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一年目
09.饗宴の秋3
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その年のシーズンの終わりにジークフリート・ギュンターが王都に姿を現すと、社交界は美貌の辺境伯の話題で持ちきりになった。
ジークフリートは別段グリューニング領で顔を隠して暮らしてはいない。むしろ辺境伯という立場から領地を巡り端から端までにらみをきかしている。領民に彼の顔はよく知られている。
「どうして王都ではジークフリート様のおかしな噂が出回っていたのでしょう」
ロゼッタは不思議だった。
「私が醜男というやつか?あれは、半分わざと流した噂だが、半分は事実だ」
ジークフリートが王都に行ったのは父親が病気になった歳だからかれこれ四年前になる。
その頃まだ騎士として最前線で戦っていたジークフリートは戦いの最中、顔に怪我を負った。その傷が治りきらないまま父親の名代として王都に向かったのだ。
「今は治ったが、当時はひどく腫れて、顔は包帯だらけだった。正真正銘醜男だったぞ」
「まあ、それで」
「あの頃私は23歳か。そろそろ結婚の話が出てきたが、私の顔を見ると父親にどんなに言い聞かされても令嬢は皆逃げていった。これはいいと思って従兄にも噂を流させたんだ」
ロゼッタの結婚には、ロゼッタの兄や王家の見届け人達も参列していた。だが結婚の際、新郎新婦は北方に伝わる民族衣装を着る。男性は熊や狼を模したマスクを被り、顔が半分隠れる。
王都の者達は見慣れぬ装束に驚き、ジークフリートの素顔はよく見もしなかった。
熊と言えば、ジークフリートの噂には他に熊のような大男というのもある。
ジークフリートは北方人らしく長身ではあるが並外れて大きな男ではない。また熊ほどにがっちりもしていない。
「そっちは分からんが、昔熊を退治したことがあって……」
「熊ですか?」
「たまたま運が良かった。それが妙な風に伝わったんだろうな」
ジークフリートはサラリと言った。
ジークフリートは自分の噂よりギュンター夫人の噂が気にかかって仕方ない。
すこぶる付きの美人で巨乳だ。
夜会だとロゼッタは彼女に良く似合った腰がきゅっと締まって胸元を強調するような服を着る。
背の高いジークフリートはロゼッタを見下ろす形になる。
ただでさえ大きな胸をコルセットで押し上げているため、胸はいつもより大きく丸く張り出している。
「ずっと君はそういう服を着ていたのか?」
つい非難めいた口調でジークフリートはロゼッタに問う。
「ジークフリート様がいらっしゃる前は夜会はほとんど出ておりませんわ」
夜会は夫婦同伴が原則だ。ジークフリートのいない間は夜間の誘いには応じてない。
昼の会は出ていたが、ロゼッタは華美にならないよう大人しめのドレスを着ていた。彼女のプロポーションの良さはあまり発揮されない服装だ。
実際結婚前のロゼッタは王都でも美貌の令嬢の一人に数えられており、三歳年上の王太子の妃殿下候補の噂もあった。
だがロゼッタは社交界の花と呼ばれる人々の衆目を集める娘ではなかった。
控えめで上品、妻にするには最適。しかし大人しくつまらない娘。
ロゼッタはそう揶揄されていた。
一年前、そう嘲笑した男達は一転してロゼッタを目の色を変えて見つめ、ジークフリートを羨んだ。
「あれほど綺麗な娘だったら、妻にしたかった」
そう悔やめど後の祭りだ。
年頃の娘達は桃色や若草色などの淡い色合いのドレスを着て更にふんだんにレースやリボンでドレスを飾り付ける。
ロゼッタも婚前はこうしたドレスを着ていたが、彼女にはまったく似合わない。
結婚して着るようになった群青色や濃緑、深紅などの鮮やかな色合い、飾りは極力削いで体のラインを生かすようなドレスはロゼッタを見違えるほど美しく魅力的に見せた。
男達は吸い寄せられるようにロゼッタを見つめている。
熱を帯びたフロア中の男性の視線、浴びる賞賛。
ジークフリートが側に居るにもかかわらずひっきりなしにダンスに誘われる。
男性にちやほやされるのは以前のロゼッタなら嬉しく思っただろうが、今のロゼッタはジークフリートだけだ。
ロゼッタはジークフリートの側で幸せそうに微笑んでいる。ジークフリートもロゼッタを見る時は冷たい表情が一変して愛しむように見つめている。
ジークフリートはロゼッタを側から離さず、二人はお互い以外とダンスを踊りたがらない。
一夜のうちに醜男と無残な結婚をした令嬢の噂は消え、似合いの美男美女の夫婦と二人は持てはやされた。
***
ジークフリートは王都に長居するつもりはない。ギュンター家にとって最低限の社交以外はむしろつけ込まれる隙を与えることになる。
