善夜家のオメガ

みこと

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「涼君、涼君…」

「佑月。」

フェロモンを溢れさせて涼に縋り付く。かわいくて愛おしくてどうにかなりそうだ。
何とか理性を保ち家に着くと佑月をベッドに降ろそうとした。

「やだっ、やだぁ!涼君、」

「佑月、大丈夫。服を脱ぐだけだよ?」

涼から離れたくなくて泣く佑月を涼が宥める。
それでも涼に抱きついて離れない。
二人は服を着たままベッドに倒れ込んだ。

「佑月、かわいい。大好きだ。」

「涼君、好きっ、好きっ!」

「佑月のこと番いにするからね。」

「うん、して、涼君の番いにして…。」

何度もキスをしながら佑月を宥めて服を脱がした。
佑月の身体中にキスをして甘噛みする。涼も限界だ。むしり取るように服を脱ぐと佑月に覆い被さった。

「はぁはぁ、佑月、佑月…、」

「あ、あぁん、」

「挿れるよ?」

「うん、あ、あぁ、涼君。」

佑月のそこはトロトロに溶けて涼を欲しがっている。涼ははち切れそうになっている自分のものを佑月の入り口に押し当てるとそこはちゅっと吸い付いて涼を中に引き込む。

「あ、あ、ん、涼君っ!」

「はぁ、佑月…すごい。大丈夫?…痛くない?」

「あぁん、中、変だよ…あ、あぁ、」

「変じゃないよ。すごく気持ちいい…はぁ、ヤバい。」

涼がゆるゆる動く。ぐちゅぐちゅ音を立てながら中が吸いついてくる。堪らなく気持ちいい。
佑月は縋るように涼に抱き付いてくる。その小さな身体を抱きしめ返してねっとりと舌を絡ませ吸いながら必死で腰を動かした。

「佑月っ!はぁ、気持ちいいよっ、ん、番いにするからね。」

「あ、あ、涼君、気持ちいい、あぁん、」

うなじを噛むために佑月をくるりとをうつ伏せにしてまたのしかかる。
白く華奢なうなじを見ると全身の血が沸った。
涼の理性が崩壊し一気に奥まで挿れて激しく突く。

「はぁはぁ、佑月っ、佑月っ!イくよ、噛むよっ!」

「うん、うんっ、涼君っ、あぁーーっ、」

うなじに歯を立てながら佑月の中に射精する。ラットになったそれはなかなか終わらない。
佑月も身体をガクガク震わせながら達していた。
その後も二人は本能のまま、狂ったように互いを求め合った。




「佑月、大丈夫?」

「うん…。」

もう真夜中だ。どれくらい愛し合っていたのだろう。
佑月の身体は涼の噛み跡とキスマークだらげた。その中で一番強くついたうなじの噛み跡。
二人は番いになったのだ。

「痛いか?」

ベッドの上で佑月を後ろから抱きしめながらそっとうなじにキスをする。
ふわりと溢れるフェロモン。それだけでまた兆しそうだ。

「大丈夫。涼君、ありがとう。」

「佑月…。俺の方こそありがとう。めちゃくちゃ幸せだ。」

「うん。」

佑月の左手を取り、その薬指に何度もキスをする。まだ指輪はないがもうすぐそこに二人の結婚指輪をはめるのだ。

「身体は平気?その、初めてなのに…手加減できなくて…ごめん。」

「大丈夫だよ。えっと、気持ち良かった…。僕、訳が分からなくなっちゃって…。」

「うん。俺も。めっちゃ気持ち良かった。佑月、大好きだよ。」

涼がぎゅーっと佑月を抱きしめる。
番いになればオメガはそれを解除出来ない。
これで佑月は涼のものになったのだ。
しかし涼としては自分が佑月のものになったような、佑月に身も心も絡め取られたような、不思議な感覚だ。
もう離れたら生きていけない。佑月に捨てられたり嫌われたりしたら死んでしまうだろう。本来なら恐ろしい感覚。しかしそれがものすごい幸せだと感じてしまう。一生佑月という檻から出たくない。佑月に支配されて生きていきたいと思ってしまう。

「佑月、大好きだよ。本当に大好き。」

「うん。僕も大好き。」

『僕も大好き』
そう言われると痺れるほど幸せだ。佑月にずっとそう思ってもらえるように努力し続けよう。
涼はうとうとする佑月のうなじに何度もキスしながら心に誓った。





「あ、涼君、ダメ、死んじゃうっ」

「ん、ん、はぁ、佑月っ、気持ちいい、」

「あぁ、また、またきちゃう~!」

「うっ、俺もっ!」

絡めた手をぎゅっと握り何度目か分からない熱を佑月の中に放った。
佑月に発情期が来てから五日目だ。すでにフェロモンは落ち着いてきた。それなのに涼は佑月とのセックスをやめられない。寝て、食べて、セックスして、を繰り返している。

「ふぅ、佑月。かわいい…。」

「はぁはぁ、涼君。もう、ダメ…」

「ん。」

佑月の中に入ったまま顔中にキスをする。うっすらかいた汗を舐め取るとまた身体が熱くなった。
『キリがないな…。』
涼は自嘲気味に笑うと、佑月の中から出る。そのまま寝転がり佑月を抱きしめた。
来週から学校に行かなければならない。
明日は土曜日だ。番いになったことを二人の両親に報告しよう。
そろそろ佑月を解放して…

「涼君、どうしたの?」

考え込んでいる涼の顔を佑月が覗き込む。
か、かわいいっ!
潤んだ目、紅潮した頬、濡れた唇…。
かわいい過ぎるっ!

「えっ?うわっ!涼君?」

「佑月っ、佑月っ!」

涼はまた佑月に襲いかかり佑月が気を失うまで求めてしまった。



結局、土曜日も家にこもってイチャイチャしていたので日曜日に佑月の家にやって来た。
母の真知子は不在で父の智則に番いになったことを報告した。
智則は涙を浮かべて喜んでくれた。佑月が自分の選んだ相手と結ばれたのだ。
天沢との婚姻は真知子が望んだものだ。しかしそれは佑月を慮ったものではなく、善夜の繁栄と真知子自身の権力のため。
目の前の若い二人は紆余曲折あったようだが、真知子の思惑から外れ、惹かれ合い、自身が選んだ運命同士だ。
幸せそうな二人に心の底から安堵した。
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