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「しかし、」
「やめろと言っている。犯罪者でもないのに尋問してどうする」
「失礼いたしました」
ディーンが控えると、イリューシアに向き直り、
「済まないリーア、けど教えてくれ何故君は_「ですから存じ上げません、と言っているでしょう?手をお放し下さいませ」_!_」
ショックを受けた顔になるエドワードにイリューシアは意識を向けない。
「団長はこの国のクロイツ学園の卒業生ですよね?アルスリーア嬢ともそちらで知り合われたと聞きましたが」
イリューシア本人に訊けなそうなのでディーンは矛先を変えた。
「ああそうだ」
「団長は卒業と同時に出征され、当時六年生だったアルスリーア嬢は学園に残り、本来なら十八で卒業されるところを十五歳でスキップ卒業されていた」
「ああ」
エドワード達はまず学園に行き、当時のアルスリーアの交友関係などを調べたがアルスリーアは学園で交友するというより、ひたすら勉学に励んで親しい友人なども作らなかったようで、出奔するにあたり誰かを頼った形跡はなかった。
「ハワードどのはイリューシア嬢が大学を出る前どこで過ごされていたかご存知ですか?」
「いえ、家庭教師選定の際に身元さえ怪しくなければそこまでは__」
ハワードは言葉を濁した。
学力が高く、教養も備わった年頃の令嬢や婦人が職を求めるというのは大抵が没落した貴族のご令嬢か、何かの事情で家を出された場合が殆どなのでその辺りの詮索はしないのが暗黙のマナーとなっているからだ。
「……紹介状を持っていたと言いましたよね?」
(__しまった!)
初めてイリューシアが僅かに反応したことで、ディーンは確信する。
「紹介人の名前は?」
「エルドア子爵でした。ご本人にも確認を取りましたが、間違いないとのことでした」
イリューシア……いや、アルスリーアは息を吐いた。
(紹介状、違う名前で用意してもらえばよかった)
(__て事は娘の居場所にばっちりがっつり心当たりがあったのに知らない振りしやがったなあの子爵)
「やっぱり、リーア__僕のこと怒ってる?」
「私がサインすべき書類はどこです?」
「え?」
「その為にわざわざいらしたのでしょう、サインならしますからとっとと帰って下さいませ」
「ちょ、ま、リーア何なの書類って?」
「離婚届のサインを求めにいらしたのでしょう、八年前は私が知らないうちに成立してたのですから離婚にも特に必要ないだろうと思ってましたのにこんな騒ぎにしてまでサインを書かせにくると思いませんでしたわ」
「ちょ、リーア?」
「そういえばあの時は成人前でしたが今は違いますものねその辺りが障害に?申し訳ありません気がつきませんでしたわ?」
挑戦的に言い放つイリューシアに、ディーンは眉根を寄せて溜息を吐いた。
(悪い予測が当たった)
それも、最悪よりさらに悪い方向で。
「やめろと言っている。犯罪者でもないのに尋問してどうする」
「失礼いたしました」
ディーンが控えると、イリューシアに向き直り、
「済まないリーア、けど教えてくれ何故君は_「ですから存じ上げません、と言っているでしょう?手をお放し下さいませ」_!_」
ショックを受けた顔になるエドワードにイリューシアは意識を向けない。
「団長はこの国のクロイツ学園の卒業生ですよね?アルスリーア嬢ともそちらで知り合われたと聞きましたが」
イリューシア本人に訊けなそうなのでディーンは矛先を変えた。
「ああそうだ」
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「ああ」
エドワード達はまず学園に行き、当時のアルスリーアの交友関係などを調べたがアルスリーアは学園で交友するというより、ひたすら勉学に励んで親しい友人なども作らなかったようで、出奔するにあたり誰かを頼った形跡はなかった。
「ハワードどのはイリューシア嬢が大学を出る前どこで過ごされていたかご存知ですか?」
「いえ、家庭教師選定の際に身元さえ怪しくなければそこまでは__」
ハワードは言葉を濁した。
学力が高く、教養も備わった年頃の令嬢や婦人が職を求めるというのは大抵が没落した貴族のご令嬢か、何かの事情で家を出された場合が殆どなのでその辺りの詮索はしないのが暗黙のマナーとなっているからだ。
「……紹介状を持っていたと言いましたよね?」
(__しまった!)
初めてイリューシアが僅かに反応したことで、ディーンは確信する。
「紹介人の名前は?」
「エルドア子爵でした。ご本人にも確認を取りましたが、間違いないとのことでした」
イリューシア……いや、アルスリーアは息を吐いた。
(紹介状、違う名前で用意してもらえばよかった)
(__て事は娘の居場所にばっちりがっつり心当たりがあったのに知らない振りしやがったなあの子爵)
「やっぱり、リーア__僕のこと怒ってる?」
「私がサインすべき書類はどこです?」
「え?」
「その為にわざわざいらしたのでしょう、サインならしますからとっとと帰って下さいませ」
「ちょ、ま、リーア何なの書類って?」
「離婚届のサインを求めにいらしたのでしょう、八年前は私が知らないうちに成立してたのですから離婚にも特に必要ないだろうと思ってましたのにこんな騒ぎにしてまでサインを書かせにくると思いませんでしたわ」
「ちょ、リーア?」
「そういえばあの時は成人前でしたが今は違いますものねその辺りが障害に?申し訳ありません気がつきませんでしたわ?」
挑戦的に言い放つイリューシアに、ディーンは眉根を寄せて溜息を吐いた。
(悪い予測が当たった)
それも、最悪よりさらに悪い方向で。
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