国王はジークフリートから金を引き出そうと躍起なのだ。領地に篭もって無視を決め込むに限る。
圧縮された日程をこなすため、ジークフリートとロゼッタは昼も夜も忙しい。
だが、一度愛し合うと夜は離れがたかった。
「はあ…はあ……」
ジークフリートはロゼッタにまたがり、胸で自身をしごいている。
腰を振るジークフリートも快感に声を上げたが、ロゼッタもジークフリートに胸も乳首も揉まれながら、ペニスで擦られながらで、喘ぐ声が止まらない。
「ジークフリートさまぁ……」
「ロゼ……」
ジークフリートはロゼッタを呼んだ直後、勢いよく射精する。
乗ったままではロゼッタを潰してしまう。ジークフリートはロゼッタの体から降りて息をつく。
「ジークフリート様……」
ロゼッタはそれを追うようにジークフリートの股ぐらに顔を埋めた。ペニスからまだ溢れてくる精液を舐めとる。
「ロゼ、そんなことはしなくていい」
口では断るが、ジークフリートがロゼッタをはねのけたことはない。
射精したばかりのペニスを口に含まれ、ジークフリートがうめく。
「く……」
ロゼッタはその瞬間がたまらく好きだった。
『ジークフリート様が私で感じている……』
求められていると感じる。
「ロゼ」
実際その後で一度達したとは思えないほど高ぶったジークフリートにロゼッタは押し倒され、胸だけでなく愛撫される。
「ロゼ、…もうこんなに…」
と敏感な秘所をいじられる。
「だって…あっ…!」
指を入れて掻き回され、イく直前にジークフリートが指を抜く。
「あ……」
未練がましい声を上げると、ジークフリートがニヤリと笑いかける。
「何度もイカすと明日に響くからな。今日はこれだけで我慢しろ」
ロゼッタの手を取ると、ジークフリートは太く猛った自分の陰茎に触れさせる。
ロゼッタは頬を赤らめる。
ロゼッタの細い指で撫でられるとジークフリートのペニスは一回り大きくなった。
それをロゼッタの中に挿入する。
「あっ…あっ…んっ……!」
ロゼッタは声を上げてよがった。
「ああ……ロゼッタ」
ジークフリートもロゼッタを抱きしめて奥まで律動を繰り返す。
甘ったるい切なげな表情がたまらなかった。
ぎゅっと抱き返される腕の強さを心地良く思いながら、ジークフリートはロゼッタの膣を穿つ。
「ああっ……ああんんっーー!」
子宮口を強く突き上げられると痺れるような感覚に襲われる。
『死んじゃいそうなくらい気持ち良い……』
「もっ、もうだめぇ」
ロゼッタはこらえきれず震えながら絶頂した。
ジークフリートは別段グリューニング領で顔を隠して暮らしてはいない。むしろ辺境伯という立場から領地を巡り端から端までにらみをきかしている。領民に彼の顔はよく知られている。
「どうして王都ではジークフリート様のおかしな噂が出回っていたのでしょう」
ロゼッタは不思議だった。
「私が醜男というやつか?あれは、半分わざと流した噂だが、半分は事実だ」
ジークフリートが王都に行ったのは父親が病気になった歳だからかれこれ四年前になる。
その頃まだ騎士として最前線で戦っていたジークフリートは戦いの最中、顔に怪我を負った。その傷が治りきらないまま父親の名代として王都に向かったのだ。
「今は治ったが、当時はひどく腫れて、顔は包帯だらけだった。正真正銘醜男だったぞ」
「まあ、それで」
「あの頃私は23歳か。そろそろ結婚の話が出てきたが、私の顔を見ると父親にどんなに言い聞かされても令嬢は皆逃げていった。これはいいと思って従兄にも噂を流させたんだ」
ロゼッタの結婚には、ロゼッタの兄や王家の見届け人達も参列していた。だが結婚の際、新郎新婦は北方に伝わる民族衣装を着る。男性は熊や狼を模したマスクを被り、顔が半分隠れる。
王都の者達は見慣れぬ装束に驚き、ジークフリートの素顔はよく見もしなかった。
熊と言えば、ジークフリートの噂には他に熊のような大男というのもある。
ジークフリートは北方人らしく長身ではあるが並外れて大きな男ではない。また熊ほどにがっちりもしていない。
「そっちは分からんが、昔熊を退治したことがあって……」
「熊ですか?」
「たまたま運が良かった。それが妙な風に伝わったんだろうな」
ジークフリートはサラリと言った。
ジークフリートは自分の噂よりギュンター夫人の噂が気にかかって仕方ない。
すこぶる付きの美人で巨乳だ。
夜会だとロゼッタは彼女に良く似合った腰がきゅっと締まって胸元を強調するような服を着る。
背の高いジークフリートはロゼッタを見下ろす形になる。
ただでさえ大きな胸をコルセットで押し上げているため、胸はいつもより大きく丸く張り出している。
「ずっと君はそういう服を着ていたのか?」
つい非難めいた口調でジークフリートはロゼッタに問う。
