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第10章 Freedom国、経済の中心へ!
154話 手に入らないお菓子
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給食時のおやつは、子供達に本当に喜ばれる結果に終わった。そして、子供達は1週間に一度あるおやつの日が楽しみになった。
「明日、おやつが配られるな」
「俺、次は絶対鳳凰騎士団を当ててやるんだ」
「俺だって!」
「俺は、魔物がいいなあ」
「何でだよ!お前変わってるなあ……」
「でも、魔物って怖い存在だけど、こんなにリアルに再現されているんだぜ?違う魔物も欲しくならないか?」
「確かに言われてみればそういうのもありだな……」
「だろ?」
「でも、やっぱ俺は鳳凰騎士団の隊長クラスの人達が出てほしいな」
「あ、聞いた聞いた。2組の奴、三番隊隊長が出たらしいな?」
「本当に運いいやつだぜ!」
「あたしは今度は指輪を当てるんだ」
「あたしも!」
「ママから聞いたんだけど指輪は誕生石を貰えると幸せになれるんだって」
「「「「「それ本当?」」」」」
「うん、ママもパパから結婚するとき貰って幸せだったっていってたのよ」
「「「「「へええ、いいなあぁ」」」」」
そんな事を言いながら、子供達は明日のおやつを楽しみにしていたのだった。
そんな事を話していた頃、Freedom店では客からの問い合わせが出始めていたのである。給食で出たキャラメルというお菓子は、どこで買えるのかと言う問い合わせが出始めていたのだ。
「あの、学校で出ているキャラメルと言う、お菓子はどこに行ったら買えるのでしょう?」
「申し訳ございません……あれは学校でしか配布されていない物で、非売品なのです」
「そ、そうなのですか?」
「はい……国王様が考えたもので、子供達の為だけの楽しみとして考えられたものなのですよ」
「では、販売はされないというのですか?」
「国王様が言うには、子供の為のおやつであり、このおやつは商売にはしたくない言うことです」
Freedom店の従業員が、そう説明したら残念そうに帰っていく客が、日に日に多くなっていたのだった。
「ご主人様、よろしいでしょうか?」
「ユエティーどうした?」
「ご主人様、学校で配布しているキャラメルなのですが……」
「なんだ?Freedom店に問い合わせが殺到しているのか?」
「どうしてそれを?」
「そりゃそうのようになるのは想定内だからな」
「では、なんでFreedom店で販売なさらないのですか?」
「あれは、子供達のお菓子だからだよ。要は、学校に通っている時だけの思い出の味にしたいと考えているんだよ」
「どういうことなのですか」
「今、子供達の教育で今ある常識を変えようとしているのは、会議で分かっているな?」
「それはもう……」
「この事業は、とても時間がかかる……今、学校で通っている子供達が親になった時、子供と会話するときに思い出の味にしたいんだよ」
「思い出の味ですか?」
「ああ、今の世の中子供との会話は、日銭がどれぐらい稼げたという事ばかりで生活に必死だ。それが普通だと思っているからな」
「それはそうですが……」
「この国の人間の生活は、いずれ余裕が出てくるはずだ。それは、20年30年後に出てくるはずだ。その時、子供達は働かなくてよくなるはずだ」
「まさか!子供達が親の手伝いをしなくてもよくなるなんて……」
「そうじゃない。手伝いはしているが、一食の為に必死で家計を支えなくてもいいという事だ。手伝いはしていると思うぞ」
「まさか!」
「子供達の仕事は、学校での勉学と言う常識に代わるはずだ」
「……」
「信じられないか?」
「えぇ……」
「その時、学校に通っていたころの味がキャラメルと言うお菓子にしたいんだよ」
「その理由はなんですか?」
「子供達の、学校での会話をちゃんとして欲しいからだよ。親になった子供達は、自分も学校で楽しかった思い出に浸れるようにな」
