幼馴染と義妹、合わされば魔王レベルだと思いませんか? なので、討伐することに決めました

井藤 美樹

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第五章 ピンクお化け入学しました

開戦の狼煙が上がりました

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「アン、シンク様、おはようございます」

 相変わらず、仲が良い二人ですね。あれ? シンク様、困惑気味な表情、何故?

「シア!? ちょっと、認識阻害の魔法掛け続けてるわよ」

 直ぐに疑問は解けました。アンが私の腕を引っ張りながら注意してくれたから。

「えっ!? あっ、解くの忘れてましたわ」

「この頃、多くない?」

 確かに。アンの言う通りですわ。注意しないと。

「今までは意識して掛けてましたけど、今は条件反射のように掛けてますから、つい」

「これも、あの女の弊害へいがいよね」

 アンは呆れながら言います。アンに魔法が効いていないわけではありません。私の声で、判別してくれたのです。さすが、親友ですね。

「でもおかげで、認識阻害の魔法のレベルはかなりアップしましたわ」

「……シア、どこを目指しているのよ」

 溜め息を吐かれました。シンク様は苦笑い。貴族令嬢が伸ばす魔法ではありませんよね。暗部を目指すなら別ですけど。私は冒険者一択です。

「それは、昔から変わりませんわ。それより、今日からでしたよね、生徒会の手伝いは?」

 ジュリタリア様とゴンバー様が抜けた穴の補充として、アンとシンク様が期間限定ですが、生徒会の仕事を手伝うことになりました。仮役員ですね。

 そりゃあそうですよね、アンはジュリタリア様の次に高位貴族の令嬢ですからね。シンク様も隣国の筆頭公爵家の嫡男ですし。

 私もお願いされましたが、やんわりと断りました。だって、本館にはあまり近付きたくないので。でも、どうしても忙しくて手が回らない時だけは、手伝って欲しいと言われましたわ。さすがに、それは断れなくて、渋々ですが、補助の補助要員になりました。

「顔合わせだけど。シアも行くのよね?」

 当然のように、アンに確認されましたよ。

「私は行きませんよ。補助の補助要員なんですから」

 現地集合、現地解散でいいはずです。

「でも、顔合わせは出るべきでしょ。そう思うよね、シンク様?」

 アンって、意外とあざといですわ。シンク様が否定しないとわかっていて、わざわざ意見を求めるなんて。

「そうだな、顔合わせは大事だ。いざって時に、部外者扱いされないですむ」

「そうよね」

 正論かましてきたら、頷くしかありませんよね。それに、ここで駄々をこねても、最終的には引っ張られて行くはめになりますし。

「…………とても不本意だけど、行きますわ」

「シア、偉い偉い。終わったら、カフェに行こ?」

 私より数センチ身長が高いだけなのに、完全に子供扱いですわ。

「……新作ケーキなくなる前に、終わりますよね」

「終わる終わる」

 私もこの時は、そう思ってましたわ。



「…………アン、私、帰りたいのだけど」

 放課後、生徒会のドアを開けた瞬間、そのままきびすを返したくなりました。

「私も」

 生徒会の役員たちは、皆、魚が死んだ目をしてますわ。

 その原因は、正面の生徒会長の席にふんぞり返っている男のせいですね。

 名ばかりの生徒会長、もうすぐ、元王子になる第二王子殿下。名前は呼びたくはないわ。その隣には側近。そして、少し離れた場所に置いてあるソファーには、彼らの最愛が優雅に紅茶を飲んでます。

 ちなみに、最愛の二人は生徒会役員でもなければ、補助を頼まれてもいません。完全な部外者です。

「何をしている? さっさと入らないか」

 まだ第二王子殿下ですからね、命令されれば従うしかありません。

かしこまりました」

「失礼します」

「失礼する」

 私たちはそう告げてから、室内に。

 率直に言って、感じが悪いですわ。完全に私を見る目は、下衆げすなもの。興味がおありのようで、下品さを隠そうともしていません。容姿が絵本に描かれている王子様風ですから、特に醜悪しゅうあくさがきわ立ってますね。

 これが冒険者ギルドなら、教育的指導をしてますね。

 私はグッと我慢し、アリシアお姉様から徹底的に教えられたカーテシーを披露し挨拶をします。周囲から、感嘆の声が上がります。

「お初にお目に掛かります。カシム伯爵家次女、フリーシアと申します」

「ほう……それなりに、教育は受けているようじゃないか」

 想像していたよりも、私は悪目立ちしていたようですね。それとも、お花畑同士、通じ合うものがあるのでしょうか。どちらでも構いませんが。

 通常、上位の者が顔を上げるように言わない限り、カーテシーを解くことはできません。普通なら、この時点で顔を上げるように言うはずです。それを言わないということは、陰湿な嫌がらせでしかありません。

 ほんと、女々めめしい方ですね。この手の嫌がらせって、女性が女性に対しするのが通例なのに。

 カーテシーって、全身の筋肉を使うものなの。無理な姿勢を維持し続けるのは、普通の貴族令嬢なら辛いでしょうね。もって、五分くらいかしら。でも、私は違う。正々堂々、受けてやりますわ。

 表情には出さずに、ニヤリと笑います。

「お褒めに預かり、ありがとうございます」

 さぁ、開戦の狼煙のろしは上がりましたわ!!


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