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第10章 Freedom国、経済の中心へ!
64話 王国の使者
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それからしばらくして、王国から使者がきた。Freedom国を視察にやってきたのだ。
「このたびは、面会に応じてくれてありがとうございます」
「それで、今日はどのような事で?」
「それはいいのですが、ケンジ様はいかがなされたのですか?この場にはこないのですか?」
「失礼いたしました。この度正式に外交担当に任命されたランガスと申します。以後よろしくお願いいたします」
「お主……どこかで見たような?」
「ええ!以前は、父が王国でお世話になっていました。お久しぶりでございます」
宰相と侯爵は驚いた。まさか、王国の元貴族の息子がFreedom国で、外交を任せられていたとは思いもしなかったのだ。それも、何かと反論ばかりして、辺境地に飛ばされたローザン家だったのだ。
「わははは!まさかローザン家が、Freedomで貴族をやっているとは思わなかったぞ!」
「勘違いしておられますが、私はローザン家の名を捨てたものであり、貴族ではなくお間違いのないよう!」
「はぁあ?貴族じゃないとしたらなんだというのだ?」
「ここFreedom国では貴族や平民はいません。全員が国民と呼ばれています」
「バカな‼貴族と平民が一緒だと言うのか?」
「そもそもこの国では貴族がいません。なので平民というのもいないのですよ。ですが、その環境に慣れれば貴族とか平民など、ちっぽけなものとよくわかりましたよ」
「なっ⁉貴族が、ちっぽけなものと申すか!」
「気を悪くしたら申し訳ない!ただ、この国ではそういう理念で成り立っているのです。貴族とか平民という区別はくだらない事で、その人物が何をやりどんな功績を残す方が大事だということなのです」
「貴族は平民より上の立場であり、国を動かすという大役を担っておるのだ!貴族が、くだらないなど無礼ではないか!」
「いえいえ……貴族位がくだらないと言っているのですよ。国の政治をやっている、宰相様や侯爵様という人物は偉いといっているのです。この国では、貴族位よりその人物に重点を置いて、貴族や平民というものがないのです」
「うぐぐぐ!」
宰相や侯爵達は、他国の事で貴族位の無いことを理解し、自分達の事褒めてくれたので、これ以上の事を言わず言葉を飲み込んだ。
「それで、今回は私がケンジ様から一任されております。どのような訪問内容でしょか?」
「今回訪問させてもらったのは、Freedom国は一体どうなっておるのだ?こういっては何だが、孤児院の人間が内政をしていると情報が入ったのに、なぜ国が機能しておるのだ?」
「なんですか?藪から棒に……」
「孤児院の連中なんて、こういっては何だが冒険者にしかなれない、馬鹿共ばかりではないか?」
「では、その質問に答える前に、こちらから質問をさせてもらってもいいですか?」
「な、なんだ?」
「貴方達王国は、Freedom国が孤児院の人間が政を担う事で、何を期待していたのか知りませんが、ひょっとしてFreedom国が孤児院の人間を雇う事で、国が機能しなくなることを期待していたのですか?」
「当たり前だ!今まで冒険者しかやる事がなかった者達だぞ?その冒険者ですら満足に出来なかった者達だ」
「そうですか……王国はそんな人間を雇ったFreedom国が機能しなくなるのを待っていたという事ですか?そして、又王国に人が戻ってくる事を期待していたと?」
「そうだ!なのに、Freedom国が衰退するどころか、聖教国を飲み込み更に巨大に成長しおって!どんなからくりがあるのだ!」
「わかりました。それではその問いにお答えしましょう!先ほども言ったように、孤児院とか平民等関係ないという事ですよ。孤児院出身の人間でも、優秀な人間はいるということです」
「馬鹿な事!そんなことがある訳……」
「いいですか?なぜ、孤児院出身だからと言って、駄目な人間だと決めつけるのですか?孤児院出身者でも、ちゃんと勉学の楽しさに気づき、その才能を十分発揮し他国では、貴族様の仕事を十分にこなすほど優秀な人材がたくさんいるですよ」
「何が優秀な人材だ!平民が我々と、同じ仕事をこなせるわけがない」
「まあ、こういってはなんですが、貴族様の中にも役に立たず、国をピンチに陥れるような無能がいますからね。貴族とか平民など関係ないですよ」
「なっ⁉無礼であろう!」