「それってどういう効果があるのでしょうか?」
「今は俺にもわからんが、未来の子供達には必要だと思うよ。俺も父さんとの会話は少なかったが、父さんや母さんに話を聞いてもらった日は楽しかったからな」
「今は、そういう会話が必要と言う事でしょうか?」
「俺はそう思っているよ。学校であった楽しい事やどんな給食がでたとか、何でもない会話がな」
「わ、分かりました……」
「店に問い合わせが来たら、対応をしてやってくれ。面倒をかけるがよろしく頼むぞ」
「わかりました」
「もし、このまま増え続けて、対応できない様になったらまた報告してくれ」
「はい……」
ユエティーは、ケンジの考えている事が理解できなかった。国民が求めているのだから、売り物にしたらいいと思うのだが、ケンジは頑なに売らないというのだ。
しかし、ケンジがそのように決定をするのだから、指示に従うしかなかったのだ。
子供達のおやつは、物凄く定評で日に日に増えて行き、子供達は宝箱に入れてコレクションしていったのだ。
子供達の中には、お目当てのフィギュアやアクセサリーが出ない子供が出てきたのだった。
「くうぅ……また、オークが当たった。これで3体目だ……」
「俺なんかゴブリンだぞ……」
その一方で、鳳凰騎士団が当たった子供達も出てくるのである。そうなるとどうなるかと言うと、ダブったフィギュアやアクセサリーの交換である。
おもちゃを使った交換は、同じ価値にしてトレードが開始され、商売の基本の勉強になっていった。分からなければ、子供達は先生を仲介役にして相談するのである。
この行動には、教師達も驚いたのだった。子供達は、自分で鳳凰騎士団のフィギュアが欲しければ、当たるのを待つのではなく、かっこいい魔物のフィギュアを3体と交換をしてくれと交渉するのである。
ある子供は、キャラメルを全部あげるから、欲しいフィギュアと交換し満足していたりしていた。その中でも、毎週新しいフィギュアが出る子供もいて、集めるという行為コレクションの楽しさを見出す子供達で溢れたのだった。
その中で、男の子で女の子用の玩具のアクセサリーを欲しがる男の子や、反対に男の子用のおもちゃを欲しがる女の子も出てきたのだ。
「先生!僕、アクセサリーの玩具が欲しいけど、こっちを貰ってもいいかな?」
「え?なんで?ヨハン君は男の子でしょ?」
「うん……でも、こっちが欲しいんだ」
教師は、悩んだ。男の子は男の子用にと決められていたからだ。そのように与えてくれと言われていた為、困ってしまったのだった。
すると、他の男の子達からこんな意見が出たのである。
「先生!ヨハンは将来、父親と一緒に細工士になりたいんだよ。だから、女の子用の玩具だけど、アクセサリー欲しいんだと思うぜ」
「ヨハン君そうなの?」
「うん……この玩具ってデザインが凄い綺麗なんだ。うちでは見たことが無くて……」
教師はヨハンの説明を聞いて驚いたのだった。7歳8歳の子供がそんな事言い出すからである。しかし、お菓子の数はピッタリであり、女の子用をヨハンに与えると、一つ足りなくなるからである。
「ヨハン君。だったらあたしと交換してよ」
「いいの?」
「うん。あたしも男の子用の方がいいんだ。今まで言えなかったけど、本当はこっちが欲しかったんだ」
「フィリナちゃんありがとう!」
ヨハンは、フィリナにお礼を言い教師はホッとしたのだった。この事はすぐにケンジに報告書としてあげられた。
そして、ケンジはそのことに気づけなくてすぐさま、一クラスに多めに3つづつ多めに配布したのである。
これには、子供達も大喜びで余ったおやつは、交代制でその子供達の順番で一つ多く貰えることが決まったのだった。
その間にも、キャラメルの噂は拡がっていた。どんな食べ物か子供達に聞いても、甘くておいしく口の中でとろけるとしか分からなかったので、他の店が作る事が出来なかったのだった。
自分の子供達に、一粒だけでも持って帰ってきてくれと言っても、子供達にとっては1週間に一度の楽しみであり親にあげたくはなかったからだ。
