他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石

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第484話

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「うむ。そして・・・君がグレイか」

アリシアの返事に頷いた後、国王はグレイに顔を向ける。

(ゾルムに聞いていた印象とはずいぶん違うな)

国王はグレイを見て、とてもじゃないがナガリアとの諍いを止めた功労者には見えなかった。

「はい。私がグレイです」

グレイは緊張をなるべく押し殺そうとしながらも辛うじて返事を返す。

(・・・どこまでも普通だ。普通にしか見えない)

国王は、必死に緊張を抑えながら返事をするグレイの様子に戸惑うが何とか表情に出すのを堪える。

そして、ゾルムの方に顔を向けると、

コクリ

ゾルムが国王に向けて大きく頷く。

(国王様のお考えは分かりますが、この者が我々の恩人に間違いありません)

言葉は無かったが、そのように告げて来ているのが見て取れた。

コホン

国王は一度咳をつくと改めてグレイに向き直り、

「君の事は色々と聞いている。大儀であったな」

グレイを労う。

「・・・勿体無い御言葉ありがとうございます」

グレイは頭を下げる。

(・・・国王様ったら、グレイの事を疑ってましたわね・・・)

そのやり取りを見ながらアリシアは国王の考えを正確に把握していた。

正直なところ思うところはあったが、相手が相手だ。

(国王様が相手でなければ、分からせて差し上げましたわ)

アリシアは表に出さずに腹黒いことを考えていた。

「ゾルムから君のことは聞いている。そこで褒美を与えようと思うのだが、何を望む?」

グレイが行った功績を考えると褒美を与えてしかるべきであることは間違いない。

とは言っても国王に届いている情報はナガリアとの一件がメインであった。

その他の事については口留めが功を奏し、国王の耳にはそこまで届いていなかった。

「・・・恐れ入りますが、一つお願いがあります」

グレイは国王の言葉に対してゆっくりと言葉を紡ぐ。

「うむ。何でも申してみるが良い」

国王はグレイの言葉に対して小さく頷く。

グレイはゾルムとアリシアに顔を向ける。

コクリ

(好きな事を言うが良い)

(グレイの望みを遠慮なく言って大丈夫ですわ)

ゾルムとアリシアはそう言っているようであった。

「ありがとうございます。・・・私の望みは【私のことについての情報を秘匿として欲しい】ということです」

グレイの言葉を聞いて周囲にいる位の高い人々が騒めき始める。

「何と、傲慢な」

「一体何様のつもりだ」

騒ぐのも無理はない。

簡単に言うとグレイの発言は受け取り方によっては【自分はここにいる誰よりも重要な人物です】と言っているように受け取られてもおかしくないのだ。

「・・・静かにしろ」

シーン

国王の言葉を聞き、周囲が一斉に静かになった。
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