〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?

詩海猫(8/29書籍発売)

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補足

ジェシカ・セルジオ侯爵夫人
サーシャ・ハイネン公爵夫人
二人ともクロイツ学園を王妃と一緒にスキップ卒業しており、王妃のお茶会で紹介されたアルスリーアを“可愛い後輩“とみなしています。



*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*

「今は亡きミレスナの王妃さまといえば恋多き女性として有名でしたものねぇ」
そう楚々と言い放ったのはセルジオ侯爵夫人、ジェシカ様。

「そうでしたわねぇ、当時学園でも有名でしたわ。ミレスナに嫁がれる前__当時はカルメン男爵家のご令嬢ヘレネー様だったかしら?有望な家門の令息はもちろん、身分が低くとも見目の整った顔だちの異性とは満遍なく仲良くされていたとか?」
「もちろん自分には婚約者がいるからときっぱりお断りした方もいたのですけれど」
「何かしらやんちゃなことをしでかしてみたい年頃というものがあるのでしょうねぇ?殿方というものは」
「ヘレネー様は奔放なお方でしたし……」
「もちろん断りきれないのも情けないお話ではあるのですけれど」
「ひと言交わしただけで“お友達になった“と勘違いされるところもおありでしたし__あら?それって……」
(全然潜んでいないが)お二人を筆頭とした貴族夫人らのヒソヒソ話は確認するようにレベッカに視線を向ける。

「若くして亡くなられたとのことですけれど、」
「__そっくりですわねぇ」
おっとりと言っているが何か底冷えのする寒さを感じたのは私だけだろうか。
なんだろう、お二人の息が合いすぎてて怖い。

サーシャ様もジェシカ様も、お茶会の時は朗らかな方だったのに。
今は氷の貴婦人のようだ。

そこへ、
「……に……」
とレベッカの口が呟きを洩らした。

「言いたいことがあるならはっきりおっしゃい」
サーシャ様がそう促すと、
「お母様のことなんて何も知らないくせに勝手なことを言わないで!」
と叫んだ。

子供のように。

「それはお互い様でしょう?貴女だって自分が生まれる前のことなんて人伝てにしか知らないのではなくて?」
「……っ、」
「もちろん私たちだって結婚後のことは知らないから、今の貴女は当時のお母様にそっくりだと言っただけよ?何を怒っているのかしら?」
貴婦人の手本のような二人にそう言われ、おまけに今日の招待客のめぼしい夫人(主に後半に挨拶した貴族)は皆お二人に賛同とばかりに側に控えているから、その迫力たるや凄まじい。

(デビュタントの時の令嬢がたなんてメじゃないな……)
アルスリーアはエドワードの背後でひたすら感心していた。

__けど、どう収集つける気だろう?

アルスリーアは扇子越しに、ちらりと王妃に視線を走らせた。





















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