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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

131話 Freedom国首都

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 次の日の朝、ローゼリアはマリアンヌの部屋に起こしに行き、マリアンヌの部屋の扉をノックした。

「マリアンヌさん、起きていらっしゃいますか?朝ですよ」

 ノックの音でマリアンヌは目を覚ました。

「あ、はい。ただいま起きました」

「それじゃ、朝食は30分程で用意しますので、下の食堂に来てくださいね」

「わかりました。重ね重ねありがとうございます」

「あ、あの……昨日は本当に申し訳ございませんでした」

「えっ?」

「この町の事を知らないのに、わたしは生意気な事ばかり言いました。ホントごめんなさい……」

 マリアンヌは、部屋の扉をそっと開いたのだった。

「ローゼリアさんでしたね。そんな謝らないでください。確かに私は、国にそんな制度があるなんて知らなかったのは事実です。もし知っていれば、こんな事に巻き込まれることは無かったし、あの子たちに不憫な想いもさせずに済んだんです……」

「あの後、兵士にも怒られました。自分の知識だけで全員がそれを当たり前だと思うなって……だから、本当にすいませんでした」

「そんな、謝らないでください。もう気にしていませんし、この国の人達は凄いと思います。普通なら、わたしのような人間がこの国の王様になんか会う事は出来ません……しかし、国王様は私のような末端な人間に気を遣い面会をしてくださるのです」

 マリアンヌは、ケンジと会い何があるのか分からないが、面会できる機会でこれから自分の子供達と一生懸命生活が出来る糧になればいいと思っていた。
 すると、マリアンヌたちの会話にマイクとマリンが起きてしまったのだった。

「かあちゃん、どうしたの?」
「んん……まだ眠いよう……」

「二人とも起きたのね。早く顔を洗ってらっしゃい。ご飯が出来ているそうよ」

「「は~い……」」

「ローゼリアさん、あの時私の子供達を真っ先に守ってくれたのでしょ?」

「えぇ……わたしの任務は、マリアンヌさんの子供達の護衛でしたので当然です」

「本当にありがとう。それだけで私はあなたに感謝してます。あなたに、謝られる事などありません。だから、昨日の事は気にしないでください」

「マリアンヌさん……」

 ローゼリアは、マリアンヌの言葉に救われたのだった。


 そして、ローゼリアはマリアンヌをフリーの町へと案内した。マリアンヌは町の様子に目を丸くした。一緒にいたマイクとマリンも、人の多さと町の喧騒にテンションが上がったのは言うまでもなく、出店や大きな建物に目を輝かせていた。

 マリアンヌは、フリーの町とムンシャートの町が、こんなにも違うのかと驚いた。一番驚いたのは人々の笑顔である。そこには、人々が本当に幸せそうに会話していて、種族の壁が無かったのだった。種族どころか、平民と奴隷が会話を楽しみ、奴隷だけで買い物もできていて、獣人のハーフも活き活きと会話をしていた。

「あ、あのローゼリアさん?」

「何でしょうか?」

「この町はいったい?」

「ムンシャートと違いすぎますか?」

「えぇ……見た所、奴隷だけで買い物をしているみたいですが?」

「この町では、借金奴隷は契約社員のようなものですからね。主人の命令で、買い物や魔物の素材などを取ってくるのは普通の事ですよ」

「奴隷だけで、町の外に出れるのですか?」

「その奴隷が、元冒険者だった場合ですけどね。そのようにして、奴隷達は借金を減らしていき解放ができるのですよ」

「なるほど……それにこの町には、差別の対象である獣人とのハーフの方も関係なく楽しそうですね」

「これもケンジ様の政策の賜物ですよ。ケンジ様は奴隷達の待遇を上げて、差別をなくそうと頑張っておいでです」

「そんな事が本当に可能に……」

 マリアンヌのような、小さな町出身の人間にとってはカルチャーショックだった。

「それよりあの馬車に乗りますよ」

「馬車ですか?」

「この町は、とてつもなく大きいですからね。馬車でケンジ様の屋敷に向かわないと歩いて行ったら、1日どこかで宿泊しないといけませんよ」

 ローゼリアだけなら、Freedom店の転移マットで直通だが、マリアンヌがいる為、ムンシャートの兵舎からフリーの町の兵舎へと転移した。

 今や、フリーの町は各地から移住してきた人間で、とてつもなく大きな町となり、城壁も一番外の城壁は6番目を数えるほどになっていたのだ。

 その為、フリーの町やそれに続く大きな町で手いっぱいで中規模以下の町(元王国・帝国・聖教国領)はどうしても後回しになっていたのだ。
 ムンシャートの町は決して小さくはないのが、Freedom国領になってからは、比較対象がフリーの町になるので小さくなるのである。

「町の移動でどこかに一泊?」

「ええ!ケンジ様の屋敷は湖側にある一番奥です。ここからは全然見えませんからね。乗合馬車で移動しないといけないのです」

 マリアンヌは、どんな規模の町だと驚き、開いた口が塞がらなかった。マイクとマリンの二人は町の中で馬車に乗る事など無かったので、早い速度で過ぎ去る街並みにテンションが上がりきっていたのだった。

