文字の大きさ
大
中
小
338 / 551
序章 世界の果て放浪編
真、異世界に立つ
※こちらは「月が導く異世界道中」の書籍化に伴いダイジェスト化した部分になります。
********************************************
僕は、深澄真。
地元の公立高、中津原高校に通う高校二年。
部活は弓道部、特技弓道。
成績はほどほど、運動神経人並み。
容姿、多分可もなく不可もなく。
趣味はややオタク、ただし結構広く浅く何でも手を出す。
不変なのは弓と時代劇。
……人生の結構な部分、弓が入ってるな、こう並べてみると。
でも、一応普通の範疇にいるプロフィールだろうと思う。
こんな場所にいるのは絶対似合ってない。
見渡す限りの赤茶けた荒野。
ここは授業で聞いた砂漠みたいな環境だ。
昼はとにかく暑くなり、夜は急激に冷え込むって奴。
もう、ここに来て二日目の夜を迎えてる。
何も食べてないけど、飢えの方は思っていたよりも来ない。
異世界では超人みたいな身体能力が出せるとか聞いていたからその影響かもしれない。
……あぁ、何で僕はこんな所にいるんだろうなあ。
答え、神様の悪戯の結果です。
わかってるよ、わかってるんだよ。
何度自問自答したかわからない。
何事もない一日の終わりだった筈のあの日。
三貴子の一人でもある月読尊に呼ばれて、あのキチガイじみた自称女神に拉致されてここにいる。
前者は優しい神様って印象で、後者は神様と認めたくない程無茶苦茶な奴って印象だった。
で後者の女神、いや虫以下の存在のあいつに人どころか動物の気配さえ感じない不毛の荒野に放り出された。
本当に、訳がわからない。
こんな身一つに近い状態で丸一日歩いても景色があまり変わらないようなだだっ広い荒野に捨てられる。
これって、拉致というか殺人に近い気がするな。
ダメだ、あいつの事を考えているとそれだけで気持ちが滅入る。
もう辺りは真っ暗だ。
星明りはあるけど、とても歩けたもんじゃない。
電気の灯りに慣れた身には、恐さを覚える暗さだから。
かといって……眠るのも無理だ。
うとうとはする、というかしてしまうんだけど深く寝入ってしまって危険なナニカが近付いてこないとも限らない。
僕に見えないから何もいないって訳ではないだろうしなぁ。
いっそ、言葉さえ通じてくれるのならあの女神がいう通りオークやゴブリンの類とでも遭遇したいと思い始めてもいる。
ぐっすり寝られる場所、ただそれだけの場所がこれほど大事なものだったなんて思いもしなかった。
明日。
明日こそ。
何か変化がありますように。
出来るなら、会話なんて出来ますように。
見た目にはもう拘らないので食べ物になる物も見つけたいです。
はあ、早く夜が明けないかなあ。
部屋でネットの動画を見て明かす夜とは比べ物にならない長い夜を恨みながら。
異世界生活二日目、初日同様何事もなく。
僕は岩陰で膝を丸めながらひたすら朝を待った。
********************************************
僕は、深澄真。
地元の公立高、中津原高校に通う高校二年。
部活は弓道部、特技弓道。
成績はほどほど、運動神経人並み。
容姿、多分可もなく不可もなく。
趣味はややオタク、ただし結構広く浅く何でも手を出す。
不変なのは弓と時代劇。
……人生の結構な部分、弓が入ってるな、こう並べてみると。
でも、一応普通の範疇にいるプロフィールだろうと思う。
こんな場所にいるのは絶対似合ってない。
見渡す限りの赤茶けた荒野。
ここは授業で聞いた砂漠みたいな環境だ。
昼はとにかく暑くなり、夜は急激に冷え込むって奴。
もう、ここに来て二日目の夜を迎えてる。
何も食べてないけど、飢えの方は思っていたよりも来ない。
異世界では超人みたいな身体能力が出せるとか聞いていたからその影響かもしれない。
……あぁ、何で僕はこんな所にいるんだろうなあ。
答え、神様の悪戯の結果です。
わかってるよ、わかってるんだよ。
何度自問自答したかわからない。
何事もない一日の終わりだった筈のあの日。
三貴子の一人でもある月読尊に呼ばれて、あのキチガイじみた自称女神に拉致されてここにいる。
前者は優しい神様って印象で、後者は神様と認めたくない程無茶苦茶な奴って印象だった。
で後者の女神、いや虫以下の存在のあいつに人どころか動物の気配さえ感じない不毛の荒野に放り出された。
本当に、訳がわからない。
こんな身一つに近い状態で丸一日歩いても景色があまり変わらないようなだだっ広い荒野に捨てられる。
これって、拉致というか殺人に近い気がするな。
ダメだ、あいつの事を考えているとそれだけで気持ちが滅入る。
もう辺りは真っ暗だ。
星明りはあるけど、とても歩けたもんじゃない。
電気の灯りに慣れた身には、恐さを覚える暗さだから。
かといって……眠るのも無理だ。
うとうとはする、というかしてしまうんだけど深く寝入ってしまって危険なナニカが近付いてこないとも限らない。
僕に見えないから何もいないって訳ではないだろうしなぁ。
いっそ、言葉さえ通じてくれるのならあの女神がいう通りオークやゴブリンの類とでも遭遇したいと思い始めてもいる。
ぐっすり寝られる場所、ただそれだけの場所がこれほど大事なものだったなんて思いもしなかった。
明日。
明日こそ。
何か変化がありますように。
出来るなら、会話なんて出来ますように。
見た目にはもう拘らないので食べ物になる物も見つけたいです。
はあ、早く夜が明けないかなあ。
部屋でネットの動画を見て明かす夜とは比べ物にならない長い夜を恨みながら。
異世界生活二日目、初日同様何事もなく。
僕は岩陰で膝を丸めながらひたすら朝を待った。
感想 3,666
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
「お姉様の刺繍は素人ね」と笑った義妹の婚礼衣装——裏地を見た女官十二人が、一斉に針を置いた
歩人(あゆと)「お姉様の刺繍は、素人の手習いに見えますわね」――王太子妃となる異母妹アデリーナは、王宮女官たちの前で姉ローゼを笑った。翌週の婚礼の朝。式典装の最終確認のため、十二人の女官が衣装の裏地を検めた瞬間――一人、また一人と、針を置いた。裏地に縫い込まれていたのは、女官たちが十二年間ずっと探していた一筆の銀糸。即位式の絹外套、二人の王女の婚礼ドレス、亡き王太后の弔意の喪服。王家儀礼衣装のすべての裏地に、同じ手で、同じ糸で、同じ銀の花が縫い込まれていた。「アデリーナ様、これは――あなた様の手では、ございません」縫い手は、ずっと一人だった。それを十二年間、誰の名でも呼べなかっただけのこと。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさんパーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。