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北の砦の少年兵アトワ

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「ハイネ······ハイネ、ハイネ······ハイネ、ハイネハイネ······」

うわ言のように呟きながら、俺はひたすらに歩き続けた。

身体中ボロボロで、足なんて靴を履いてないから血まみれで。

でも、そんなことどうでもいいくらい心が悲鳴をあげていた。

三回目。
三度目の正直だった。

ハイネを、今度こそ幸せにしたかった。

自己満足だったのかもしれない。
ハイネは幸せじゃなかったのかもしれない。
もっと側にいればよかった。
少年兵になんかなるんじゃなかった。

気が緩んでいたんだ。
そばにいないと、守れないくせに。

ほんの少し、夢を見たのだ。

友人が、家族が、俺とハイネを囲むような、そんな夢。

欲を出して、手を伸ばして、けれどもハイネが零れ落ちた。

ハイネ、ハイネ、大切な、愛しいハイネ。

可愛い可愛い、俺の、俺だけのハイネ。

ハイネに手を伸ばしたことこそ、間違いだったのかもしれない。

済まないりお。申し訳ございませんそふぃーりあさま。ごめんねはいね。

こんな俺で、本当に。
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