『はんこは押さない 〜「誰が養ってやってる?」と言った夫へ、判決です〜』

『はんこは押さない

~「誰が養ってやってる?」と言った夫へ、判決です~』

あの夜
あなたは言った

「誰が養ってやってると思ってる?」

熱にうなされる娘の額よりも
あなたのプライドのほうが
大事だった夜

私は
床に落ちた離婚届を拾いながら
初めて知った

紙よりも軽いのは
あなたの言葉だということを

寄生虫、と
笑ったわね

でも

寄生虫は
宿主がいなければ
生きられない

さて
それはどちらだったのかしら

あなたは
「俺の金」と言った

ええ
確かに、あなたが稼いだ

けれど

法律は知っている

婚姻とは
支配ではなく
責任だと

算定表の数字は冷たい
けれど正確

二十四万円

それは復讐ではない
生活

あなたが拒んだ
父親としての生活

あなたは自由を望んだ

自由は
無料ではない

はんこは押さない

それは執着ではなく
宣告

「養ってやってる」と言った
その瞬間から

あなたは
支払う側になったの

私は泣かない

私は怒鳴らない

私は
待つだけ

判決が
ゆっくりと
あなたの給料日に
降りてくるのを

はんこは押さない

それは愛の拒絶ではない

無価値だと切り捨てられた
私の存在証明

そして最後に
私が押すとき

それは

あなたを解放するためではない

私が
もう
あなたを必要としなくなった
その証明


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