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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります
犯罪者の娘から悪魔に格上げしました
しおりを挟む王宮に連行するため、偽オルガ義兄様の手が離れた途端、ディア様がいきなり暴れだした。
高位貴族の娘であるディア様のどこに、そんな力があるのか分からない程の暴れっぷり。いや~~凄かったね。
でも、普段から犯罪者の捕縛をしている騎士たちは手慣れたもので、すぐにディア様は体の自由を奪われ運ばれる。
反対に蓑虫さんは、騎士ではなく、直接お父様が自分の手で運ぶことになった。なんでも、陛下に頼んだらしい。
どうするんだろうって思ってたら、お父様はロープの端を持ち、勢いよく蓑虫さんを引っ張った。引きずられる、ポーター公爵。
これがしたかったんだね、お父様……
だから、わざわざ蓑虫にしたのね。私は別になんとも思わなかったけど、騎士たちは皆少し引いていた。でも、何も言わない。空気読んでるね。
まぁ、あっちこっち体をぶつけて、骨が折れてもひびがはいっても大丈夫。痛覚だけ残して直せばいいからね。死ななきゃいいんだから。
というわけで、私たち一行は蓑虫さんの呻き声を聞きながら王宮に向かいました。
謁見の間に到着すると、既に、国王陛下、王妃様、宰相様に、騎士団長様、師団長様、早々たるメンバーが、私たちを手ぐすね引いて待っていた。
お父様が蓑虫さんの猿轡を外す。途端に、怒鳴りだす蓑虫さん。元気だね~~。あっ、またお父様に蹴られてる。少しは学習しようよ。
「……ポーター公爵、その娘ディアよ、我が最愛の息子と、グリード公爵の息子オルガを誘拐し、奴隷化しようとしたな」
先陣を切ったのは、勿論陛下だ。
「奴隷化など、とんでもありません!!!!」
そりゃあ、否定するわね。現行犯で捕まってても。
「ほぉ~~。では、これは何だ?」
見せたのは、黒いブレスレット。
「それは、教会から貰ったものです。私どもはてっきり祝福が施されていると思っていました。まさか、奴隷化とは……。何も知らなかったのです」
祝福ね……
「そうです!! 私は大切な友人であるオルガ様とカイン殿下に、少しでも幸せになってもらおうと思ったのです」
復活したディア様も参戦する。その方が盛り上がるわね。
にしても、少しでも幸せにって、まるでオルガ義兄様と殿下が不幸せのような言い方よね。カチンときたわ。それは殿下も同じだったようで、
「それじゃあ、まるで私が不幸せのような言い方だな」
冷え冷えとした声と視線で、殿下はディア様を追い詰める。
「私にはそう見えましたわ。カイン殿下は自分の気持ちを圧し殺していましたし、オルガ様は本来なら負わなくてもいい罰を負っておりました。全ては、この悪魔のせいで」
きっぱりと言い切った。
色々と突っ込むところがあるけど、犯罪者の娘から悪魔に格上げされたよ。にしても、その思い込みの激しさって、どこからくるのよ。そっちの方が知りたいわ。
咄嗟に殿下が反論しようとしたが、陛下が止める。
「つまり、お前たちは、オルガとカインを救おうために、奴隷化のブレスレットを無理矢理つけようとしたのだな」
うっわ~~陛下がキレてる。ずっと黙ってる王妃様も完全にキレてるわ。殿下はとうにキレてるけど。王家三人をここまでキレさすって、ある種の才能よね。
隣にいるお父様は、ディア様の悪魔宣言で殺気を放ってるし。
「…………ど、奴隷化ではありません。祝福です」
苦しい言い訳をするポーター公爵。
「あくまで、しらを切るつもりか。ならば、これを見るがいい」
陛下の一声で、新年のパーティー会場と同じように音声付きの映像が映し出された。
これを見て、まだ同じことが言えるのかしら。楽しみだわ。
☆☆☆
最後まで、読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
【第一回次世代ファンタジーカップ】に挑戦します。
タイトルは〈何もかも全てを奪われた元勇者王子、今度は俺が貴様らから全て奪ってやる〉です。
ファンタジーでは、初めての男主人公。
楽しんで頂けたら嬉しいです。
応援ありがとうございます!
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