その為、世間では手に入らないお菓子と言う、奇妙な状況が起こっていた。
「明日、おやつが配られるな」
「俺、次は絶対鳳凰騎士団を当ててやるんだ」
「俺だって!」
「俺は、魔物がいいなあ」
「何でだよ!お前変わってるなあ……」
「でも、魔物って怖い存在だけど、こんなにリアルに再現されているんだぜ?違う魔物も欲しくならないか?」
「確かに言われてみればそういうのもありだな……」
「だろ?」
「でも、やっぱ俺は鳳凰騎士団の隊長クラスの人達が出てほしいな」
「あ、聞いた聞いた。2組の奴、三番隊隊長が出たらしいな?」
「本当に運いいやつだぜ!」
「あたしは今度は指輪を当てるんだ」
「あたしも!」
「ママから聞いたんだけど指輪は誕生石を貰えると幸せになれるんだって」
「「「「「それ本当?」」」」」
「うん、ママもパパから結婚するとき貰って幸せだったっていってたのよ」
「「「「「へええ、いいなあぁ」」」」」
そんな事を言いながら、子供達は明日のおやつを楽しみにしていたのだった。
そんな事を話していた頃、Freedom店では客からの問い合わせが出始めていたのである。給食で出たキャラメルというお菓子は、どこで買えるのかと言う問い合わせが出始めていたのだ。
「あの、学校で出ているキャラメルと言う、お菓子はどこに行ったら買えるのでしょう?」
「申し訳ございません……あれは学校でしか配布されていない物で、非売品なのです」
「そ、そうなのですか?」
「はい……国王様が考えたもので、子供達の為だけの楽しみとして考えられたものなのですよ」
「では、販売はされないというのですか?」
「国王様が言うには、子供の為のおやつであり、このおやつは商売にはしたくない言うことです」
Freedom店の従業員が、そう説明したら残念そうに帰っていく客が、日に日に多くなっていたのだった。
「ご主人様、よろしいでしょうか?」
「ユエティーどうした?」
「ご主人様、学校で配布しているキャラメルなのですが……」
「なんだ?Freedom店に問い合わせが殺到しているのか?」
「どうしてそれを?」
「そりゃそうのようになるのは想定内だからな」
「では、なんでFreedom店で販売なさらないのですか?」
「あれは、子供達のお菓子だからだよ。要は、学校に通っている時だけの思い出の味にしたいと考えているんだよ」
「どういうことなのですか」
「今、子供達の教育で今ある常識を変えようとしているのは、会議で分かっているな?」
「それはもう……」
「この事業は、とても時間がかかる……今、学校で通っている子供達が親になった時、子供と会話するときに思い出の味にしたいんだよ」
「思い出の味ですか?」
「ああ、今の世の中子供との会話は、日銭がどれぐらい稼げたという事ばかりで生活に必死だ。それが普通だと思っているからな」
「それはそうですが……」
「この国の人間の生活は、いずれ余裕が出てくるはずだ。それは、20年30年後に出てくるはずだ。その時、子供達は働かなくてよくなるはずだ」
「まさか!子供達が親の手伝いをしなくてもよくなるなんて……」
「そうじゃない。手伝いはしているが、一食の為に必死で家計を支えなくてもいいという事だ。手伝いはしていると思うぞ」
「まさか!」
「子供達の仕事は、学校での勉学と言う常識に代わるはずだ」
「……」
「信じられないか?」
「えぇ……」
「その時、学校に通っていたころの味がキャラメルと言うお菓子にしたいんだよ」
「その理由はなんですか?」
「子供達の、学校での会話をちゃんとして欲しいからだよ。親になった子供達は、自分も学校で楽しかった思い出に浸れるようにな」
「それってどういう効果があるのでしょうか?」
「今は俺にもわからんが、未来の子供達には必要だと思うよ。俺も父さんとの会話は少なかったが、父さんや母さんに話を聞いてもらった日は楽しかったからな」
「今は、そういう会話が必要と言う事でしょうか?」
