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第五章 動き出す人々
第七十五話 完全燃焼
しおりを挟む「やっ、だ……ロイ、抜いて…ぁ…ぬい、て」
「アヤのその声、いいよね。ボク、大好き」
「イヤッ……ぁ……っく、イクッ、ぁ…何、やだッ、何か変……っやだぁ」
「このコンドーム変わってて面白いよね。肛門に突っ込むのに、さすがにちょっとどうかなって思ったんだけど、アヤがそんなに喜んでくれるならヤッてよかった」
「抜いて、ロイ…っ…~~~~く、イクッ」
信じられない。スヲンに卑劣なコンドームを売ったやつを本気で訴えたい。いや、この場合はロイに在庫を渡したスヲンを訴えるべきか。
アヤは、一気に噴き出した感情ごとスヲンの肩に爪を食い込ませながら絶頂を叫ぶ。
「イッ……て、ぁ……イヤァっ」
のけぞる肢体を上下から押さえ込まれて、内部の壁越しに互いを擦り付け合う彼氏の狂気になだめられる。
連続して動く腰はロイなのに、じっとしているスヲンのモノまで感じてしまう。徐々に膨らんで、大きく、硬く。時々、ごりっとイヤな音が聞こえるのは気のせいではない。
「キモチイ…ィッ…ぁ……変、そ、れ……抜い…っ…て」
「好きな子の鳴き声って、なんでこう、興奮するんだろ。たまんない」
「……ロイ…ヤッ…~~っく、いきたくな……アァ」
ロイの顔はここから見れないが、見ないほうがいい気がしてくる。
赤くめくれて、本来排出する機能しか備わっていないはずの肉壁を堪能するその声から察するに、相当嬉しそうに顔を輝かせているに違いない。
「こら、逃げちゃダメじゃん」
「ッ!?」
「スヲンにちゃんと捕まって。でないと、ああ。もう、スヲンが乳首引っ張るからアヤがまたイッちゃった」
「中の痙攣がヤバイな」
「笑い事じゃないし」
不貞腐れたロイの腰も、笑うスヲンの愛撫も止まることはない。合間にランディが水をくれるが、苦しくて、美味しくて、段々飲み込むことすら難しくなってくる。
「ここからの眺め最高すぎて、何もしてなくてもイケそう」
「何もしてなくないよ、スヲンはずっとアヤの中に入ったままじゃん」
「抜きたくない」
「ボクが先に住みたいって言ったのに。スヲンが引っ越してきちゃったから仕方なく、ボクはこっちに仮住まい。でもこっちも最高に住み心地いいから困っちゃうな」
「あ、ロイ。アヤの締め付け強すぎてヤバい、こぼれる。一度抜く」
「おっけー」
何がオッケーなのか。ずるりとスヲンが抜けていくのを背後のロイに抱えられながら、アヤは不規則な息で訴える。
「ひっ……ぁ……だ、メッ」
抜けたスヲンを見送っているとぐるりと視界が反転して、アヤはロイに背中を預ける形で天井を眺めていた。いや、正しくはランディというべきか。
「ダメ……いま、いれちゃ……~~~~ッ」
ロイを後ろに埋めながら、ランディが前に埋まってくる。
無抵抗に二穴を責められるだけの時間はいらない。そう訴えているのに、快楽に慣れ過ぎた体はアヤの意思を無視して二人の愛を受け入れるのだから仕方がない。
「ランディ、最愛の彼女を犯している気分はどう?」
「ん、最高」
「だよねぇ。ここ最近、不完全燃焼って感じだったからアヤを堪能出来てすごく幸せ」
「ああ、そうだな」
「アヤはどう、幸せそうな顔してる?」
普段、あまり顔を見合わせてこないランディが、ロイの質問に誘発されて、じっと熱を込めた瞳で見つめてくる。
思わずゴクリと喉がなってしまったのは惚れた弱み。
心臓が高鳴るのと同時に、神経を収縮させてしまったのは、中に埋まる二人に伝わったことだろう。
「待って、アヤ。ランディばっかりズルい」
「ッ…アッぁ……ロイ、くっ」
「下にいると動きにくいから、ちょっとランディ……っと、うわ。すっご」
正しく揺さぶられるとはこのことか。
感心したロイの声が後ろから抱きついて、ランディの輸送に絶頂を叫ぶアヤの肌にキスを落としている。
「ランディってば、本当、アヤの顔好きだね」
「仕方ないだろ。好きなんだから」
「ッ…ぁ……ヤッ、やだ……んっ」
「照れるから見るな」と、キスをされてそのまま深く犯される。
背中を預けるロイが楽しそうに笑っているが、余裕がなさそうなところをみると、二人ともそろそろ限界なのかもしれない。
「アヤ」
その呼び掛けに、限界が近いのは二人だけじゃなかったことを知らされる。
顔を上げたランディに合わせて、態勢を整えたロイにつられて、そこに顔を向けてみれば、そそりたったスヲンが近くに寄っていた。
「スヲ…ッ…んぅ」
唇を分け入って、口内に侵入してきたのはスヲンの雄。
前も後ろも口も。全部奥まで埋まった感覚は、あまりにも久しぶりで懐かしい。
先ほどのロイではないけれど、不完全燃焼だったのだと今ならわかる。
「アヤ、喜びすぎ」
「ボクたちの子猫ちゃんは、甘え下手で寂しがりだから埋められるのが嬉しいんだよね。本当に貪欲でワガママで最高に可愛い」
「少しは満足したか?」
「どうかな。ボクたちの愛が伝わっていると嬉しいけど」
「足りないって言うなら、どこまでも付き合うさ」
「それもそうだな」
音が混ざり合って、熱が溶けあって、朝陽が差し込む室内で幸せな夢に微睡む。
触れる場所が全部愛しい。与えられる温もりが全部優しい。
不安になる理由も、嫉妬する必要も、何もないのだと安心できる喜びに包まれていく。どこまでも深く、果てしなく。全員で強く求めた絶頂の世界に投げ出されて、アヤは幸福な白波の果てへと沈んでいった。
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