界の隅では青くなったギードが器用に手旗信号を送っているが手旗の意味もわからない。
一方頭を抱え赤面でのたうつ男爵がぴたりと停止、俯いてふぅーと深い息を吐いた。
「お前たちの気持ちはよーっくわかった。決めたぞ!二人の婚約を許そう!」
「にゃ?」
「パパ!ありがとう!」
「リオン君!娘を頼んだぞ!」
「おめでとうございます叔父さん!アリスもリオン君も!」
背後で静観していた婚約者から祝福まで飛んできた。
確かこいつはお嬢という可愛い婚約者がいるのに外に女を作ったクズ野郎だったはず。話してみると穏やかでものすごくいい奴そう?
流されるがままのリオンがコテンと首を傾け歓喜の皆を見やる。
ん?みんな何を喜んでるんだ?
「ああ!こんな日が来るとは‥お前はもう結婚できないと思っていたからなぁ」
「もうパパったら!」
「にゃ?」
「これでもう婚約者も必要ない。ジョアン君、今まですまなかったな」
「いいえ叔父さん、アリスが幸せになれて僕も嬉しいです。これで僕もリリーと婚約できます」
「そうだったな、お祝いを言わせておくれ」
「今日ちょうどよく伺えてよかったです」
「にゃにゃ?」
ハハハと笑い合う二人の意味がわからない。
あれ?これって修羅場じゃなかったっけ?
こんやくしゃはツガイになる者のことだった。ならこんやくはツガイのこと?え?ツガイ?ボクがお嬢とツガイになる?お嬢がボクのお嫁さん?
ボク王子なのに?!いやだが国外追放?
でもツガイ相手に正体がバレても追放にならない気もする?
どっち?でもこの展開はマズい気がする!
遅ればせながら状況がわかってきてリオンが目を瞠る。ギードは諦めたのか枝の上で腹を出して寝そべっている。
「パパさん!」
「お、もう私をパパと呼んでくれるのか?気が早いが悪くないな」
「いやそういう意味じゃ」
「こんな娘だが頼んだよ。親の私がいうのもなんだがとにかく変態でね。見た目が良いからモテまくるのにねこねこねこ!で一向に人間の男に目を向けない。猫と添い遂げるという噂まで流れて体裁のために婚約者を置いたが‥もうその必要もないな。君という立派な本物の婚約者ができた」
いやいやいや、ボク王子ですから!
勝手にツガイ選べないから!でも追放された?
そもそもお嬢しかボクのツガイってあり得ないわけで?
でもボク猫族だよ?いいのかこれ?
でも猫と言えば家を叩き出されるとわかりぐっと口籠る。アリスも訂正していない。確信犯である。
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