「無礼はどちらですか?我が国の重要な人材を、馬鹿にするのはやめていただきたい!孤児院とか貴族とか関係ありません!我が国では、頑張れば誰にでも平等に職に就けるのです!貴族しか国の政に携わる事のできない馬鹿馬鹿しい考えを、我が国に押し付けないでいただきたい!」
「ゥぐっ……」
「我が国の方針を馬鹿馬鹿しいというのか!」
「えぇ!馬鹿馬鹿しいですね。こういっては何ですが、私もこの国に来るまで、貴族しか国の事業に携るのが普通だと思い込んでました」
「そんなの当り前だ!」
「しかし、貴族位を捨てこの国に来て、その考えが本当に愚かだった事に気づかされましたよ。人間にそんな貴族とか平民という区別はいらないって事にね」
「「……」」
「だって、そうでしょ?この国では平民のいや、孤児院出身の人間が国の事業に携わり、国民の為に少しでも良い国になるように頑張っているのですよ?」
「平民の為に国を良くするだと……国を良くする理由は、王族や貴族の為だ!平民達はその労働力として結果、安全な国に住まわせてもらうにすぎないのだ!」
「だったら、なぜ、その王国に平民達は住まないのですか?王国領や帝国領から出国していくのですか?信者がいっぱいいた聖教国は、なぜ人がいなくなり滅亡してしまったのですか?」
「そ、それは……」
「そう!貴族とか平民という区別など必要ないと気づいたからですよ。実際、ちゃんと教育を受けたら、平民達も貴族と同じ人間という事が分かったからです!」
「馬鹿な!貴族と平民が一緒だと⁉そんなわけがあるはずがないだろ!」
「そうやって思っているのは、貴方達貴族だけですよ」
「無礼者が!貴族は選ばれた民だ!平民と同じにするでないわ!」
「あははははは!王国の宰相様とあろう者が、帝国貴族みたいなことをおっしゃるのですね?これはびっくりしました」
「馬鹿者!帝国は人至上主義だ!儂が言ったのは、貴族と平民は違うと言ったのだ!」
「なおさら悪いでしょ?同じ人間で差別など、本当に馬鹿馬鹿しい……そんな事を公言するから、王国から平民がいなくなるのですよ」
「何を言っておる。王国にも平民はまだ残っておるわ!」
「では、私から助言の一つでも言わさせていただきますよ。国を引っ張って行く貴族の人数と、国を盛り立てていく労働者達の人数の比率が、同じに近づいてどうするのですか?」
「そ、それは……」
「貴族達は、税金で生活を賄っているのですよ?その税金はだれが払っているのですか?」
「そんなのは平民達の義務であろう!」
「その義務が当たり前になり、貴族達が好き勝手すれば、そりゃ国民達は払いたくなくなりますよ」
「平民達は、その税金で城壁内という安全を貰え、王族や貴族の土地に住まわせてもらえるんじゃないか!」
「本当に貴族というのは、自分が良い方に考えるのが得意ですね……」
「わしを馬鹿にするのか?」
「いえいえ……宰相様を馬鹿になどしませんよ。ちょっと呆れているんです」
「なっ⁉無礼者が!」
「いいですか?もっと周りをよく見て行動してください!確かに、今まではその考え方しかない世の中だったから、一択で良かったのかもしれません!」
「いいも悪いもそれが普通だ!」
宰相達は、ランガスを睨みつけていた。元王国の貴族であり、その父は王国では自分達より身分が低かった息子にここまで言い負かされて頭に血が上った状態になっていた。
「普通と思っているなら、このままお引き取りになってください!Freedom国が、これ以上言う事は無いでしょう!その考えを貫き、聖教国と同じ道を辿らなければいいかとおもいます!」
「王国が滅亡すると申すか!」
「実際、もう後がないのでしょう?だから、いつまでたってもFreedomが衰退しない事に苛立ち、こうして訪問したのではないのですか?」
「「ぐううっ……」」
「どうしましたか?私も、任命されたばかりだと言っても暇ではないのです。用がなければ、お引き取りをお願いします」
「貴様ぁ~~~~~!黙って聞いておれば、いい気になりおって!」
「そんな事で、頭に血が上ってどうしたいのですか?あなたは、何しにこの国に来たのですか?」
「我らは、Freedom国がいつまでたっても、衰退しない理由を聞きにきたのだ!なのに、貴様は訳の分からん事ばかり……」
「何回も言います!今までは、それで良かったのかもしれません!もっと、頭を柔らかくして考えてください」
「今までも何も、それが普通だと言っておろう!平民が国の事業に、口を出す方がおこがましいのだ!」
「そのような考えでは、この話は平行線になるだけです。お引き取り下さい!」
ランガスは、交渉の余地はないと見て、宰相達を追い返してしまった。宰相達が、考えを改める事は難しいが、寄り添ってくれたならば助言を与え、王国が盛り返す方法をアドバイスできたのだが、Freedomの考え方が、この世界では非常識な為、貴族達には理解できなかったのだ。
