2 / 22
02.この屋敷では、公爵令息の長話は聞き流すのが常識なのです。
しおりを挟む
傲慢馬鹿である亡き公爵の息子は、相手にするだけ時間の無駄なのは、屋敷の誰もが知る事実。 だけれど、この状態で無視をすれば、座ったデスクに足をダンダンとぶつけ、俺の言うことが聞けないのか!! を繰り返すのは分かっている。 面倒臭くて席についた。
「はい、これ、この請求書を処理しておいてくれるかな?」
花街で相手をさせた女性の名前とランクに価格、そして日数が記載されている。
53日間かぁ……。
いつもは花街のギルドから直接請求がくるのですが、真偽不明で請求拒否されると思ったのでしょうかね? 本人に直接持たせるとは、余程用心をしたのでしょう。 と言うか……53日も居座られた花街側に同情せずにはいられません。
とはいえどう対処しましょうか?
……公爵が亡くなる前は、最高5日で公爵を怒らせ鉱山送りにされていましたが、私が同じように言っても屋敷を破壊するほどに暴れ、自分を通そうとするでしょう。
「ずいぶんお楽しみだったようですね」
「仕方がないよ。 何しろ俺の婚約者殿は、ひっつめ髪に、眉間に皺をよせ四六時中不機嫌そうにしている不細工だ。 そんな奴と常に顔をわせていてごらん、心が冷え渇き、生きている事すら辛くなると言うものさ」
「はぁ、そうですか。 ですが53日間も花街で篭りきりでは婚約者にお会いすることもないのではございませんか? むしろ身を寄せさせてくれる愛人もいらっしゃらなかったのですか?」
ヒラヒラとここ数日の滞在を証明する請求書を振って見せた。
「オマエが、この世に存在していることが、俺のストレスなんだよ!」
威圧するように顔を近づけ、噛みつかんばかりの勢いで言い切る。 愛人に相手にされなかったと言うのは、彼のプライドを随分と傷つけてしまったらしく、顔面に向けて紅茶がかけられた。
愛人の方々とて、流石に公爵が亡くなられた後すぐに彼を受け入れ蜜月を過ごすと言うのは、不謹慎だと思ったというところでしょうね。 賢明な判断です。
猫舌の私用の紅茶火傷はないけれど、目の前の男を撤退させるための時間と、着替えの時間とかなりの時間をロスしてしまう。 さて……私は時計を眺めた。
今まで公爵と私、ケインとその父の4人でやってきた仕事を、私とケインの2人でやっているのだから、何かと時間が足りないのだ。 淡々とした様子で、側に居たケインが私にタオルを差し出した。
「私、ですか? ……そうですか……それは、申し訳ございません」
顔を拭きながら私は、誠意のこもらぬ謝罪をする。
「分かればいいんだよ。 まったくオマエは馬鹿なんだから、いちいちこんなことを説明させないでくれるかなぁ?」
「あとさぁ、君……母様が言ってた神殿の寄付を出し渋っているんだって? うちは公爵家だよ。 余り恥ずかしいことはしないでもらえるかな?」
「夫人が自由にしていい金銭の範囲を超えておりますので」
「だぁ、かぁ、らぁああ、恥をかかせるな!! と言っているんだ。 わかったか!!」
イラっとした表情が伺え、私は両肩をすくめて見せた。
バシッと頬を打たれた。
「この程度で済んでいるうちに処理をするんだな。 それと、従姉妹のアーベルがさ領地の質を上げるには識字率をあげなきゃいけないって、で、各地に学校を作りたいから面会したいって、で、リサ(愛人)がさブランドを立ち上げたいっていうんだけど、母様も偉く乗り気でさぁ~。 出資金はもちろんだしてもらうんだけど、やっぱり商売なら宣伝も大事でしょ? 貴族を集めて作品を披露するための茶会の企画だしてくれる? あと……」
この後、公爵家跡取りであるカスペル・ベンニングの要求は30分にわたって続いた訳ですが、途中でケインが数年分の鋼鉄の採掘量記録をそっと手渡し、部屋の外に立つ侍女には仕立屋には後日伺わせてもらうから帰ってほしいと伝えていた。
カスペルが長く居座るだろうと判断したのでしょうね。
うんざりだわ。
