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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります

とうに壊れてたわね

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 ーーマジ、気持ち悪いわ。

 思わず、思ってたことをそのまま口にしてしまったようだ。皆の反応を見て、しまったって思ったけど、口に出してしまったものは仕方ないよね。ほんと、マジ気持ち悪いんだもの。

 姿形すがたかたちは人間そっくりな分、尚気持ち悪いわ。同じ人間に見えないんだもの。会話は出来ないし、思考も全く違う。別な人間だから思考が違うのは当たり前だけど、それとは根本的に全く違う。

 そんなことを考えてたら、突然笑い声がした。

 殿下と師団長様だ。師団長様なんて、腹抱えて笑ってるし。殿下も涙目だ。

「…………たっ、確かに、気持ち悪いよね。あ~~おかしい」

 まだツボにはまってるようだ。シリアスな雰囲気が売りの師団長様の爆笑って、中々貴重よね。殿下の涙目も。

「ひ、酷いですわ……私の想いを馬鹿になさるなんて…………」

 うっわ~~まだ、悲劇のヒロイン続けてるよ。さっきの吊り目はどうしたのよ。その変わり身の早さ、ある意味尊敬するわ。

「想いって。それって、一人よがりの感情でしょう。まぁ、恋愛感情って、そういうものかもしれませんが、ディア様のは酷過ぎですね。悲劇のヒロインでいたいのなら、自分の頭だけにしといて下さいませ。表に出されると心底迷惑ですわ」

 巻き込まれた側はたまったものじゃないわ。今回ここまで大きくなったのは、ゴミ虫さんの意向と合致したからだけど、それ抜きに考えても、許せる範囲はとうに超えている。

「それは貴女でしょ!! この悪魔!!!!」

 ほんと、馬鹿よね。抑え込まれてるのに、私に掴み掛かろうとするなんて。

 この際だから、徹底的に化けの皮を剥がしてあげるわ。ちょっと揺さぶるだけで、簡単に剥げそうだけど。っていうか、もう大分剥げてるよね。

「悪魔ですか……
 私が悪魔なら、貴女はいったい何者でしょうね。
 実の兄の親友を隷属化し、自分の幼馴染で愛している人をも隷属化しようとは、さすがの私も考え付きませんでしたよ。偶然そのアイテムを手に入れたとはいえ、躊躇なく使えるなんて、さすがディア様ですね。私を遥かに超えていらっしゃいますわ。
 私は全く興味ありませんけど。
 だって、隷属化した人間に何を囁いても、自分を肯定する言葉だけでしょ。
 それって、虚しくありませんか?」

 別の人格だからこそ意見の違いがあって、感じるのも違う。だから、時には喧嘩をしたり、大笑いしたり、感動したりするのだと私は思う。そうやって、少しづつ絆を深めていくものだとね。

 一方通行の思いなんて、ほんと虚しいだけだわ。

「違うわ!! 私は救いたいだけよ!!!!」

「はっきりと言いますわ。そこに救いなどありませんわ。寧ろ、貴方が救っているのは自分自身ではありませんか? 大切な人と口にしながら、その大切な人を自分を救う糧にする。虫唾が走る程の嫌悪感ですわ。いい加減になさいませ」

 淑女らしくはないが、嫌悪感顕で言い放つ。すると、さっきまで涙目だった殿下が言い放った。

「今まで幼馴染だからキツイことを敢えて言わなかったが……ポーター嬢、正直言って、気持ち悪い。傍にも視界にも入れたくない程だ。穢らわしいとまで思っている」

 穢らわしいって、そこまで言いますか? 心底、そう思ってるんですね。気持ち分かるけど。

 殿下の本音を聞いたディア様は小さく震えだした。自然と皆の視線がディア様に向く。

 俯いているから分からないが、何か言ってるみたい。まだ何か言えるの?

「……………よ……嘘よ…信じない。信じない。信じない。信じない。信じない。信じない。信じない。信じないーーーー」

 同じ言葉を只々繰り返す。その異様さに、私は一歩後退る。親であるゴミ虫さんも恐怖を感じ離れようとしている。

 自業自得とはいえ、人が壊れる場面は見たくないわね。あっ違うか。もう、彼女はとうに壊れてたわね。




☆☆☆

【第一回次世代ファンタジーカップ】に参加しています。

 タイトルは〈何もかも全てを奪われた元勇者王子、今度は俺が貴様らから全て奪ってやる〉です。

 一応、復讐ものになっています。

 お楽しみ頂けたら嬉しいですm(_ _)m


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