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【番外編】
ORIENT EXPRESS prologue
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「いよいよですね…ワクワクしちゃう…っ」
「…おまけが沢山付いて来ますが…楽しんで下さいね。」
アタシと貴志さんは、ドリンクを楽しみながらオリエント急行の出発を楽しみに待っていた。
※ ※ ※
元はと言えば去年、貴志さんがアタシへの誕生日プレゼントにオリエント急行の切符をサプライズで準備していてくれた事に端を発する。まあ結局、貴志さんの記憶喪失という大事件で、それは幻に終わってしまったのだが。それをあのハロウィンで皆さんにお話したところ、『一生に一度は乗ってみたいですねェ~♪』的な話で一頻り盛り上がって。そうしてどこをどうしたのか、今月の貴志さんの誕生日にサプライズでパーティーを開催しようという話になってしまったのだ。
場所はハロウィン・パーティーを行った洋館の広間。
メンバーもあのパーティーに来てくれた人が殆どだ。
京牙さんと翠君、深水さんと紫さん、ルチアーノさんと龍樹さん、高見沢さんと香月さん、各務さんと伊倉さん。そうしてトーシローとギルさん、優里ちゃんと木島さん。リザさんとスペシャルゲストの澤木さんも。【提督閣下】が参加されないのは残念だけど、『今回はカップル限定なの♡』とリザさんに言われてしまえば納得するしかない。
勘が鋭い貴志さんを誤魔化すのは大変だったけど。
明石さんや瀬尾さん達の協力で、何とか当日まで無事に誤魔化し切って。
正装したパーティーの面子と、アタシからのエルメスの長財布を見てため息を吐かれてしまったのだった。諦めのため息を苦笑い付きで。
それからは純粋にパーティーを楽しんでくれたから良かった。
ただ、その晩またお泊りさせてもらえたのは良いけど。
何やら不思議な形状のベッドが用意されていて。
折角の貴志さんの誕生日なのに、一人寝なのが寂しかったのは内緒だ(照)。
だって文句を言うかと思った貴志さんが大人しく、その一人サイズのベッド(?)に横になったから。アタシも隣の貴志さんにお寝みなさいの挨拶をして横になると、頭のシールド部分から良い香りが漂って来て。クラシックのようなヒーリングミュージックが静かに流れてきたのには驚いたけど、悪くはなかった。
そうして眠りの世界へと誘われ―――
―――気が付くと。
【LE TRAIN BLEU】にいたのだ。
フランスのパリの。
しかも何と!
オリエント急行の出発をバーカウンターで待っているところだと言うのだ!!
驚愕で声が出ないアタシに、貴志さんはおっしゃった。
『安心して下さい、真唯さん。だって、これは夢ですから。』
と。
そうしてアタシは思い出した。
リザさんに相談したら、澤木さんがオリエント急行の乗車券を手に入れてくれた事を。
貴志さんのお誕生日をお祝いする為に、車両を貸切にしてくれた事を。
何でこんな大事な事を忘れてしまっていたのだろう!?
そうして。
話は冒頭の場面へと戻るのである。
※ ※ ※
貴志さんが赤ワインを飲んでらっしゃるから、アタシはそのワインをソーダで割ってカクテルにしてもらった。真昼間からアルコールは、最高の贅沢だ♡
リザさんのお店で買って頂いたドレスワンピだから、汚さないようにしなければ。
貴志さんはいつものオーダースーツを粋に着こなしてらっしゃる(照)。
他の皆さんも正装に近いスーツやワンピースだ。
リザさんと優里ちゃんがお着物ワンピなのがシブイ。
トーシローが眼の色を変えて、リアル同性カップルを観察してる。
相も変わらずぶれん奴だ(苦笑)。
アール・ヌーヴォー調のシャンデリアや黄金の彫刻装飾が眩い内装のレストランの中からリヨン駅構内を見れば、十九世紀後半時代の様相が広がっている。パリ博が開催されて、パリが一番活気付いている時代だ。そんな華やかな時代の正当なオリエント急行【青き貴婦人】に乗れるなんて、何てツイてるのだろう♪ バーテンダーさんにお代わりを聞かれてしまって、シャンパーニュを頼みたい欲求を必死で堪えた。シャンパーニュは、オリエント急行に乗ってからのお楽しみだ♡
こうして貴志さんの誕生日をお祝いする、【走る宮殿】での特別な旅路の幕が切って落とされたのだった。
