『偽りの正義』

『偽りの正義』

正義は
制服を着て現れるとは限らない

ときにそれは
やさしい声で名乗り出る

「あなたを守るためです」
その一言で
心の扉は、音もなく開く

疑うことは
罪のように感じさせられ

信じることが
義務へとすり替わる

---

電話の向こうの正義は
顔を持たない

だが
確かな重みを持って
あなたの判断を奪っていく

少しずつ
少しずつ

それは強盗ではない
暴力でもない

だからこそ
誰も叫ばない

---

「これは捜査です」
「これは協力です」

その言葉は
命令ではなく
同意を装う

そして気づいたときには

あなた自身の手で
すべてを差し出している

---

正義の名を借りたものは
最も疑われにくい

なぜなら
人は信じたいからだ

世界が
まだ壊れていないと

---

だが
静かに壊れていく

金ではない
信用でもない

もっと深い場所

「人を信じる力」が

---

それでも

本物の正義は
声を荒げない

奪わない
急がせない

ただ
隣に立ち

こう言う

「一度、疑ってください」

---

偽りは
正義の顔をしてやってくる

だからこそ

本当の正義は
あなたの中にしかない

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