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13、アタイだって女よ!面白いって武器くらい持てるだわさ!
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てっきり恋の相談と見せかけて全く違う着地点。
歳は、合宿免許ということは18歳以上か 。
零児はメールの内容からラジオネーム 三年連続雨天中止 について推測する。
それから零児はラジオネーム 三年連続雨天中止の名を様々なラジオ番組で聴くことになる。
分散するように拡散するように、彼はいきなり現れた。
地上波声優ラジオ、若者向け深夜ラジオ、インターネットラジオ、ポッドキャスト。
零児が聴いているラジオ番組に、狙い澄ましたように現れる。
そして読まれるメールはどれもそれなりに面白い。
ふつおた、ネタコーナー、曲のリクエスト、今週のCM前の一言、お別れの挨拶。
なんでも、どこへでも現れた。
一度など、自分が住んでいる県のローカルテレビの朝の情報番組にも現れた。
誰なんだ。どんなやつなんだ。
偶然にも自分が使っていたペンネームと同じラジオネームのネタ職人。
いや、偶然なのか。
夕暮れの街にそこかしこに出来る影から出てくるように、奴は現れ、零児の笑いをかっさらっていく。
一体誰なのか。
そして、零児はとある番組のふつおたから三年連続雨天中止の手がかりを掴んだ。
神蔵総合病院 庭付き一戸建てレイディオ
パーソナリティ 遠緒野 青羽
第96回 放送分 (野球中継延長のため、60分繰り下げて放送)
ふつおたのコーナーより抜粋
遠緒野「えーと、ラジオネーム 三年連続雨天中止くん 『私は献結をやっているのですが、』あ、これケンケツは血の方じゃなくて結ぶ方のやつね。『休憩所のDVDラックに遠緒野さんのライブDVDがありました』えー?すごーい。『見たらテンションがあがってしまい、思わずPPPHを小さめにやったら、看護士さんに血ぃ抜いた方の手振り回したらダメ!と怒られました』」
作家「(笑)」
遠緒野「『聞いたらそのDVDはかつてのルーム利用者さんの寄贈品のようで、十代の子はたぶん好きな子がいるからと戴いたそうです』へえー。あざーっす(笑)」
作家「(笑)」
遠緒野「『私もなにか寄贈したいのですが、いいDVDありますか?』それはもうねえ、先月出た私の最新ミュージッククリップを(笑)もしくは全巻セットで。あれ、でも、歳見ると十代?お財布キツイか(笑)」
十代、だと遠緒野青羽は言っていた。
献結は長くても思春期が終わる頃、18歳~19歳で終わる。体力とその他が落ち始め、血液が無理やりにでも落ち着いてくるからだ。
そして、三年連続雨天中止の一人称が私になっていた。
「もしかして」
零児は自室のパソコンチェアーの背もたれに寄りかかる。その脳に、ある考えが浮かぶ。
―女、なのだろうか。
そもそも零児が最初に聴いた、読まれていたメールで自分と言っていたが、男とは限らない。
遠緒野青羽は女性ファンも多い。
ライブにも多くの女の子ちゃんファンが来ると聞く。
三年連続雨天中止は女で、女が恋愛対象で。
そんな人はひょっとしたら大型バイクに乗るのかもしれない。合宿免許で彼女を探すのかもしれない。
しかし遠緒野青羽は、三年連続雨天中止くんと呼んでいた。名前だけを見て、男性リスナーだと思ったのだろうか。
何かが引っかかる。
だが自分が立てた仮説を、零児はある一点で否定する。
そもそも女があんなに面白いネタを書けるのか。
自分と同等、いや自分よりもごくまれに面白いネタを。
零児はパソコンを開くと、神蔵総合病院の番組サイトを検索した。サイトには放送時間、メールを募集しているコーナー、パーソナリティ紹介などがあった。
メールの投稿フォームには、性別や年齢を選ぶ欄があった。採用された人には特製ステッカーをプレゼント、と書いてある。
零児は全く欲しいとは思わない。
ふと思い立って、初めて三年連続雨天中止の名前を聞いた番組サイトも検索する。
番組開始当初に撮ったらしい、パーソナリティ二人のぎこちない笑顔の画像がトップページにあり、放送時間、今週の収録風景の様子と書かれた画像ページなどの項目があった。
トップページのぎこちなさとは裏腹に、収録風景の様子では、毎週示し合わせたように面白いポーズを取るパーソナリティ二人とアシスタントの女の子が写っている。
メールはこちらから、という項目には、『メールが採用された方にはさっちん特製シューズレースプレゼント!』と書いてあった。
零児は他にも三年連続雨天中止がメールを読まれていた番組を調べる。
そのどれもが、メールが採用されたらなにかしらのノベルティグッズが貰えた。
献結、女の子、ラジオのノベルティグッズ。
