婚約破棄された地味令嬢、実は王国唯一の治癒魔導師でした〜今さら泣きついてももう遅いです〜

『もう遅いと言える日まで』

静かな夜に、名前を捨てた
呼ばれていたはずの場所から
そっと、外された

「必要ない」と言われた言葉は
胸の奥で、まだ冷たく残っている

笑われたことも
見下されたことも
全部、ちゃんと覚えている

それでも私は
何も言わずに、立ち去った

――壊れなかったのは
ただ、まだ終わっていなかったから

手のひらに灯る、淡い光
誰にも見せなかった奇跡は
私だけが知っている

癒していたのは、傷だけじゃない
失くしそうだった“自分”も、きっと

あの日、捨てられた私は
もう戻らない

どれだけ手を伸ばされても
どれだけ名前を呼ばれても

その声は、もう届かない

だって私は知ってしまったから

――自分の価値を
――自分の居場所を

だから、さようなら

今さら優しくされても
今さら必要だと言われても

もう、遅いのです

この光は
もう、あなたのためには使わない


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小説 68 位 / 220,349件 現代文学 1 位 / 9,249件

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