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第65話

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「浅かったようね」

「てめぇ、覚悟しやがれよ」

よほど屈辱だったのか顔を真っ赤にして怒り狂う。

あたしは黙って手でかかって来なさいというジェスチャーをする。

「畜生め、たたき潰してやる」

再びバクラスが消える。

同時にあたしは天に向かって跳躍する。

ボコォ

あたしが先程いた真横に出現したバグラスが正確にあたしのいた場所の石畳を破壊する。

またいないことを知り、キョロキョロする。

「馬鹿ね、あなた」

キィン

あたしの剣が棍棒を寸断した。

あたしはそのまま片刃の剣を返しつつバグラスの胴体に叩きつける。

ドサァ

「ぐぅ」

身体をくの字に曲げ、呻くバグラス。

あたしは手を休めず、続けて脇腹に攻撃を加えた。

「・・・っ」

声にならない叫び声を上げ、沈黙した。

「よし、敵の無力化完了!」

カチン

そういって剣を鞘に納めた。



「やっぱり、強いね!」

大歓声に見送られて控え室に戻ってみると、うれしいそうにレベンがあたしを出迎えてくれた。

「よくもまあ、あんなルフトに勝てたわね」

映像からバグラスがどんなルフトかわかったのだろう。

感心したようにリリヤが述べる。

「まあね、あたしにかかればこんなものよ」

ちょいと胸をはって答えてみる。

〔・・・ところで、質問していいか?〕

〔何?〕

〔“ルフト”って何のことだ?〕

〔・・・そうね。一言で言うのなら、“素質を鍛え上げた者”ってところよ〕

〔ほう〕

〔何でか知らないのだけど、この世界の人間ってのは3種類いるの。“海術”をあやつる海術士。次にルフト。そしてクラフトって言うもの・・・あたしはこれに当たるわ・・・てな感じでね。詳しいことはまた追い追い話すことにするわ。このルフトっていうのは他の2種類にくらべて圧倒的に少ないの。その理由の一つとし上げられるのは海術を使えるものしか成れないってことよ〕

〔要は、海術士とやらの特殊な例がルフトとやらなのだな〕

〔そう。そして二つ目の理由としては自分がどんな“素質”を持っているかわかる人がほとんどいないってことなの。だからレベンみたいにあの年齢で自分の“素質”を把握してるなんてのはある意味奇跡なのよ。とまあ、こんなとこでいいかしら?〕

〔うむ、理解した〕

「さてと、残りの試合をじっくりと観戦させてもらおうかしらね」

そういってあたしは映像に目を向けたのだった。
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