零児の頭にふと、ある女の子が浮かびあがった。
赤いアンダーリムの眼鏡を掛け、ピンクがかった茶髪の女の子が。
歳は、合宿免許ということは18歳以上か 。
零児はメールの内容からラジオネーム 三年連続雨天中止 について推測する。
それから零児はラジオネーム 三年連続雨天中止の名を様々なラジオ番組で聴くことになる。
分散するように拡散するように、彼はいきなり現れた。
地上波声優ラジオ、若者向け深夜ラジオ、インターネットラジオ、ポッドキャスト。
零児が聴いているラジオ番組に、狙い澄ましたように現れる。
そして読まれるメールはどれもそれなりに面白い。
ふつおた、ネタコーナー、曲のリクエスト、今週のCM前の一言、お別れの挨拶。
なんでも、どこへでも現れた。
一度など、自分が住んでいる県のローカルテレビの朝の情報番組にも現れた。
誰なんだ。どんなやつなんだ。
偶然にも自分が使っていたペンネームと同じラジオネームのネタ職人。
いや、偶然なのか。
夕暮れの街にそこかしこに出来る影から出てくるように、奴は現れ、零児の笑いをかっさらっていく。
一体誰なのか。
そして、零児はとある番組のふつおたから三年連続雨天中止の手がかりを掴んだ。
神蔵総合病院 庭付き一戸建てレイディオ
パーソナリティ 遠緒野 青羽
第96回 放送分 (野球中継延長のため、60分繰り下げて放送)
ふつおたのコーナーより抜粋
遠緒野「えーと、ラジオネーム 三年連続雨天中止くん 『私は献結をやっているのですが、』あ、これケンケツは血の方じゃなくて結ぶ方のやつね。『休憩所のDVDラックに遠緒野さんのライブDVDがありました』えー?すごーい。『見たらテンションがあがってしまい、思わずPPPHを小さめにやったら、看護士さんに血ぃ抜いた方の手振り回したらダメ!と怒られました』」
作家「(笑)」
遠緒野「『聞いたらそのDVDはかつてのルーム利用者さんの寄贈品のようで、十代の子はたぶん好きな子がいるからと戴いたそうです』へえー。あざーっす(笑)」
作家「(笑)」
遠緒野「『私もなにか寄贈したいのですが、いいDVDありますか?』それはもうねえ、先月出た私の最新ミュージッククリップを(笑)もしくは全巻セットで。あれ、でも、歳見ると十代?お財布キツイか(笑)」
十代、だと遠緒野青羽は言っていた。
献結は長くても思春期が終わる頃、18歳~19歳で終わる。体力とその他が落ち始め、血液が無理やりにでも落ち着いてくるからだ。
そして、三年連続雨天中止の一人称が私になっていた。
「もしかして」
零児は自室のパソコンチェアーの背もたれに寄りかかる。その脳に、ある考えが浮かぶ。
―女、なのだろうか。
そもそも零児が最初に聴いた、読まれていたメールで自分と言っていたが、男とは限らない。
遠緒野青羽は女性ファンも多い。
ライブにも多くの女の子ちゃんファンが来ると聞く。
三年連続雨天中止は女で、女が恋愛対象で。
そんな人はひょっとしたら大型バイクに乗るのかもしれない。合宿免許で彼女を探すのかもしれない。
しかし遠緒野青羽は、三年連続雨天中止くんと呼んでいた。名前だけを見て、男性リスナーだと思ったのだろうか。
何かが引っかかる。
だが自分が立てた仮説を、零児はある一点で否定する。
そもそも女があんなに面白いネタを書けるのか。
自分と同等、いや自分よりもごくまれに面白いネタを。
零児はパソコンを開くと、神蔵総合病院の番組サイトを検索した。サイトには放送時間、メールを募集しているコーナー、パーソナリティ紹介などがあった。
メールの投稿フォームには、性別や年齢を選ぶ欄があった。採用された人には特製ステッカーをプレゼント、と書いてある。
零児は全く欲しいとは思わない。
ふと思い立って、初めて三年連続雨天中止の名前を聞いた番組サイトも検索する。
番組開始当初に撮ったらしい、パーソナリティ二人のぎこちない笑顔の画像がトップページにあり、放送時間、今週の収録風景の様子と書かれた画像ページなどの項目があった。
トップページのぎこちなさとは裏腹に、収録風景の様子では、毎週示し合わせたように面白いポーズを取るパーソナリティ二人とアシスタントの女の子が写っている。
メールはこちらから、という項目には、『メールが採用された方にはさっちん特製シューズレースプレゼント!』と書いてあった。
零児は他にも三年連続雨天中止がメールを読まれていた番組を調べる。
そのどれもが、メールが採用されたらなにかしらのノベルティグッズが貰えた。
献結、女の子、ラジオのノベルティグッズ。
零児の頭にふと、ある女の子が浮かびあがった。
赤いアンダーリムの眼鏡を掛け、ピンクがかった茶髪の女の子が。
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