その為、ランガスは話を中断して切り上げてしまったのである。
「このたびは、面会に応じてくれてありがとうございます」
「それで、今日はどのような事で?」
「それはいいのですが、ケンジ様はいかがなされたのですか?この場にはこないのですか?」
「失礼いたしました。この度正式に外交担当に任命されたランガスと申します。以後よろしくお願いいたします」
「お主……どこかで見たような?」
「ええ!以前は、父が王国でお世話になっていました。お久しぶりでございます」
宰相と侯爵は驚いた。まさか、王国の元貴族の息子がFreedom国で、外交を任せられていたとは思いもしなかったのだ。それも、何かと反論ばかりして、辺境地に飛ばされたローザン家だったのだ。
「わははは!まさかローザン家が、Freedomで貴族をやっているとは思わなかったぞ!」
「勘違いしておられますが、私はローザン家の名を捨てたものであり、貴族ではなくお間違いのないよう!」
「はぁあ?貴族じゃないとしたらなんだというのだ?」
「ここFreedom国では貴族や平民はいません。全員が国民と呼ばれています」
「バカな‼貴族と平民が一緒だと言うのか?」
「そもそもこの国では貴族がいません。なので平民というのもいないのですよ。ですが、その環境に慣れれば貴族とか平民など、ちっぽけなものとよくわかりましたよ」
「なっ⁉貴族が、ちっぽけなものと申すか!」
「気を悪くしたら申し訳ない!ただ、この国ではそういう理念で成り立っているのです。貴族とか平民という区別はくだらない事で、その人物が何をやりどんな功績を残す方が大事だということなのです」
「貴族は平民より上の立場であり、国を動かすという大役を担っておるのだ!貴族が、くだらないなど無礼ではないか!」
「いえいえ……貴族位がくだらないと言っているのですよ。国の政治をやっている、宰相様や侯爵様という人物は偉いといっているのです。この国では、貴族位よりその人物に重点を置いて、貴族や平民というものがないのです」
「うぐぐぐ!」
宰相や侯爵達は、他国の事で貴族位の無いことを理解し、自分達の事褒めてくれたので、これ以上の事を言わず言葉を飲み込んだ。
「それで、今回は私がケンジ様から一任されております。どのような訪問内容でしょか?」
「今回訪問させてもらったのは、Freedom国は一体どうなっておるのだ?こういっては何だが、孤児院の人間が内政をしていると情報が入ったのに、なぜ国が機能しておるのだ?」
「なんですか?藪から棒に……」
「孤児院の連中なんて、こういっては何だが冒険者にしかなれない、馬鹿共ばかりではないか?」
「では、その質問に答える前に、こちらから質問をさせてもらってもいいですか?」
「な、なんだ?」
「貴方達王国は、Freedom国が孤児院の人間が政を担う事で、何を期待していたのか知りませんが、ひょっとしてFreedom国が孤児院の人間を雇う事で、国が機能しなくなることを期待していたのですか?」
「当たり前だ!今まで冒険者しかやる事がなかった者達だぞ?その冒険者ですら満足に出来なかった者達だ」
「そうですか……王国はそんな人間を雇ったFreedom国が機能しなくなるのを待っていたという事ですか?そして、又王国に人が戻ってくる事を期待していたと?」
「そうだ!なのに、Freedom国が衰退するどころか、聖教国を飲み込み更に巨大に成長しおって!どんなからくりがあるのだ!」
「わかりました。それではその問いにお答えしましょう!先ほども言ったように、孤児院とか平民等関係ないという事ですよ。孤児院出身の人間でも、優秀な人間はいるということです」
「馬鹿な事!そんなことがある訳……」
「いいですか?なぜ、孤児院出身だからと言って、駄目な人間だと決めつけるのですか?孤児院出身者でも、ちゃんと勉学の楽しさに気づき、その才能を十分発揮し他国では、貴族様の仕事を十分にこなすほど優秀な人材がたくさんいるですよ」
「何が優秀な人材だ!平民が我々と、同じ仕事をこなせるわけがない」
「まあ、こういってはなんですが、貴族様の中にも役に立たず、国をピンチに陥れるような無能がいますからね。貴族とか平民など関係ないですよ」
「なっ⁉無礼であろう!」
「無礼はどちらですか?我が国の重要な人材を、馬鹿にするのはやめていただきたい!孤児院とか貴族とか関係ありません!我が国では、頑張れば誰にでも平等に職に就けるのです!貴族しか国の政に携わる事のできない馬鹿馬鹿しい考えを、我が国に押し付けないでいただきたい!」
「ゥぐっ……」
「我が国の方針を馬鹿馬鹿しいというのか!」