心の中で肩をすくめ、私は書類を読み進めたまま、当たり前の言葉を口にする。
「では、書類を出して申請してください」
「なぜ、俺が言ったことをすぐに実行できない?」
「書類を見たうえで、その企画が公爵家にとってふさわしいか内容を示唆し、利益率を検討、改善が必要なものには、その旨を指摘し書類の再提出を求め、資金提供への返済計画を立てなければなりません」
「俺が!! し、ろ!と言っているんだ」
「今日中にはドレスを決めたかったのですが」
これは仕立屋に無駄足を踏ませてしまったことへの愚痴。 なんしろ、予約待ちの人気デザイナーなのだから、お帰り頂いた保証料だってそれなりにするのだ。
「あぁ、そのことだったら心配はいらないとも。 君は君の仕事をしてくれればいい。 ドレスは母様とアーベル、リサ、ベンテ、フランカ、ルイーゼ、マイケで決めておくから。 何しろ君は孤児院出身。 ドレスを見る目なんて持ち合わせてないだろう? せいぜい感謝するがいい」
嘲笑う風に言われてうんざりするからこそ、反論の言葉が出てこない。
そして次の瞬間、再び頬が打たれた。
「次期公爵に向かって、その態度許されると思っているのか!! なんだ不満か? 不満なのか? いいぞ、婚約破棄をするなら、披露宴の招待状を出す前が俺にとっても丁度いいからな。 だが、よく考えろ、婚約破棄を決定した時点で、オマエとこの公爵家の接点はなくなると言うものだ。 実績があるからどこでも雇ってくれるなどと考えているなら甘いぞ! 公爵家の怒りを買った孤児を誰が雇う? いや、俺が邪魔をするね。 オマエの行きつく先々に手をまわし、オマエが惨めに這いずりまわる姿を見て笑ってやる。 あぁ、誰かに頼ろうとするな? オマエが仲良くなる連中全員を不幸に追い落としてやるからな」
「分かりました……。 こちらの書状にサインをください」
私は執務用の豪華なデスクから1枚の書類を取り出す。 神殿から配布される公的書面である。 これを提出することで、一度交わした約束は破棄することはできない。
「こんなものを出して、オマエは本当可愛くないなぁ……俺に構って欲しいのなら、愛想良く笑えとまでいわないが、服でも抜いてまたでも広げてはどうだ?」
「私との婚約はあり得ませんと言うこの書類に一筆頂ければ、ソレで結構です」
「後悔してもしらないからな!!」
「はい、絶対に後悔はしません」
淡々とした様子で言えば、今度は身体が吹っ飛ぶ勢いでぶん殴られ。 顔を真っ赤にしながら、書面にサインを行い、部屋から出て行った。
きっと、ままぁ~~~ティアが生意気だよぉ~~~。 等と訴えにいくのでしょう。
カスペル・ベンニングが、怒りのままにサインした書面の文章は亡き公爵の筆であったことに気づけたなら、書類を読み進めるぐらいしただろうか? 書類の内容を彼に告げなかったのは、私の故意……だけど、この行動に私は1ミリたりとも後悔はない!
ここ数年の間、公爵は強い心労を要因とする心臓の痛みに耐える日々を送っていた。 公爵は悩み、画策し、そうした結果、自らの息子に愛想をつかし書面を準備したのだ。
カスペルがもう少しマシな男であれば、亡き公爵ももう少し長く生きながらえたかもと思えば、カスペルがサインした書類を眺めた。
私(署名用の空欄だった)は、ティア・ノルドとの婚姻を絶対に求める事はありません。
この申しだてによりベンニング公爵家の家督を放棄し、財産を放棄し、ベンニングの家名を放棄することをここに誓います。
「はい、これ、この請求書を処理しておいてくれるかな?」
花街で相手をさせた女性の名前とランクに価格、そして日数が記載されている。
53日間かぁ……。
いつもは花街のギルドから直接請求がくるのですが、真偽不明で請求拒否されると思ったのでしょうかね? 本人に直接持たせるとは、余程用心をしたのでしょう。 と言うか……53日も居座られた花街側に同情せずにはいられません。
とはいえどう対処しましょうか?
