唐紅の風 ~平安の女流歌人の一生
――詞(ことば)は、生きるということ。
詠む者として生まれ、女として生き、風となって消える。
時は平安末期。
都に仕える一人の女房・藤原高子は、紅の衣とともに「詠う女」として注目を集める。
だが、彼女が紡ぐ和歌は、やがて政(まつりごと)の具となり、人の妬みと恐れを呼び、
ついには「詞によって裁きを下す者」となる。
火に晒され、誤解に傷つき、沈黙に包まれながらも、
それでも高子は、ただ詞を詠み続けた。
己の生を、心の風を、時代の片隅にそっと残すように。
やがて、紅の裾を翻し、彼女は都を去る。
そのあとに残ったのは、名ではなく――詞だけ。
“くれなゐの かぜとなりたる ことのはは
こゝろにふれし ときぞまことと”
この詞に触れたとき、
あなたの中にも、静かに風が吹くかもしれません。
歴史の陰に咲いた、もうひとつの女の生。
すべての「詠う者」に贈る、静謐なる時代抒情。
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