アカウント乗っ取り
奪われた名前
ログイン通知は
ただの光だった
ポケットの中で震える
取るに足らない未来の予告
見慣れたはずの自分の名前が
ある日
他人の言葉を喋りはじめる
「元気?」
「ちょっと困っててさ」
「助けてくれない?」
それは確かに
ぼくの声の形をしているのに
ぼくは一度も
そんなことを言っていない
画面の向こうで
ぼくが崩れていく
友達が減っていく音は
通知音よりも静かで
だけど確かに
心臓の近くで鳴っていた
鍵を変えても
扉は閉まらない
名前を取り戻せないまま
ぼくは外に追い出される
誰かが
ぼくの人生をログイン中だ
写真も
記憶も
笑った時間も
全部
パスワード一つで
書き換えられるなら
ぼくは一体
どこに残るんだろう
やがて
すべてが止まったあと
画面には
何も残らなくて
それでも
もう一度
名前を入力する
これは
ぼくであるための
最初の一歩だ
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見慣れたはずの自分の名前が
ある日
他人の言葉を喋りはじめる
「元気?」
「ちょっと困っててさ」
「助けてくれない?」
それは確かに
ぼくの声の形をしているのに
ぼくは一度も
そんなことを言っていない
画面の向こうで
ぼくが崩れていく
友達が減っていく音は
通知音よりも静かで
だけど確かに
心臓の近くで鳴っていた
鍵を変えても
扉は閉まらない
名前を取り戻せないまま
ぼくは外に追い出される
誰かが
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書き換えられるなら
ぼくは一体
どこに残るんだろう
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もう一度
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