「えぇ!馬鹿馬鹿しいですね。こういっては何ですが、私もこの国に来るまで、貴族しか国の事業に携るのが普通だと思い込んでました」
「そんなの当り前だ!」
「しかし、貴族位を捨てこの国に来て、その考えが本当に愚かだった事に気づかされましたよ。人間にそんな貴族とか平民という区別はいらないって事にね」
「「……」」
「だって、そうでしょ?この国では平民のいや、孤児院出身の人間が国の事業に携わり、国民の為に少しでも良い国になるように頑張っているのですよ?」
「平民の為に国を良くするだと……国を良くする理由は、王族や貴族の為だ!平民達はその労働力として結果、安全な国に住まわせてもらうにすぎないのだ!」
「だったら、なぜ、その王国に平民達は住まないのですか?王国領や帝国領から出国していくのですか?信者がいっぱいいた聖教国は、なぜ人がいなくなり滅亡してしまったのですか?」
「そ、それは……」
「そう!貴族とか平民という区別など必要ないと気づいたからですよ。実際、ちゃんと教育を受けたら、平民達も貴族と同じ人間という事が分かったからです!」
「馬鹿な!貴族と平民が一緒だと⁉そんなわけがあるはずがないだろ!」
「そうやって思っているのは、貴方達貴族だけですよ」
「無礼者が!貴族は選ばれた民だ!平民と同じにするでないわ!」
「あははははは!王国の宰相様とあろう者が、帝国貴族みたいなことをおっしゃるのですね?これはびっくりしました」
「馬鹿者!帝国は人至上主義だ!儂が言ったのは、貴族と平民は違うと言ったのだ!」
「なおさら悪いでしょ?同じ人間で差別など、本当に馬鹿馬鹿しい……そんな事を公言するから、王国から平民がいなくなるのですよ」
「何を言っておる。王国にも平民はまだ残っておるわ!」
「では、私から助言の一つでも言わさせていただきますよ。国を引っ張って行く貴族の人数と、国を盛り立てていく労働者達の人数の比率が、同じに近づいてどうするのですか?」
「そ、それは……」
「貴族達は、税金で生活を賄っているのですよ?その税金はだれが払っているのですか?」
「そんなのは平民達の義務であろう!」
「その義務が当たり前になり、貴族達が好き勝手すれば、そりゃ国民達は払いたくなくなりますよ」
「平民達は、その税金で城壁内という安全を貰え、王族や貴族の土地に住まわせてもらえるんじゃないか!」
「本当に貴族というのは、自分が良い方に考えるのが得意ですね……」
「わしを馬鹿にするのか?」
「いえいえ……宰相様を馬鹿になどしませんよ。ちょっと呆れているんです」
「なっ⁉無礼者が!」
「いいですか?もっと周りをよく見て行動してください!確かに、今まではその考え方しかない世の中だったから、一択で良かったのかもしれません!」
「いいも悪いもそれが普通だ!」
宰相達は、ランガスを睨みつけていた。元王国の貴族であり、その父は王国では自分達より身分が低かった息子にここまで言い負かされて頭に血が上った状態になっていた。
「普通と思っているなら、このままお引き取りになってください!Freedom国が、これ以上言う事は無いでしょう!その考えを貫き、聖教国と同じ道を辿らなければいいかとおもいます!」
「王国が滅亡すると申すか!」
「実際、もう後がないのでしょう?だから、いつまでたってもFreedomが衰退しない事に苛立ち、こうして訪問したのではないのですか?」
「「ぐううっ……」」
「どうしましたか?私も、任命されたばかりだと言っても暇ではないのです。用がなければ、お引き取りをお願いします」
「貴様ぁ~~~~~!黙って聞いておれば、いい気になりおって!」
「そんな事で、頭に血が上ってどうしたいのですか?あなたは、何しにこの国に来たのですか?」
「我らは、Freedom国がいつまでたっても、衰退しない理由を聞きにきたのだ!なのに、貴様は訳の分からん事ばかり……」
「何回も言います!今までは、それで良かったのかもしれません!もっと、頭を柔らかくして考えてください」
「今までも何も、それが普通だと言っておろう!平民が国の事業に、口を出す方がおこがましいのだ!」
「そのような考えでは、この話は平行線になるだけです。お引き取り下さい!」
ランガスは、交渉の余地はないと見て、宰相達を追い返してしまった。宰相達が、考えを改める事は難しいが、寄り添ってくれたならば助言を与え、王国が盛り返す方法をアドバイスできたのだが、Freedomの考え方が、この世界では非常識な為、貴族達には理解できなかったのだ。
その為、ランガスは話を中断して切り上げてしまったのである。
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