「俺はそう思っているよ。学校であった楽しい事やどんな給食がでたとか、何でもない会話がな」
「わ、分かりました……」
「店に問い合わせが来たら、対応をしてやってくれ。面倒をかけるがよろしく頼むぞ」
「わかりました」
「もし、このまま増え続けて、対応できない様になったらまた報告してくれ」
「はい……」
ユエティーは、ケンジの考えている事が理解できなかった。国民が求めているのだから、売り物にしたらいいと思うのだが、ケンジは頑なに売らないというのだ。
しかし、ケンジがそのように決定をするのだから、指示に従うしかなかったのだ。
子供達のおやつは、物凄く定評で日に日に増えて行き、子供達は宝箱に入れてコレクションしていったのだ。
子供達の中には、お目当てのフィギュアやアクセサリーが出ない子供が出てきたのだった。
「くうぅ……また、オークが当たった。これで3体目だ……」
「俺なんかゴブリンだぞ……」
その一方で、鳳凰騎士団が当たった子供達も出てくるのである。そうなるとどうなるかと言うと、ダブったフィギュアやアクセサリーの交換である。
おもちゃを使った交換は、同じ価値にしてトレードが開始され、商売の基本の勉強になっていった。分からなければ、子供達は先生を仲介役にして相談するのである。
この行動には、教師達も驚いたのだった。子供達は、自分で鳳凰騎士団のフィギュアが欲しければ、当たるのを待つのではなく、かっこいい魔物のフィギュアを3体と交換をしてくれと交渉するのである。
ある子供は、キャラメルを全部あげるから、欲しいフィギュアと交換し満足していたりしていた。その中でも、毎週新しいフィギュアが出る子供もいて、集めるという行為コレクションの楽しさを見出す子供達で溢れたのだった。
その中で、男の子で女の子用の玩具のアクセサリーを欲しがる男の子や、反対に男の子用のおもちゃを欲しがる女の子も出てきたのだ。
「先生!僕、アクセサリーの玩具が欲しいけど、こっちを貰ってもいいかな?」
「え?なんで?ヨハン君は男の子でしょ?」
「うん……でも、こっちが欲しいんだ」
教師は、悩んだ。男の子は男の子用にと決められていたからだ。そのように与えてくれと言われていた為、困ってしまったのだった。
すると、他の男の子達からこんな意見が出たのである。
「先生!ヨハンは将来、父親と一緒に細工士になりたいんだよ。だから、女の子用の玩具だけど、アクセサリー欲しいんだと思うぜ」
「ヨハン君そうなの?」
「うん……この玩具ってデザインが凄い綺麗なんだ。うちでは見たことが無くて……」
教師はヨハンの説明を聞いて驚いたのだった。7歳8歳の子供がそんな事言い出すからである。しかし、お菓子の数はピッタリであり、女の子用をヨハンに与えると、一つ足りなくなるからである。
「ヨハン君。だったらあたしと交換してよ」
「いいの?」
「うん。あたしも男の子用の方がいいんだ。今まで言えなかったけど、本当はこっちが欲しかったんだ」
「フィリナちゃんありがとう!」
ヨハンは、フィリナにお礼を言い教師はホッとしたのだった。この事はすぐにケンジに報告書としてあげられた。
そして、ケンジはそのことに気づけなくてすぐさま、一クラスに多めに3つづつ多めに配布したのである。
これには、子供達も大喜びで余ったおやつは、交代制でその子供達の順番で一つ多く貰えることが決まったのだった。
その間にも、キャラメルの噂は拡がっていた。どんな食べ物か子供達に聞いても、甘くておいしく口の中でとろけるとしか分からなかったので、他の店が作る事が出来なかったのだった。
自分の子供達に、一粒だけでも持って帰ってきてくれと言っても、子供達にとっては1週間に一度の楽しみであり親にあげたくはなかったからだ。
その為、世間では手に入らないお菓子と言う、奇妙な状況が起こっていた。
応援ありがとうございます!
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