……公爵が亡くなる前は、最高5日で公爵を怒らせ鉱山送りにされていましたが、私が同じように言っても屋敷を破壊するほどに暴れ、自分を通そうとするでしょう。
「ずいぶんお楽しみだったようですね」
「仕方がないよ。 何しろ俺の婚約者殿は、ひっつめ髪に、眉間に皺をよせ四六時中不機嫌そうにしている不細工だ。 そんな奴と常に顔をわせていてごらん、心が冷え渇き、生きている事すら辛くなると言うものさ」
「はぁ、そうですか。 ですが53日間も花街で篭りきりでは婚約者にお会いすることもないのではございませんか? むしろ身を寄せさせてくれる愛人もいらっしゃらなかったのですか?」
ヒラヒラとここ数日の滞在を証明する請求書を振って見せた。
「オマエが、この世に存在していることが、俺のストレスなんだよ!」
威圧するように顔を近づけ、噛みつかんばかりの勢いで言い切る。 愛人に相手にされなかったと言うのは、彼のプライドを随分と傷つけてしまったらしく、顔面に向けて紅茶がかけられた。
愛人の方々とて、流石に公爵が亡くなられた後すぐに彼を受け入れ蜜月を過ごすと言うのは、不謹慎だと思ったというところでしょうね。 賢明な判断です。
猫舌の私用の紅茶火傷はないけれど、目の前の男を撤退させるための時間と、着替えの時間とかなりの時間をロスしてしまう。 さて……私は時計を眺めた。
今まで公爵と私、ケインとその父の4人でやってきた仕事を、私とケインの2人でやっているのだから、何かと時間が足りないのだ。 淡々とした様子で、側に居たケインが私にタオルを差し出した。
「私、ですか? ……そうですか……それは、申し訳ございません」
顔を拭きながら私は、誠意のこもらぬ謝罪をする。
「分かればいいんだよ。 まったくオマエは馬鹿なんだから、いちいちこんなことを説明させないでくれるかなぁ?」
「あとさぁ、君……母様が言ってた神殿の寄付を出し渋っているんだって? うちは公爵家だよ。 余り恥ずかしいことはしないでもらえるかな?」
「夫人が自由にしていい金銭の範囲を超えておりますので」
「だぁ、かぁ、らぁああ、恥をかかせるな!! と言っているんだ。 わかったか!!」
イラっとした表情が伺え、私は両肩をすくめて見せた。
バシッと頬を打たれた。
「この程度で済んでいるうちに処理をするんだな。 それと、従姉妹のアーベルがさ領地の質を上げるには識字率をあげなきゃいけないって、で、各地に学校を作りたいから面会したいって、で、リサ(愛人)がさブランドを立ち上げたいっていうんだけど、母様も偉く乗り気でさぁ~。 出資金はもちろんだしてもらうんだけど、やっぱり商売なら宣伝も大事でしょ? 貴族を集めて作品を披露するための茶会の企画だしてくれる? あと……」
この後、公爵家跡取りであるカスペル・ベンニングの要求は30分にわたって続いた訳ですが、途中でケインが数年分の鋼鉄の採掘量記録をそっと手渡し、部屋の外に立つ侍女には仕立屋には後日伺わせてもらうから帰ってほしいと伝えていた。
カスペルが長く居座るだろうと判断したのでしょうね。
うんざりだわ。
心の中で肩をすくめ、私は書類を読み進めたまま、当たり前の言葉を口にする。
「では、書類を出して申請してください」
「なぜ、俺が言ったことをすぐに実行できない?」
「書類を見たうえで、その企画が公爵家にとってふさわしいか内容を示唆し、利益率を検討、改善が必要なものには、その旨を指摘し書類の再提出を求め、資金提供への返済計画を立てなければなりません」
「俺が!! し、ろ!と言っているんだ」
「今日中にはドレスを決めたかったのですが」
これは仕立屋に無駄足を踏ませてしまったことへの愚痴。 なんしろ、予約待ちの人気デザイナーなのだから、お帰り頂いた保証料だってそれなりにするのだ。
「あぁ、そのことだったら心配はいらないとも。 君は君の仕事をしてくれればいい。 ドレスは母様とアーベル、リサ、ベンテ、フランカ、ルイーゼ、マイケで決めておくから。 何しろ君は孤児院出身。 ドレスを見る目なんて持ち合わせてないだろう? せいぜい感謝するがいい」
嘲笑う風に言われてうんざりするからこそ、反論の言葉が出てこない。
そして次の瞬間、再び頬が打たれた。
