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また、乙女ゲームですか
第十一話 簡単に言われましたが
しおりを挟む「攻略相手を調べるね……」
お母様は簡単に言われましたが、どうやって調べましょうか。困りましたね……学年が違いますから。表立っては動けませんね。新入生に知り合いはいませんし……下手に、無関係の人を巻き込むのも気が引けますね……さて、どうしましょうか?
「ならば、シスターの行動範囲内に魔法具をばら撒いてはどうでしょうか? その映像を後で確認すれば、自ずと攻略相手が分かると思いますが」
中々いい案ですね。ですが、
「確かに、それが一番手っ取り早くて、正確なんですけどね……」
折角くれたクラン君のアドバイスに、私は首を横に振ります。
「何か問題でも?」
「シスターの行動範囲が広すぎるのです。
私とリーファが出くわしたあのカフェは、一年の学習塔からかなり離れてます。そこまで足を伸ばす方を監視するのなら、かなりの量の魔法具が必要になりますわ。
重罪犯罪者でもないのに、それだけの魔法具を使用する訳にはいきません。
だから、困ってるのです」
まだ事が起きていない以上、これは私用ですわ。私用なのに、大事な魔法具を大量に使うわけにはいきませんわ。
「ならば……ここはシンプルに人海戦術をなさってはどうでしょうか?」
書類を持って来たスミスが、私に書類を手渡しながらそう提案してきました。
「それも考えたんですけどね……。私に一年の知り合いはいませんわ」
言わなくても分かってるでしょ。スミスを見る目がそう語っています。
「別に在学生を使わなくてもよいのでは?」
在学生ではなく、一体誰を……?
「えっ!? まさか、貴方たちをですか!?」
「はい」
その気持ちは嬉しいですわ。だけど、
「それは駄目ですわ」
「何故でしょう?」
「これ以上、貴方がたの仕事を増やすわけにはいきませんわ」
「私共は平気ですが」
「それでも、駄目です」
主として、ここは引くわけにはいきませんわ。スミスたちならば、人海戦術に人数を割いても、本来の私の仕事は完璧にこなすでしょう。疲れた様子を見せないで。
私も大概ですが、スミスたちもかなりの仕事人間なのです。下手したら私よりも。それでなくても、少人数で仕事をこなしているのですよ。倒れたら大変ですわ。だから、自分たちがセーブ出来ないのなら、上司である私が止めなくてはなりません。もしそう口にしたら、間違いなく、
ーーセリア様がそれを言うのですか?
って、責められそうですけどね。
全く納得していないスミスたちに、私はもう一度念押ししましたわ。
……本当にどうしましょう。リーファに相談してみましょうか。リーファは私と違い社交的ですからね。良い案が浮かぶかもしれません。
そう考えると、少し気持ちが浮上しましたわ。
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