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第11話

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「すごいわね、ありがとう!これでかなりゆっくりとできるわ」



あたしが、心の底から思ったことを口にする。ギルバートは顔を赤くして、



「こちらこそお褒め頂きありがとうございます」



といい、



「では町に入りますね」



馬を前に進ませた。



入り口にいる守護兵によって簡単な荷物確認を行い、あらかじめギルバートが手配していた宿屋にやってきた。

馬車を宿屋にある所定の場所に止め、あたしたちは大きく、作りも立派な宿屋の中へと入った。



「では、お部屋の場所を聞いてきます。マーヘン様は夕食でもおとりになっていて下さい」



「わかったわ」



カウンターに向かうギルバートを見届けずに、あたしは酒場兼食堂へと向かった。



「なんだと小僧!今何ていいやがった!」



食堂のドアを開けると、男たちに囲まれている少年がいた。



「・・・」



「もう一度言ってみろっていってんだよ!」



少年が黙していると、先程怒鳴っていた男がもう一度、怒鳴った。



男たちは、傭兵隊かなんかで今しゃべっているのが頭のようでめんどくさいことになってるわね、他の客はみんな黙っているし、ご飯食べれる状況じゃないわ



・・・お腹すいているのに・・・早く騒ぎが治まらないかしら。



とにかく見物するしかなさそう。



あっ、いい席みっけ。あたしは手近な場所にあった椅子に腰掛け、黙って様子をみることにした。



「あんたらがやがや騒いでうるさいんだよ!っていった」



少年がかすかに音程の狂った声でため息ながらに言った。



「ああっ!てめぇ、俺らにそんな口聞いていいと思ってのか?」



頭と思しき男が額に青筋を浮かべてこれ以上ないかってほど滑稽・・・失礼・・・恐い顔して少年を脅す。



「そうだよ。それにおまえらなんみたことないしね」



少年は男に動じる気配なしに淡々と言った。

あの子バカじゃないの、わざわざ面倒事を起こすなんて。話から推測するに、男たちががやがや騒いでいることを少年が注意したのだろう。



まあそりゃあ、おもしろくないわな、平均年齢三十くらいの男たち五人がどうみても十歳をこえたくらいの少年に注意されたのだから。



「なっなっなっ、何だと小僧!おめぇら、容赦は入らねぇ、やっちまうぞ!」



顔を真っ赤にして頭が部下たちに命令する。部下たちも頭同様、顔を真っ赤にして一勢に少年に向かって拳を繰り出した。



「へっ、たわいないガキだぜ!」



「俺らを甘く見るからだ!」



「当然の末路だな」



「バカが!」



部下たちが口々に罵り、四方からもろに打撃をくらい、倒れずうつむいている少年に背を向けてあるきだす。めんどくさいけどほっとけないわね。あたしは誰にも聞こえないように一人ごち、腰を浮かせる。



「オジサン達、どこに行くの?」
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