「ジークフリート様がいらっしゃる前は夜会はほとんど出ておりませんわ」
夜会は夫婦同伴が原則だ。ジークフリートのいない間は夜間の誘いには応じてない。
昼の会は出ていたが、ロゼッタは華美にならないよう大人しめのドレスを着ていた。彼女のプロポーションの良さはあまり発揮されない服装だ。
実際結婚前のロゼッタは王都でも美貌の令嬢の一人に数えられており、三歳年上の王太子の妃殿下候補の噂もあった。
だがロゼッタは社交界の花と呼ばれる人々の衆目を集める娘ではなかった。
控えめで上品、妻にするには最適。しかし大人しくつまらない娘。
ロゼッタはそう揶揄されていた。
一年前、そう嘲笑した男達は一転してロゼッタを目の色を変えて見つめ、ジークフリートを羨んだ。
「あれほど綺麗な娘だったら、妻にしたかった」
そう悔やめど後の祭りだ。
年頃の娘達は桃色や若草色などの淡い色合いのドレスを着て更にふんだんにレースやリボンでドレスを飾り付ける。
ロゼッタも婚前はこうしたドレスを着ていたが、彼女にはまったく似合わない。
結婚して着るようになった群青色や濃緑、深紅などの鮮やかな色合い、飾りは極力削いで体のラインを生かすようなドレスはロゼッタを見違えるほど美しく魅力的に見せた。
男達は吸い寄せられるようにロゼッタを見つめている。
熱を帯びたフロア中の男性の視線、浴びる賞賛。
ジークフリートが側に居るにもかかわらずひっきりなしにダンスに誘われる。
男性にちやほやされるのは以前のロゼッタなら嬉しく思っただろうが、今のロゼッタはジークフリートだけだ。
ロゼッタはジークフリートの側で幸せそうに微笑んでいる。ジークフリートもロゼッタを見る時は冷たい表情が一変して愛しむように見つめている。
ジークフリートはロゼッタを側から離さず、二人はお互い以外とダンスを踊りたがらない。
一夜のうちに醜男と無残な結婚をした令嬢の噂は消え、似合いの美男美女の夫婦と二人は持てはやされた。
***
ジークフリートは王都に長居するつもりはない。ギュンター家にとって最低限の社交以外はむしろつけ込まれる隙を与えることになる。
国王はジークフリートから金を引き出そうと躍起なのだ。領地に篭もって無視を決め込むに限る。
圧縮された日程をこなすため、ジークフリートとロゼッタは昼も夜も忙しい。
だが、一度愛し合うと夜は離れがたかった。
「はあ…はあ……」
ジークフリートはロゼッタにまたがり、胸で自身をしごいている。
腰を振るジークフリートも快感に声を上げたが、ロゼッタもジークフリートに胸も乳首も揉まれながら、ペニスで擦られながらで、喘ぐ声が止まらない。
「ジークフリートさまぁ……」
「ロゼ……」
ジークフリートはロゼッタを呼んだ直後、勢いよく射精する。
乗ったままではロゼッタを潰してしまう。ジークフリートはロゼッタの体から降りて息をつく。
「ジークフリート様……」
ロゼッタはそれを追うようにジークフリートの股ぐらに顔を埋めた。ペニスからまだ溢れてくる精液を舐めとる。
「ロゼ、そんなことはしなくていい」
口では断るが、ジークフリートがロゼッタをはねのけたことはない。
射精したばかりのペニスを口に含まれ、ジークフリートがうめく。
「く……」
ロゼッタはその瞬間がたまらく好きだった。
『ジークフリート様が私で感じている……』
求められていると感じる。
「ロゼ」
実際その後で一度達したとは思えないほど高ぶったジークフリートにロゼッタは押し倒され、胸だけでなく愛撫される。
「ロゼ、…もうこんなに…」
と敏感な秘所をいじられる。
「だって…あっ…!」
指を入れて掻き回され、イく直前にジークフリートが指を抜く。
「あ……」
未練がましい声を上げると、ジークフリートがニヤリと笑いかける。
「何度もイカすと明日に響くからな。今日はこれだけで我慢しろ」
ロゼッタの手を取ると、ジークフリートは太く猛った自分の陰茎に触れさせる。
ロゼッタは頬を赤らめる。
ロゼッタの細い指で撫でられるとジークフリートのペニスは一回り大きくなった。
それをロゼッタの中に挿入する。
「あっ…あっ…んっ……!」
ロゼッタは声を上げてよがった。
「ああ……ロゼッタ」
ジークフリートもロゼッタを抱きしめて奥まで律動を繰り返す。
甘ったるい切なげな表情がたまらなかった。
ぎゅっと抱き返される腕の強さを心地良く思いながら、ジークフリートはロゼッタの膣を穿つ。
「ああっ……ああんんっーー!」
子宮口を強く突き上げられると痺れるような感覚に襲われる。
『死んじゃいそうなくらい気持ち良い……』
「もっ、もうだめぇ」
ロゼッタはこらえきれず震えながら絶頂した。
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