※ お察しの通り、初の夢オチですが、少しでも楽しんで頂ければ幸甚に存じます。
「…おまけが沢山付いて来ますが…楽しんで下さいね。」
アタシと貴志さんは、ドリンクを楽しみながらオリエント急行の出発を楽しみに待っていた。
※ ※ ※
元はと言えば去年、貴志さんがアタシへの誕生日プレゼントにオリエント急行の切符をサプライズで準備していてくれた事に端を発する。まあ結局、貴志さんの記憶喪失という大事件で、それは幻に終わってしまったのだが。それをあのハロウィンで皆さんにお話したところ、『一生に一度は乗ってみたいですねェ~♪』的な話で一頻り盛り上がって。そうしてどこをどうしたのか、今月の貴志さんの誕生日にサプライズでパーティーを開催しようという話になってしまったのだ。
場所はハロウィン・パーティーを行った洋館の広間。
メンバーもあのパーティーに来てくれた人が殆どだ。
京牙さんと翠君、深水さんと紫さん、ルチアーノさんと龍樹さん、高見沢さんと香月さん、各務さんと伊倉さん。そうしてトーシローとギルさん、優里ちゃんと木島さん。リザさんとスペシャルゲストの澤木さんも。【提督閣下】が参加されないのは残念だけど、『今回はカップル限定なの♡』とリザさんに言われてしまえば納得するしかない。
勘が鋭い貴志さんを誤魔化すのは大変だったけど。
明石さんや瀬尾さん達の協力で、何とか当日まで無事に誤魔化し切って。
正装したパーティーの面子と、アタシからのエルメスの長財布を見てため息を吐かれてしまったのだった。諦めのため息を苦笑い付きで。
それからは純粋にパーティーを楽しんでくれたから良かった。
ただ、その晩またお泊りさせてもらえたのは良いけど。
何やら不思議な形状のベッドが用意されていて。
折角の貴志さんの誕生日なのに、一人寝なのが寂しかったのは内緒だ(照)。
だって文句を言うかと思った貴志さんが大人しく、その一人サイズのベッド(?)に横になったから。アタシも隣の貴志さんにお寝みなさいの挨拶をして横になると、頭のシールド部分から良い香りが漂って来て。クラシックのようなヒーリングミュージックが静かに流れてきたのには驚いたけど、悪くはなかった。
そうして眠りの世界へと誘われ―――
―――気が付くと。
【LE TRAIN BLEU】にいたのだ。
フランスのパリの。
しかも何と!
オリエント急行の出発をバーカウンターで待っているところだと言うのだ!!
驚愕で声が出ないアタシに、貴志さんはおっしゃった。
『安心して下さい、真唯さん。だって、これは夢ですから。』
と。
そうしてアタシは思い出した。
リザさんに相談したら、澤木さんがオリエント急行の乗車券を手に入れてくれた事を。
貴志さんのお誕生日をお祝いする為に、車両を貸切にしてくれた事を。
何でこんな大事な事を忘れてしまっていたのだろう!?
そうして。
話は冒頭の場面へと戻るのである。
※ ※ ※
貴志さんが赤ワインを飲んでらっしゃるから、アタシはそのワインをソーダで割ってカクテルにしてもらった。真昼間からアルコールは、最高の贅沢だ♡
リザさんのお店で買って頂いたドレスワンピだから、汚さないようにしなければ。
貴志さんはいつものオーダースーツを粋に着こなしてらっしゃる(照)。
他の皆さんも正装に近いスーツやワンピースだ。
リザさんと優里ちゃんがお着物ワンピなのがシブイ。
トーシローが眼の色を変えて、リアル同性カップルを観察してる。
相も変わらずぶれん奴だ(苦笑)。
アール・ヌーヴォー調のシャンデリアや黄金の彫刻装飾が眩い内装のレストランの中からリヨン駅構内を見れば、十九世紀後半時代の様相が広がっている。パリ博が開催されて、パリが一番活気付いている時代だ。そんな華やかな時代の正当なオリエント急行【青き貴婦人】に乗れるなんて、何てツイてるのだろう♪ バーテンダーさんにお代わりを聞かれてしまって、シャンパーニュを頼みたい欲求を必死で堪えた。シャンパーニュは、オリエント急行に乗ってからのお楽しみだ♡
こうして貴志さんの誕生日をお祝いする、【走る宮殿】での特別な旅路の幕が切って落とされたのだった。
※ お察しの通り、初の夢オチですが、少しでも楽しんで頂ければ幸甚に存じます。
応援ありがとうございます!
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