BloodyHeart

真代 衣織

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デザインオブデザイア

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 一時間程、電車に揺られシェリーはサキュバス王国に着いた。
 人間界と魔界を繋ぐ駅は、各国内に一つだけだ。
 駅には、日本の駅と同じ様にホームが複数ある。
 駅構内の電光掲示板に——方面と、三桁の番号が複数表示されている。この番号は、駅で鍵を受け取る際に配られる番号だ。
 改札で鍵を回収され、シェリーは駅を後にする。
 その後、電車を乗り継ぎ一時間かけて王都に着いた。
 ——まだ公務中で、玉座の間にいる女王を訪ねる。
「お帰りなさい」
「お疲れ様です。女王陛下——」
 敬礼し入室したシェリーに、サファイア・テレジア女王は笑顔を向けた。
「送迎は無しでいいのでは……」
 リリアが通う施設は上野に在る。少子化により廃校になった、元公立高校だ。送迎が必要な距離じゃないと、女王は初めから言っていた。
 女王は、手の平に乗せたビー玉をシェリーに見せた。
「っ⁉︎」
 シェリーは驚きを隠せない。
 浮かび上がる映像は、真っ黒で何も映っていない。
「これ位は、容易く欺けるらしい」
 あの野郎っ……。このままじゃ、立場を失くすっ!
 焦り、シェリーは奥歯を強く噛み締めた。
「良い事じゃないか? リリアの安全は保障された」
 薄笑みを浮かべて女王は言う。
「しかし、リリア様に悪影響を及ぼす危険性もっ……」 
「その為に、ミッシェルがいる」
 女王は、シェリーの不安を払拭する為に言ったが、一時の気休めにしかならなかった。
 やはり、切り捨てには惜しい。生かす道を探るか……。若しくは創り上げようか……。
 薄笑みの裏で女王は図る。
 この女王の思惑は、人間には計り知れないだろう。
 三百年以上前に政界入りしてから、国益を生み出し続けている。女王に君臨してから、支持率は九十パーセントを超えを維持している。
 人間に同じ真似は出来ないからだ。
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