「この町なら、マリアンヌさんも生活が出来ると思いますよ」

「そ、そうね。町の中で乗合馬車があるとは思わなかったわ……普通は町と町の移動で使うものとばかり思っていたもの」

 マリアンヌは本当に驚きを隠せなかった。道も馬車が通る道人が通る道にわけられていて、馬車は人に気をつける必要が無いのだ。その為、馬車のスピードは速くてあっと言う間に停留所についてしまった。

「ここからはちょっと歩きますよ」

「あんなに移動したのにまだつかないのですか?」

「いえいえ、もう見えていますよ」

 ローゼリアは、ケンジの屋敷を指さしたのだ。そこには屋敷とは言わず城のような馬鹿でかい建物があった。屋敷と言ったのは中世のお城のような形ではなく、本当に屋敷のようであるが、大きさがお城のように馬鹿でかいのである。

「な、なんですか。あの建物は⁉」

「凄いでしょ?たぶん、10階建ての建物なんてこの世であの建物だけですよ」

「あんなの見たことありませんよ……」

「マリアンヌさん達は、今からあの建物の中に入れるのですよ」

「お姉ちゃん本当?」
「す、すげええ!」

「うん、本当よ。マイク君もマリンちゃんも良かったね」

 マイクとマリンはそれを聞いて、早く行こうとマリアンヌの手を引いたのだった。それを見た、ローゼリアはクスクス笑っていた。


 屋敷の前に立った、マリアンヌは子供と一緒に上も見上げたのだった。

「かあちゃんすげえ……」
「お母さん凄いね……」

「本当凄いわね……」

「じゃあ、ここからはマリアンヌさん達だけになるけど普通にしていたらいいからね。多分面会は明日になると思うわ」

「えっ?一緒じゃないのですか?」

「あたしの役目は、ここまでの案内で終わりよ。裁判官に貰った面会証明書を兵士に見せたら、案内してくれるから心配はないわ」

「ちょ、ちょっと待ってください!じゃあそれまで一緒にいてください!こんなところで一人にしないでください」

 マリアンヌと子供達は、ローゼリアに逃げられない様に腕をつかんで離さなかった。

「わ、分かりました。手を放してください」

「逃げないでくださいね」


 ローゼリアは、マリアンヌたちを連れて、門の前に連れて行ったのだった。ローゼリアも門から入るのは初めての事である。

「何者だ!停まれ!ここからは一般国民はは入れな……なんだ?ローゼじゃないか。こんな所から入ってこようとするなんてなんだ?」

「ったく……フォルカスったら、いつもそんな風に威圧しているの?」

「当たり前だ!ケンジ様の屋敷を守る栄誉を頂いているのだからな。何人たりとも侵入は許さん!」

「ここは、普通より強力な結界が張ってあるのよ。気合入れ過ぎなのよ」

「気合入れ過ぎで何が悪い!俺はこの仕事に誇りを持っているから、お前につべこべ言われる必要はない!」

「まあ、いいわ……この方たちを案内してきたの。屋敷に入るわよ」

「ちょっと待て!なに当然のように部外者をいれようとする?何か証明書みたいなものがあるだろ?」

 マリアンヌは急いで裁判官に貰った面会証明書を提出した。

「こ、これでよろしいですか?」

「ふむ、貴方がムンシャートの町のマリアンヌだったか。これも職務だから許してくれ」

「い、いえ、ご苦労様です」

 マイクとマリンは、でかいクマのようなフォルカスに怯えていたのだった。そして、マリンは泣き出してしまったのだった。

「あ~小さな女の子をフォルカスが泣かした」

 フォルカスはマリンをあやし、抱きかかえ高い高いをしようとしたが、マリンにとって、いきなり髭もじゃの大男に抱き上げられ、さらに大声で泣いてしまったのだ。


 マリアンヌは、困った顔をしたフォルカスから娘を返してもらい、抱きかかえた。すると、安心したように泣き止み、マリンはマリアンヌの胸に顔をうずめて隠れてしまった。

「フォルカス様、ごめんなさい。この子ちょっと人見知りですので……」

「い、いや……ワシこそすまなかった……どうぞ中に入ってくれ!」

 ローゼリアは、フォルカスが子供好きなのを知っていたが、いつもその見た目で小さい子から怖がられていたのを知っていて、クスクス笑っていた。

「ローゼ、何を笑っている」

「フォルカスも、変わらないなあって思っておかしくてしょうがないよ。子供に好かれたいのなら、まずその髭を何とかしなきゃね」

「うるさい!この髭は俺のトレードマークだ!」

「だったら子供に好かれるのは諦めることね」

「うるさい!お前は、早くマリアンヌ殿を案内しないか」

「はいはい……わかりましたよ。マリアンヌさん行きましょう。こっちから入場したら、メイドが部屋に案内してくれるわ」

「は、はい」

 そして、大きな入り口をくぐると執事やメイドが整列していて、マリアンヌたちを客室に案内したのだった。


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