戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石

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第170話 剣術大会⑰

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「先に、この子のことをご紹介いたします。ヒルダちゃん、良い?」

ミリーナがヒルダに向かって話しかける。

ヒルダはルークを見て、頷いたことを確認してから自己紹介を始める。

「初めまして、ミリーナの上司よ。我の名はヒルダ。ヒルダ・ノーム・ジークムントという。以後よしなに頼む」

「なっ!?」

流石のメリッサもヒルダの名前を聞いて、驚きに余り席を立った。

そして、ミリーナの方に目を向けこう言う。

「これはまた随分ととんでもない事案を持ってきてくれたなミリーナ君。ヒルダ様、あなた様は何番目の王女様なのでしょうか?」

名前を聞いただけで全ての内容を悟ったメリッサがヒルダに向かって問いかける。

「様付けなどいらぬ。ヒルダで良い。我は第三王女じゃ」

「なるほど。そうでしたか、あなた様が『神童』と呼ばれた才女でしたか。宜しければ経緯をお話しいただけますか」

メリッサは他国の王族の事情にも精通しているようで第三王女と名乗っただけでヒルダのことを理解していた。

「うむ。話せば長くなるが・・・」

そういってヒルダがここに至る経緯を話し始めた。

しばらくした後、ヒルダの話が終わるとメリッサが呟く。

「そうでしたか。ジークムント王国が長子相続に拘りがないことは存じておりましたが、御兄弟姉妹間でそのようなことがされていたとは・・・心中お察しいたします」

メリッサが不憫そうにヒルダを見る。

セインツ王国でさえ先日の第四王子エルドの一件のようなことが起きたのだ。

長子相続に拘らないジークムント王国での国王位争いは想像以上の熾烈さであろうことは想像に難くない。

「もう済んだことが気にしてもしかたがない。まぁ、悪いことばかりではない。何と言ってもお陰でルークやミリーナに会えたからのぅ」

ヒルダが嬉しそうにそう答え、にかっと笑う。

屈託のないその笑顔にメリッサが一瞬虚をつかれたように呆然とした後、笑みを浮かべる。

「ふふふ。それは何よりです。ミリーナ君、よくぞヒルダ様を保護してくれた。大手柄だ」

「・・・大手柄ですか?」

何やら不穏な空気を感じたミリーナがメリッサの言葉に反応する。

その言葉を聞いた途端、今まで黙っていたルークから物凄いプレッシャーが溢れだした。

「先に言っておく、ヒルダを政治の道具にしようとするのであればいくらセインツ王国であろうと容赦はしないぞ」

「「!?」」

ミリーナやヒルダがルークのプレッシャーに呑まれ、身動きが取れなくなる。

二人でこの状態なのだ。それを直接浴びているメリッサは二人の比ではないだろう。

「・・・誤解をさせてしまいましたね。別にヒルダ様を政治の道具のためにという意味合いではありません」

メリッサがルークのプレッシャーに呑まれまいとしながらなんとか言葉を絞り出した。
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