「次期公爵に向かって、その態度許されると思っているのか!! なんだ不満か? 不満なのか? いいぞ、婚約破棄をするなら、披露宴の招待状を出す前が俺にとっても丁度いいからな。 だが、よく考えろ、婚約破棄を決定した時点で、オマエとこの公爵家の接点はなくなると言うものだ。 実績があるからどこでも雇ってくれるなどと考えているなら甘いぞ! 公爵家の怒りを買った孤児を誰が雇う? いや、俺が邪魔をするね。 オマエの行きつく先々に手をまわし、オマエが惨めに這いずりまわる姿を見て笑ってやる。 あぁ、誰かに頼ろうとするな? オマエが仲良くなる連中全員を不幸に追い落としてやるからな」
「分かりました……。 こちらの書状にサインをください」
私は執務用の豪華なデスクから1枚の書類を取り出す。 神殿から配布される公的書面である。 これを提出することで、一度交わした約束は破棄することはできない。
「こんなものを出して、オマエは本当可愛くないなぁ……俺に構って欲しいのなら、愛想良く笑えとまでいわないが、服でも抜いてまたでも広げてはどうだ?」
「私との婚約はあり得ませんと言うこの書類に一筆頂ければ、ソレで結構です」
「後悔してもしらないからな!!」
「はい、絶対に後悔はしません」
淡々とした様子で言えば、今度は身体が吹っ飛ぶ勢いでぶん殴られ。 顔を真っ赤にしながら、書面にサインを行い、部屋から出て行った。
きっと、ままぁ~~~ティアが生意気だよぉ~~~。 等と訴えにいくのでしょう。
カスペル・ベンニングが、怒りのままにサインした書面の文章は亡き公爵の筆であったことに気づけたなら、書類を読み進めるぐらいしただろうか? 書類の内容を彼に告げなかったのは、私の故意……だけど、この行動に私は1ミリたりとも後悔はない!
ここ数年の間、公爵は強い心労を要因とする心臓の痛みに耐える日々を送っていた。 公爵は悩み、画策し、そうした結果、自らの息子に愛想をつかし書面を準備したのだ。
カスペルがもう少しマシな男であれば、亡き公爵ももう少し長く生きながらえたかもと思えば、カスペルがサインした書類を眺めた。
私(署名用の空欄だった)は、ティア・ノルドとの婚姻を絶対に求める事はありません。
この申しだてによりベンニング公爵家の家督を放棄し、財産を放棄し、ベンニングの家名を放棄することをここに誓います。
37
あなたにおすすめの小説
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
公爵夫人は愛されている事に気が付かない
山葵
恋愛
「あら?侯爵夫人ご覧になって…」
「あれはクライマス公爵…いつ見ても惚れ惚れしてしまいますわねぇ~♡」
「本当に女性が見ても羨ましいくらいの美形ですわねぇ~♡…それなのに…」
「本当にクライマス公爵が可哀想でならないわ…いくら王命だからと言ってもねぇ…」
社交パーティーに参加すれば、いつも聞こえてくる私への陰口…。
貴女達が言わなくても、私が1番、分かっている。
夫の隣に私は相応しくないのだと…。
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?
いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー
これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。
「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」
「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」
冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。
あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。
ショックで熱をだし寝込むこと1週間。
目覚めると夫がなぜか豹変していて…!?
「君から話し掛けてくれないのか?」
「もう君が隣にいないのは考えられない」
無口不器用夫×優しい鈍感妻
すれ違いから始まる両片思いストーリー
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる