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本編
25.襲来っ
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一通り見終わって二人でぷらぷら歩く。途中でノーラ様とマルド様と合流して生徒会室へ向かっていた。
「あたしのシエル様、どこだろーっ」
遠くからとても大きな声が聞こえる。この声、聞き覚えがある……ヒロインことマリア様?
「ノーラ、マルド。ルシアを連れて行ってくれる?」
突然の鋭い声色にびっくりする。ノーラ様が背中をさすってくれて「大丈夫。行きましょう」ってわたしを彼女がくる方向とは反対方向へ連れて行ってくれた。
彼女はシエル様を見つけたのか大きな声で話をしているみたい。何をいっているのかはわからないけれど、周りの生徒のひそひそ声から猫撫で声でシエル様に擦り寄っているらしいことはわかった。
普段とは違う道から生徒会室へ向かう。こんな道もあったんだぁ。初めて知った。いつもは誰かが手を繋いでくれていて、道がわからなくても困らないもの……
実はあまり建物の配置を覚えていないことは内緒。
ソファに座りお茶を啜っていると、ノーラ様が説明してくれた。
「シュトール男爵令嬢に、ルシアとシエルが一緒にいるところを今見られるとまずいのよ。ごめんなさいね。説明できなくて」
そういえば、この間マリア様の家に行った時に思い出した記憶については誰にも話していないはず。どうして……
「彼女の態度とあなたの反応、薬の種類だけで容易に想像できるわ。彼女、おそらくシエルのことが好きなんでしょう。だから、今彼とあなたが一緒にいるところを見られると、彼女を刺激しかねない。あんな薬を使うんだもの。警戒しておいて損はないと思うの」
そっか。その情報だけでそこまでわかるなんてやっぱりノーラ様は頭がキレるのね。素敵だわっ。ノーラ様みたいに賢くなりたい……
「そうですね。ありがとうございます」
そこでわたし達はシエル様が戻ってくるまでの間、他愛もない話で盛り上がっていた。と言うかわたしは密かに気になっていたノーラ様とマルド様を観察していたんだけど。
やっぱり二人の関係が気になる……
ノーラ様によると、ノーラ様とマルド様は幼なじみだそうで。と言うかここにくるメンバーはみんな幼馴染らしい。小さい頃から一緒にいるから仲がいいんだとか。
しかしわたしの勘は言っている。きっとマルド様とノーラ様はただならぬ関係だと。しっかり者のノーラ様を見守るマルド様。ただの友達とは言い切れない雰囲気だ。
思い切って聞いてみようかと思った時、ちょうどシエル様が帰ってきた。ちょっと服が乱れていて今まで見たことないくらいげっそりしている。
いつもはキラキラ王子様なのに珍しい。
ふらふら歩いてきた彼はどさっとソファに座ってわたしを上に乗せる。そのままぎゅっと抱きついてきた。
「珍しくお疲れですね。大丈夫……?」
「んっ。今充電してる」
わたしは電気かっ。彼女と何かあったのだろうか。
「あの女、頭沸いてるんじゃないか。意味不明すぎる」
……シエル様にあの女と呼ばせるなんて、マリア様一体何をしでかしたのだろうか。こんなにお口の悪いシエル様初めてかも。
「「……お疲れ様」」
ノーラ様とマルド様が憐れむような視線を向ける。
「どうしようか……あれで捕縛するしかないか」
「そうね、もう覚悟を決めるしかないわ。じゃないと本当にどうなるかわからないわね」
「それ、賛成だな。ルシアちゃんの身の安全も考えるとそうするしかないんじゃないかな」
また三人でよくわからない話をしている。捕縛とかわたしの身の安全とか怖い単語が飛び交っているけれど……
話し合いが終わったのか三人してため息をついて、その日は解散となった。
それから文化祭はというと、評価について、売上ではなくお客様からの投票によって決まるらしく、なぜか我がクラスが一位となっていた。
きっと王子様の力だろう……
商品として高級料理店のお食事無料券がクラス全員に配られて、みんな喜んでいた。
自室に戻り、ため息をつく。なんだかとっても楽しかったけど、最後は色々あった。実際に被害に遭ったのはシエル様だったけど。
浴槽に浸かり、ふぅとため息をつく。ふと自分の体を見ると左太ももに紋様が見えた。
あれ……紋様がある。
あ、そうか。ノーラ様の薬は匂いを調節するだけであって、紋様を消す効果はなかったんだ。
じっと観察しているうちにあることに気づく。そういえば、少し大きくなってる気がする。と言うか少しどころかかなり?
初めて見た時は黒子くらいだったのに今は人差し指くらい。
え、これって大きくなるものだっけ⁈
それにこの紋様……確かシエル様のハンカチに刺した刺繍にそっくり……
よくあるデザインじゃなかったような気がするけど……
考え込んでしまってのぼせそうになり慌ててお風呂から出た。勢いよく出てきたわたしを見てローラがびっくりしてしまっていた。
ごめんなさい。
「あたしのシエル様、どこだろーっ」
遠くからとても大きな声が聞こえる。この声、聞き覚えがある……ヒロインことマリア様?
「ノーラ、マルド。ルシアを連れて行ってくれる?」
突然の鋭い声色にびっくりする。ノーラ様が背中をさすってくれて「大丈夫。行きましょう」ってわたしを彼女がくる方向とは反対方向へ連れて行ってくれた。
彼女はシエル様を見つけたのか大きな声で話をしているみたい。何をいっているのかはわからないけれど、周りの生徒のひそひそ声から猫撫で声でシエル様に擦り寄っているらしいことはわかった。
普段とは違う道から生徒会室へ向かう。こんな道もあったんだぁ。初めて知った。いつもは誰かが手を繋いでくれていて、道がわからなくても困らないもの……
実はあまり建物の配置を覚えていないことは内緒。
ソファに座りお茶を啜っていると、ノーラ様が説明してくれた。
「シュトール男爵令嬢に、ルシアとシエルが一緒にいるところを今見られるとまずいのよ。ごめんなさいね。説明できなくて」
そういえば、この間マリア様の家に行った時に思い出した記憶については誰にも話していないはず。どうして……
「彼女の態度とあなたの反応、薬の種類だけで容易に想像できるわ。彼女、おそらくシエルのことが好きなんでしょう。だから、今彼とあなたが一緒にいるところを見られると、彼女を刺激しかねない。あんな薬を使うんだもの。警戒しておいて損はないと思うの」
そっか。その情報だけでそこまでわかるなんてやっぱりノーラ様は頭がキレるのね。素敵だわっ。ノーラ様みたいに賢くなりたい……
「そうですね。ありがとうございます」
そこでわたし達はシエル様が戻ってくるまでの間、他愛もない話で盛り上がっていた。と言うかわたしは密かに気になっていたノーラ様とマルド様を観察していたんだけど。
やっぱり二人の関係が気になる……
ノーラ様によると、ノーラ様とマルド様は幼なじみだそうで。と言うかここにくるメンバーはみんな幼馴染らしい。小さい頃から一緒にいるから仲がいいんだとか。
しかしわたしの勘は言っている。きっとマルド様とノーラ様はただならぬ関係だと。しっかり者のノーラ様を見守るマルド様。ただの友達とは言い切れない雰囲気だ。
思い切って聞いてみようかと思った時、ちょうどシエル様が帰ってきた。ちょっと服が乱れていて今まで見たことないくらいげっそりしている。
いつもはキラキラ王子様なのに珍しい。
ふらふら歩いてきた彼はどさっとソファに座ってわたしを上に乗せる。そのままぎゅっと抱きついてきた。
「珍しくお疲れですね。大丈夫……?」
「んっ。今充電してる」
わたしは電気かっ。彼女と何かあったのだろうか。
「あの女、頭沸いてるんじゃないか。意味不明すぎる」
……シエル様にあの女と呼ばせるなんて、マリア様一体何をしでかしたのだろうか。こんなにお口の悪いシエル様初めてかも。
「「……お疲れ様」」
ノーラ様とマルド様が憐れむような視線を向ける。
「どうしようか……あれで捕縛するしかないか」
「そうね、もう覚悟を決めるしかないわ。じゃないと本当にどうなるかわからないわね」
「それ、賛成だな。ルシアちゃんの身の安全も考えるとそうするしかないんじゃないかな」
また三人でよくわからない話をしている。捕縛とかわたしの身の安全とか怖い単語が飛び交っているけれど……
話し合いが終わったのか三人してため息をついて、その日は解散となった。
それから文化祭はというと、評価について、売上ではなくお客様からの投票によって決まるらしく、なぜか我がクラスが一位となっていた。
きっと王子様の力だろう……
商品として高級料理店のお食事無料券がクラス全員に配られて、みんな喜んでいた。
自室に戻り、ため息をつく。なんだかとっても楽しかったけど、最後は色々あった。実際に被害に遭ったのはシエル様だったけど。
浴槽に浸かり、ふぅとため息をつく。ふと自分の体を見ると左太ももに紋様が見えた。
あれ……紋様がある。
あ、そうか。ノーラ様の薬は匂いを調節するだけであって、紋様を消す効果はなかったんだ。
じっと観察しているうちにあることに気づく。そういえば、少し大きくなってる気がする。と言うか少しどころかかなり?
初めて見た時は黒子くらいだったのに今は人差し指くらい。
え、これって大きくなるものだっけ⁈
それにこの紋様……確かシエル様のハンカチに刺した刺繍にそっくり……
よくあるデザインじゃなかったような気がするけど……
考え込んでしまってのぼせそうになり慌ててお風呂から出た。勢いよく出てきたわたしを見てローラがびっくりしてしまっていた。
ごめんなさい。
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